「そういうのいらないんで」「ガーンッ」 塩対応された“泉の精”対帰りたい青年の最後はホロリと来る良い話(1/2 ページ)
さびしがりやの泉の精と、さびしがりやの王子様が出会った話。
イソップ寓話「金の斧」に登場する“泉の精”。その彼女が斧を落とした人間と会って以来、誰とも会えずに何百年もずっと一人で水の底にいたら――そんなもしもを描いた漫画「泉の精シリーズ」がTwitterで「いとおしい」「尊い…」と人気を集めています。
物語は、泉の精が帽子を落とした大学生の青年と出会うことから始まります。しかし、「ついに出番がきた!」とばかりに例の2択をキラキラの笑顔で問う彼女でしたが、あれから年月がたちすぎたのか、少し冷めたような青年は驚くこともなく「どちらでもないって言ったら全部くれるやつ」でしょと、身も蓋もない言葉でどちらも遠慮されてしまいます。
他にも「呪い」や「それ相応の報復がありそう」といった、ある意味で現実的な考えが止まらない青年。それに対し、必死になって落とすところからやり直そうとする泉の精は「やっとまた人間に会えたんですもん…」と張り切る理由を話しますが、続く「ごめんなさい…帰ってもいいですよ」という言葉の後に、本当に青年に帰られてしまう泉の精。「さみしくなんてないですよーだ…」とつぶやく後ろ姿が切ない……。
すると翌朝、珍しくまた落とし物がきたと思ったら、現れたのは昨日の青年。今さら帽子はあげないことを腹いせに言っても「いや、いらない」と冷たい言葉を返されてしまいますが、じゃあ一体何しに来たのかと聞くと、青年は「会いに来た」とひと言。「金とか銀とか別にいらないからさ」「お話ししようよ」と腰を下ろして話す彼に、彼女は「仕方ないですね!」と強がりながら久しぶりの“お話”を人間とするのでした。分かりやすいくらい表情に出る泉の精ちゃんがかわいすぎた……!
ここまでは第1話「さびしがりやの泉の精」で描かれた内容で、青年が「翔平」、泉の精が「いずみちゃん(※青年による呼称)」と名前が分かる第2話を経て、翔平の違った一面が見られる第3話「さびしがりやの王子様」へとつながります。3話では、口数少ないイメージの彼がお酒で酔っぱらって陽気になり、いずみちゃんを指して「かのじょ」と言って「ただいまー」と笑う姿が。こ、これは……!
さらに彼女をぎゅっとハグして「…いっしょにかえろ」と言う翔平。続くのは家に出た“G”を倒してほしいというかわいい願いだったりするのですが、この話で描かれているのは、いずみちゃんは「この泉から出ることはできない…」ということ。そしてそんな彼女に対しても「いつか俺んち来てね」「大丈夫」「おれ王子様だから」「いずみちゃんを幸せにするよ」と伝える翔平の姿。
存在からして独特な距離感の二人ですが、大きくそして少しずつ揺れ動くような“いずみちゃん”の心情と、徐々に積極性を見せる翔平の言動や彼女との会話劇が、心地よいのと同時にキュンとしてその先を妄想させます。二人をずっと見守っていたい……!
同シリーズの作者は、『ジャンプスクエア 7月号』で新作の読切漫画『少女は屋上にいる』が掲載中の漫画家・右腹(@sgin001)さん。今作以外にも、報われない恋する天使を描いた「押しかけキューピッド」など、さまざまな創作漫画をTwitterに投稿して人気を集めています。
「泉の精シリーズ」には毎話「好きすぎる」「この2人尊い」と称賛の声が寄せられ、気になる背景や展開に「応援してる」「もっと見たい」と続編を望む声もたくさん寄せられています。右腹さんのツイートによると描きたいエピソード自体はまだあるとのことで、気になった方はモーメントやpixivにまとめれている過去作品を読みつつ、アカウントをフォローするなどして応援するのがいいでしょう。
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