話題の「NHKが映らないBRAVIA」は本当に受信料不要? NHKとソニーに聞いた

受信料は確かに不要のようですが、それ以前に大きな問題が……。

» 2018年07月09日 17時16分 公開
[池谷勇人ねとらぼ]

 ソニーが2018年春に発表し「NHKが映らないBRAVIA」として話題になった、BRAVIA「BZ35F/BZシリーズ」がいよいよ発売されます。ネット上では「これならNHK受信料を徴収されないのでは」と期待する声が多く見られますが、果たして本当にNHK受信料は不要なのか、ソニーとNHKに聞きました。


NHKが映らないBRAVIA BZ35F/BZシリーズ(商品ページより)

 「BZ35F/BZシリーズ」は、BRAVIAシリーズ初の“業務用ディスプレイ”という位置付け。最大の特徴は「テレビチューナーを搭載していない」という点で、NHKだけでなく“テレビ放送全般が映らない”という思い切った仕様になっています(Android搭載なのでネットコンテンツは見られる)。サイズは43Vから85Vまで全6種類。いずれもオープン価格で、7月6日より販売を開始しています(価格ドットコムによれば、43V型で約9万3000円)。


NHKが映らないBRAVIA チューナー非搭載という割り切った仕様(商品ページより)

 あくまで“業務用ディスプレイ”であり、個人や一般家庭での利用を想定したものではありませんが、「モニターとして使えれば十分」で、なおかつ「NHK受信料は払いたくない」といった人にとっては確かに理想的なモデルと言えそうです。ネット上では「欲しい」「NHK涙目ww」「これ買おう!」といった声もみられました。

 しかし、確かに「テレビチューナー非搭載」ではありますが、公式に「NHK受信料不要」とうたっているわけではありません。果たして本当に受信料不要なのか、ソニーに開発意図などを聞いたうえで、NHKに直接確認してみました。


「NHK受信料不要」以前に最大の障壁が……

―― ネットでは「NHKが映らないテレビ」として注目されていますが、そもそもどういった意図で開発されたのでしょうか。

ソニー広報部:「テレビ」ではなく、あくまで「業務用液晶モニター」という位置付けです。チューナーがそもそも入っていませんから「テレビ」ではないんです。本来はデジタルサイネージや、学校や会議室などでのプレゼンツールなどの用途を想定して開発したものです。


NHKが映らないBRAVIA 本来はデジタルサイネージやプレゼンツールとして利用を想定(商品ページより)

―― 商品説明では「業務用ディスプレイ」と書かれていますが、個人で購入することはできるのでしょうか。

ソニー広報部:個人では買えません。法人向けの窓口がありますので、購入する場合はそちらからご連絡いただく形になっています。

―― 今後「個人で購入したい」といった声に対応する予定は……?

ソニー広報部:ありません。



 ――なんと、受信料うんぬん以前に、「個人では買えない」という衝撃の事実が判明。また本来はデジタルサイネージなどの業務用用途を見込んで作られたもので、ネットで言われているような「NHKが映らない」といった意図はなかったとのことでした。


NHKが映らないBRAVIA 本来はデジタルサイネージやプレゼンツールとして利用を想定(商品ページより)

 またこれを踏まえてNHKにも問い合わせてみたところ、「各企業の製品についてはお答えする立場にありません」としつつも、次のような回答を得ることができました。

NHK広報局:各企業の製品についてはお答えする立場にありません。放送法第64条1項では「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。(省略)」と規定されています。NHKはこれに基づいて受信契約をお願いしています。なお、放送を受信する機能がないモニター等については、受信契約の必要はありません。



 ――あくまで一般論としての回答ですが、NHKによれば「放送を受信する機能がないモニターなど」については「受信契約の必要はない」とのこと。自然に考えれば、「BZ35F/BZシリーズ」は“チューナー非搭載”ですから、「受信契約の必要はない」と受け取ってよさそうです。

 結局のところ、確かに「NHKが映らない=受信契約不要」というのは間違いではないのですが、そもそも「NHKだけでなく全チャンネルが映らない」「個人では購入できない」などの条件も考慮すると、個人で使うのはあまり現実的ではなさそうです。もし今後一般向けに発売されることがあれば、一定の需要はありそうですが……。


NHKが映らないBRAVIA 「個人で買えない」というのが最大のハードルになりそう(商品ページより)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2412/15/news031.jpg ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. /nl/articles/2412/14/news019.jpg ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  3. /nl/articles/2412/15/news011.jpg 「懐かしい」 ハードオフで“30年前のPC”を購入→Windows 95をインストールしたら“驚きの結果”に!
  4. /nl/articles/2412/16/news107.jpg 「靴下屋」運営のタビオ、SNSアカウント炎上を受け「不適切投稿に関するお詫び」発表 「破れないストッキング」についてのやりとりが発端
  5. /nl/articles/2412/15/news035.jpg 餓死寸前でうなり声を上げていた野犬を保護→“6年後の姿”が大きな話題に! さらに2年後の現在を飼い主に聞いた
  6. /nl/articles/2412/15/news002.jpg 毛糸でフリルをたくさん編んでいくと…… ため息がもれるほどかわいい“まるで天使”なアイテムに「一目惚れしてしまいました」「うちの子に作りたい!」
  7. /nl/articles/2412/10/news133.jpg 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
  8. /nl/articles/2312/15/news032.jpg 放置された池でレアな魚を狙っていた親子に、想定外の事態 目にしたショッキングな光景に悲しむ声が続々
  9. /nl/articles/2412/15/news028.jpg 脱北した女性たちが初めて“日本のお寿司”を食べたら…… 胸がつまる現実に考えさせられる 「泣いてしまった」「心打たれました」
  10. /nl/articles/2412/16/news023.jpg 父「若いころはモテた」→息子は半信半疑だったが…… 当時の“間違いなく大人気の姿”に40万いいね「いい年の取り方」【海外】
先週の総合アクセスTOP10
  1. イモトアヤコ、購入した“圧倒的人気車”が思わぬ勘違いを招く スーパーで「後ろから警備員さんが」
  2. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  3. パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
  4. 高校生のときに付き合い始めた2人→10年後…… 現在の姿に「めっちゃキュンってした」「まるで映画の世界」と1000万表示突破
  5. 大谷翔平の妻・真美子さん、ZARA「8000円ニット」を着用? 「似合ってる」「シンプルで華やか」
  6. 新幹線で「高級ウイスキー」を注文→“予想外のサイズ”に仰天 「むしろすげえ」「家に飾りたい」 投稿者に感想を聞いた
  7. 高校生時代に父と撮った写真を、29年後に再現したら……再生数1000万回超えの反響 さらに2年後の現在は、投稿者に話を聞いた
  8. 散歩中、急にテンションが下がった柴犬→足元を見てみると…… 「そんなことあります?」まさかの原因が860万表示「かわいそうだけどかわいい」
  9. コメダのテイクアウトで油断して“すさまじい量”になってしまった写真があるある 受け取ったその後はどうなったのか聞いた
  10. 「やめてくれ」 会社で使った“伝言メモ”にクレーム→“思わず二度見”の実物が200万表示 「頭に入ってこない」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」