「“りぼんっぽさ”が独り歩きしている」 りぼん相田編集長が『さよならミニスカート』を“激推し”したワケ(1/2 ページ)
「りぼん」相田聡一編集長に聞いてきました。
少女漫画雑誌「りぼん」9月号(集英社、8月3日発売)で連載を開始した牧野あおいさんの『さよならミニスカート』は、「りぼん」の主要読者だけではなく、大人の女性や男性を巻き込む大きな話題になりました。相田聡一編集長によって「この連載は、何があろうと、続けていきます」という“激推し宣言”が掲載されていたからです。
異例の宣言に興味を引かれ、久しぶりに雑誌を手に取った読者を待っていたのは、「アイドル」をテーマにしたピンと糸が張られたようなストーリー。主人公は、学校で唯一スラックスを履く女子生徒・神山仁那です。
実は彼女は半年前まで、アイドルグループ「PURE CLUB」の“不動のセンター”でした。しかし握手会でファンに刃を向けられたことで心と体に深い傷を負い、アイドルを引退した――という過去をもっていたのです。
1話は彼女の現在と過去、どこか息苦しい高校のクラスメイトたちのやりとり、仁那の心の扉を開けてくれた少年・光との関係が緊張感たっぷりに描かれ、「『りぼん』でこんなお話が掲載されるのか」「このお話はどういう方向に進んでいくのか」とざわめきが広がりました。
ねとらぼでは、「りぼん」の相田聡一編集長と『さよならミニスカート』担当編集者にインタビュー。“激推し宣言”のワケと、『さよならミニスカート』が生まれるまでの秘話、さらに2話についても聞いてきました!
『さよならミニスカート』だからこそ、この“推し方”になった
――異例の推しが大きな話題になりました。ああいった「編集長による推し」は前例があるのでしょうか?
相田: ほとんど聞かないですね。「りぼん」編集部でも、集英社の他の編集部でも、なかなかないことだと思います。
――あの“異例”の声明文を見て、「久しぶりに『りぼん』を買った」という人も多かったのではないでしょうか。私もその1人ですが、新連載を話題にすることで、本誌への注目度を高めるといった狙いもあったのでは。
相田: いえいえ、「本誌の売り上げにつなげよう」という気持ちから始まったわけではありません。あくまでも「純粋にこの漫画が面白いから知ってほしい」という、それだけのことです。漫画界全体を見渡しても面白く、しかも漫画好きなら年齢や性別に関係なく読めるような漫画ができた。それを幅広い層に知ってもらいたい、「りぼん」を手に取っていない人にも読んでもらいたい――そんなところからスタートしていろいろと考えていく中で、声明文という形に行きつきました。
――反響はいかがだったでしょうか。
相田: 正直、反響が一切ないことも覚悟していたんです(笑)。でも、想定以上の反響をいただきました。本誌への影響もありましたし、「少年ジャンプ+」や「LINEマンガ」などのデジタル配信でも売り上げが好調です。
――「少年ジャンプ+」は少年誌の漫画を配信しているイメージが強いです。「りぼん」掲載の漫画を配信することはよくあることですか?
相田: あまりないですね。「少年ジャンプ+」の読者はやはり男性が多いので、いわゆる「少女漫画らしい少女漫画」だと読者との距離があります。これも声明文と同じで、『さよならミニスカート』は男性が読んでも面白く感じるはずだと思ったので配信を決めましたし、結果としていい反応がありましたね。
今回の施策を話題にしていただいてありがたい一方で、「この作品だったから、こういう形になった」という部分が大きいです。ビジネス的なゴールは「コミックスを売ること」です。今の「りぼん」は、作品の面白さがコミックスの売り上げに必ずしもつながっていない状態にあります。面白いのに“発見されていない”ために売れていないのは惜しいという課題意識があるので、この反響をコミックスにつなげていくためにもこの連載を面白いものにしていこう……と、改めて気持ちが引き締まっています。
目をそらしたいような部分を描く
――作品についても詳しく伺っていきます。『さよならミニスカート』の企画はどのようにして生まれたのでしょうか。
担当: 著者の牧野さんは2013年からしばらく作品を発表していませんでしたが、その期間もずっと次回作について構想を練っていました。2018年4月号で久しぶりの読み切り『制服なんて好きじゃない。』を掲載して、「次はいよいよ連載を……!」と思っていたところに、牧野さんから出てきたのが『さよならミニスカート』につながる原案だったんです。
――1話はサブタイトルの通り「彼女(仁那)に何が起こったか」を中心にして話が進んでいきましたね。ネット上では類似の事件や実際のアイドル名も挙げられていましたが、モデルはあるのでしょうか。
担当: 実在の事件や人物を直接モデルにはしていません。ただ、打ち合わせの中で、今のアイドルを描くにあたって、アイドルのきれいなばかりではない面も描かなければならないだろうとは話していました。「現代のアイドルは身近な存在になった分、大変なことをいっぱい抱えている」「アイドルで居続けることはすごいことですよね」と牧野さんとやりとりしたのを覚えていますね。牧野さんはアイドル好きなので、根底にはアイドルに対する「好き」という気持ちがあふれている作品だと感じています。
――アイドル好き! 初連載作品の『REC―君が泣いた日―』も、芸能界で生きる少年の生涯を描いた作品でしたね。
担当: そうなんです。『さよならミニスカート』は、牧野さんにとって常に心にあるであろう「アイドル」というテーマの中に、強く伝えたいメッセージが存在している――という牧野さんらしい作品だと思いましたね。
――「牧野さんらしい」とは?
担当: 牧野さんはこれまでいろいろなジャンルのお話を描いていますが、共通するのは「伝えたいメッセージがはっきりと存在している」「そのメッセージをまっすぐにぶつけてくる」ところ。本来逃げたり目をそらしたくなったりする部分に自然に踏み込んでいきつつ、漫画として面白いものを目指しているんです。
例えば『さよならミニスカート』の1話で、クラスメイトの長栖未玖が痴漢に遭遇したときに男子生徒から浴びせかけられるせりふは、少女漫画ではなかなかありませんよね。でもああいう言葉は実際に存在していて、読者は実生活で耳にしているかもしれない。そもそも未玖の性格や行動もかなり生々しい。
相田: 牧野さんの作品を読んでいると、「こんな人間の行動をどうしてこうも自然に描けるんだろう」と驚きます。しかもショッキングにしたくてあえて描いているのではなく、「そこにあるものだから」と自然に描いているように思う。少女漫画だけど、枠に収まりにくい作家性を持っていますね。
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