葉っぱが紅葉して赤くなるのはなぜ?

紅葉見に行こうよう!

» 2018年11月29日 11時30分 公開
[QuizKnockねとらぼ]

 秋になると、さまざまな木々の葉が黄色や赤に色づき、私たちの目を楽しませてくれます。紅葉狩りに行く方も多いのではないでしょうか。

 このような色の変化は、一体なぜ起こるのでしょうか。


色づく理由は、冬を越すため

 まず基本的に、葉の色が変わる木というものは「落葉樹」という種類の木です。

 落葉樹とは、厳しい冬に、葉を落とすことで対応している樹木のことです。葉は光合成をする大切な器官ですが、低温や乾燥には弱いので、年ごとに使い捨ててしまった方が良いこともあります。



 冬を越す準備として、秋に葉から養分を回収したり、葉の養分を作る器官を守るために、色が変化しています。以下でもう少し詳しく見ていきましょう。


黄色くなる理由:養分を回収するため



 葉が落ちる時期が近づくと、落葉樹は葉から養分として使えるものを回収しようとします。ここで回収されるのが、光合成を行う「葉緑体」。葉緑体は、植物にとって貴重な成分を多く含んでいるため、それらの回収のために分解されます。

 葉緑体はさまざまな色素を含んでいますが、最も多いのが緑色のクロロフィル(葉緑素)。これは葉が緑に見える原因であり、真っ先に分解されます。

 緑の色素(クロロフィル)が早く分解されると、黄色の色素(カロテノイド)が表に出てくるようになり、葉は黄色に見えるようになるのです。

 ちなみに、この黄色のカロテノイドなどはやや遅れて分解されます。これはクロロフィルがカロテノイドに比べて貴重な栄養素(ミネラル)を含んでいることや、全ての色素を一気に分解すると葉へのダメージが大きいことなどが理由として考えられます。

 光に当たりすぎると、葉の中で活性酸素が発生します。活性酸素は、細胞にダメージを与える物質です。クロロフィルやカロテノイドは活性酸素の発生を抑え(=抗酸化作用)、葉へのダメージを軽減できます。クロロフィルがなくなっても、残ったカロテノイドが葉を守ってくれる、というわけです。


赤くなる理由:養分を作る器官を守るため



 葉が黄色くなる理由が「緑色が抜けて黄色が残るから」であるのに対し、葉が赤くなるのは一言でいえば「新しく赤い色素ができるから」です。

 この赤い色素はアントシアンで、クロロフィルが分解されるのと並行して合成されます。秋が深まり、ほかの色素が分解されていくにつれ、色の混ざりがなくなって鮮やかな紅葉になっていきます。

アントシアンの大事な役割

 と、ここまでお読みの方の中には「養分の回収のために色素を分解してきたのに、どうしてわざわざ新しく色素を作るのか?」と思った方がいらっしゃるかもしれません。もちろん、アントシアンの合成にもエネルギーを使います。

 わざわざアントシアンを合成する理由としては、「アントシアンが日よけとして優秀だから」という説が有力とされています。アントシアンは赤く見えますが、これは裏を返せば「青や緑の光を吸収している」ということ。青や緑の光に多く当たると、より多く活性酸素が発生し、葉緑体が壊れやすくなる(→黄葉の方が紅葉より葉緑体が壊れやすい)といわれています。

 葉緑体が壊れると光合成ができなくなり、葉が養分を作れなくなります。アントシアンは強すぎる光から葉緑体を守り、葉が養分を作れる期間を長くしているといえます。

 ちなみに、「寒くて晴れた日が多いと、紅葉が鮮やかになる」とよくいわれますが、この経験則も先ほどの説を補強しています。

 寒くなると光合成の効率が落ち、は葉の中の光エネルギーが過剰になりやすくなります。これによるダメージを減らすため、「優秀な日よけ」のアントシアンが多く合成されて葉がより赤く色づく、というわけです。


まとめ

 葉が色づくのは、樹木が生きていくうえで大切な変化だったのですね。

 紅葉狩りに行った際は、その理由にも思いをはせてみてください。

参考文献

嶋田幸久、萱原正嗣『植物の体の中では何が起こっているのか』ベレ出版、2015年

紅葉現象 | みんなのひろば | 日本植物生理学会


制作協力

QuizKnock


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2410/05/news022.jpg 「クレオパトラみたい」と言われ傷ついた55歳女性→カット&パーマで大変身! 「本当にびっくり」「素敵なマダムに」
  2. /nl/articles/2410/05/news040.jpg 伝説の不倫ドラマ「金曜日の妻たちへ」放送から41年、キャストの現在→75歳近影が「とても見えません」と話題
  3. /nl/articles/2410/02/news116.jpg 余りがちなクリアファイル、“じゃないほう”の使い方で食器棚がまさかのスッキリ 「目からウロコ」「思いつかなかった!」と反響
  4. /nl/articles/2410/05/news023.jpg 七五三で刀を持っていた少年→20年後には…… “まさかの進化”に「好きなもの突き進んでかっこいい!」
  5. /nl/articles/2410/05/news018.jpg 野良猫が窓越しに「保護してください」と圧をかけ続け…… ひしひし感じる強い意志と表情に「かわいすぎるw」「視線がすごい」
  6. /nl/articles/2410/05/news012.jpg 「あのお客さんに幸あれっ!」 小銭の出し方が完璧な“神客”にレジ店員感激 会計がスムーズになる配慮が参考になる
  7. /nl/articles/2410/04/news048.jpg 「こういうの好き」 割れたコップの破片を並べたら…… “まさかの発想”で息を飲むアート作品に 「すごいセンス良い」「前向きな考え」
  8. /nl/articles/2410/04/news040.jpg 50代女性「モンチッチみたいにしてほしい」→美容師がプロのワザを見せ…… 別人級の変身に「めっちゃお洒落」「すごい!」
  9. /nl/articles/2410/04/news025.jpg 「これが免許証の写真???」 コスプレイヤーが公開した“信じられない”免許証が話題 コスプレ姿との比較に「両方とも可愛いすぎる」
  10. /nl/articles/2410/05/news032.jpg 大型犬が18年間、ドアを開け続けた結果……そうはならんやろな驚きの末路に「どうしたらこんな風になるのよ」の声
先週の総合アクセスTOP10
  1. ネットで大絶賛「ブラウニー」にカビ発生 業務スーパーに7万箱出荷…… 運営会社が謝罪
  2. 「全く動けません」清水良太郎がフェスで救急搬送 事故動画で原因が明らかに「独りパイルドライバー」「これは本当に危ない!!」
  3. トラックがあおり運転し車線をふさいで停車…… SNSで拡散の動画、運転手の所属会社が謝罪
  4. 「ヤヴァすぎる!!」黒木啓司、超高級外車の納車を報告 新車価格は5000万円超 2023年にはフェラーリを2台購入
  5. そうはならんやろ “ドクロの絵”を芸術的に描いたら…… “まさかのオチ”に「傑作」の声【海外】
  6. 「ウソだろ?」 ハードオフに3万円で売っていた“衝撃の商品”に思わず二度見 「ヤバいことになってる」
  7. 「結局こういう弁当が一番旨い」 夫が妻に作った弁当に「最強すぎる!」「絶対美味しいビジュアル」
  8. “メンバー全員の契約違反”をライブ後に発表 異例の脱退騒動背景を公式が釈明「繋がり行為などではなく」
  9. 「言われる感覚全く分からない」 宮崎麗果、“第5子抱いた服装”に非難飛び……夫・黒木啓司は「俺が言われてるのかな?」
  10. 大沢たかお、広大プールを独り泳ぐ“バキバキ姿”が絵になり過ぎ 盛り上がる筋肉の上半身に「50代とは思えない」「彫刻みたい」
先月の総合アクセスTOP10
  1. “緑の枝付きどんぐり”をうっかり持ち帰ると、ある日…… とんでもない目にあう前に注意「危ないところだった」
  2. 「しまむら」に行った58歳父→買ってきたTシャツが“まさかのデザイン”で3万いいね! 「同じ年だから気持ちわかる」「欲しい!」
  3. 友人に「100円でもいらない」と酷評されたビーズ作家、再会して言われたのは…… 批判を糧にした作品が「もはや芸術品」と490万再生
  4. 高校3年生で出会った2人が、15年後…… 世界中が感動した姿に「泣いてしまった」「幸せを分けてくださりありがとう」【タイ】
  5. 「ま、まじか!!」 68歳島田紳助、驚きの最新姿 上地雄輔が2ショット公開 「確実に若返ってる」とネット衝撃
  6. 荒れ放題の庭を、3年間ひたすら草刈りし続けたら…… 感動のビフォーアフターに「劇的に変わってる」「素晴らしい」
  7. 食べた桃の種を土に植え、4年育てたら…… 想像を超える成長→果実を大収穫する様子に「感動しました」「素晴らしい記録」
  8. 「天才!」 人気料理研究家による“目玉焼きの作り方”が目からウロコ 今すぐ試したいライフハックに「初めて知りました!」
  9. 「エグいもん売られてた」 ホビーオフに1万1000円で売られていた“まさかの商品”に「めちゃくちゃ欲しい」
  10. 義母「お米を送りました」→思わず二度見な“手紙”に11万いいね 「憧れる」「こういう大人になりたい」と感嘆の声