「クリエイターの告発漫画」はうのみにしてよいのか イラスト仲介会社員の気持ちを描いた漫画が一石を投じる
両者の意見を聞くことが重要。
Twitterで多数の人をフォローしていると、時々クリエイターによる“告発漫画”を目にすることがあると思います。タダ働きさせられた、約束と全く違う仕事をやらされた、任せると言われたはずの仕事を打ち切られ別の人が選ばれていた……などなど第三者の目から見ても許しがたい話がつづられていることが多いものですが、果たしてその話はそのまま信じて良いのでしょうか。この風潮に一石を投じる漫画『仲介業務職カイコ』が大きな注目を浴びています。
これはFMBさん(@FMB_fucking)がシナリオを考え、漫画家のアルデヒドさん(@alde_hyde)が漫画にしてTwitterに投稿したもの。漫画は最初、イラストレーターによる“告発漫画”から始まります。
イラスト仲介会社にラフ絵を提出した時点で突然仕事を打ち切られ、別の人が仕上げをしレアリティも当初の予定より下がった状態でゲームに実装されたという告発者。報酬もラフ絵までの分しかもらえず、「私のような人が少なくなることを祈っております……」と同情してしまうようなせりふで締められていました。
しかし、次のページで場面が切り替わり、そこにはオフィスでスマートフォンを通じて“告発漫画”を読んでいる1人女性の姿。この女性こそが、件の「イラスト仲介会社」社員であり、告発者の担当者「カイコ」だったのです。
そして、事の真相はこうです。実はこのイラストレーターはラフ絵提出の時点で2週間も提出が遅延していた上、あがってきたラフ絵も注文していた仕様とは大きく異なっておりとてもクライアントに提出できるものではありませんでした。直させても納期オーバーになるのは明らかだったため、「ラフ代だけ払い以降の制作はカイコ側でする」と“現実的”な提案をしたのです。
この提案に、イラストレーター側も電話口では承諾。ところが、“理想とクオリティー”を追求したいイラストレーターはこの提案に内心不満を持っており、今回の“告発漫画”を公開したのでした。
しかし今回の一件により、最も大変な目にあっているのはカイコです。クライアントの裁量により告発者のイラストのレアリティが下がり最高レアリティキャラの枠に穴ができてしまったため、カイコが肩代わりして残業で内部制作するハメになってしまいました。
カイコは怒りに満ちた表情を浮かべ、つぶやきます。「いいわよね作家は……好き勝手な仕事して失敗は全部人のせいにしてネットで同情されて……」。これから徹夜で告発者の尻拭いをするカイコ。皮肉なことにイラストレーターをしていた頃よりも絵が上達してしまった現実に、1人涙するのでした。
この漫画にネット上では、「片側だけの意見を聞いてはいけない」「双方の声を聴くことが重要」といった声が多数上がっていました。
アルデヒドさんの書籍
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