除夜の鐘はなぜ108回鳴らすのか?

キリが悪いじゃない。

» 2019年01月10日 08時00分 公開
[QuizKnockねとらぼ]

 年も明けて数日経ちましたが、大みそかにお寺で鳴らされた除夜の鐘の音を聞いたでしょうか。ボーン、という音を聞きながら、一年の終わりを実感するのはしみじみと良いものです。



 その除夜の鐘ですが、108回鳴らされるというのは有名な話です。

 なぜわざわざ108回も鳴らすのでしょうか? 108という数字にはどんな意味があるのでしょうか。


2つの説がある

 除夜の鐘の108という数字の意味には主に2つの説があります。

説1:1年の分け方をいろいろ足して「108」

 1つ目は1年間を表すという説です。1年はもちろん12カ月ですが、中国や日本の暦では、1年間を二十四節気に分け、さらにその二十四節気を3分割して七十二候とする季節の区分があります。

 この12カ月、二十四節気、七十二候を合計すると108となり(12+24+72=108)、これが1年間を表しているというものです。


説2:煩悩の数「108」

 2つ目の説はさきほどの1年間の合計という説より広く知られているもので、人間に108個ある煩悩を打ち払うため、という説です。

 しかしこの説では、なぜ人間の煩悩は108個あるのか、という疑問が残ります。108個の煩悩とは一体何なのでしょうか。


煩悩はなぜ108?

 煩悩とはそもそも仏教用語で「心身をわずらわし悩ます心の作用」の総称をいいます。

 煩悩は悟りを妨げるものであり、修行によって消滅させようとする対象です。そのため、仏教では煩悩を研究しさまざまに分類してきました。例えば三毒と呼ばれる貪(とん)・瞋(しん)・痴(ち)という3つの煩悩に分けるものから、八万四千煩悩という途方もない数の煩悩に分けるものまであります。

 煩悩を108に分けるのもその中の1つですが、108やさきほどの八万四千というのは、そもそも仏教の生まれたインドではたくさんとか非常に多いという意味で使われてきた数字です。

 要するに煩悩はたくさんあることを示しているのですが、108は八万四千に比べれば数えやすいので、さまざまな解釈がなされてきました。全てを挙げているとキリがないので代表的な解釈を1つ紹介します。


六根清浄をいろいろわけて「108」

 まず仏教では人間に感覚器官が6つあると考えます。これを六根(ろっこん)と呼び、具体的には眼根・耳根・鼻根・舌根・身根・意根をいいます。意根は、認識し思考する器官を指します。

 六根は人間の認識のもととなるので、ここから煩悩が生じるとされます。余談ですが、掛け声の「どっこいしょ」は六根が清められるように修行者が唱えた「六根清浄(ろっこんしょうじょう)」が語源という説があります。



 さて、六根が対象を把握するとき、好(すき)・悪(きらい)・平(どちらでもない)の3種類があり、そのそれぞれに染(きたない)と浄(きれい)の2種類があると考えます。ここまでで6×3×2=36種類ですね。さらにそのそれぞれに現在・過去・未来の3種類があるとされ36×3=108種類となります。


まとめ

 毎年鳴らされる除夜の鐘。これまでに見てきたように数え方はさまざまです。年末から新年にかけては、自分の煩悩に思いをめぐらせて、新しい年の過ごし方を考えてみる良い機会かもしれません。

参考文献

『精選版 日本国語大辞典』

『広説佛教語辞典』


制作協力

QuizKnock


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「しまむら」に行った58歳父→買ってきたTシャツが“まさかのデザイン”で3万いいね! 「同じ年だから気持ちわかる」「欲しい!」
  2. 「地獄絵図」「えぐすぎやろ……」 静岡・焼津市の地下歩道が冠水 “信じられない光景”にネットあぜん
  3. 「なんで欲しいと思ったんですか?」 酔った勢いで購入 → 後日届いた“まさかの商品”に反響 「理性あったら買わないw」
  4. 友人にメダカと睡蓮をあげる→3年後に見に行くと…… 想像を超える“楽園”に「こんなに……!?」「めちゃくちゃ綺麗」
  5. 犬が同じ場所で2年間、トイレをし続けた結果…… 笑っちゃうほどの変貌が379万表示「そこだけボッ!ってw」 半年後の現在について聞いた
  6. 「24時間テレビ」ラストスパートでのやす子へのわいせつ行為に非難 「胸触りにいってる」「気持ちが悪い」
  7. 「これ600円なの?」 大谷翔平が長く愛用しているデコピンの“おやつ入れ”、始球式で注目「おそろだった」「真美子さんが選んだのかな」
  8. 明石家さんま、69歳バースデー迎え長男から幸せ呼ぶ“輝かしいプレゼント” 同席した元妻・大竹しのぶは「最高の笑顔でした」
  9. 300円で購入した格安熱帯魚を、1年じっくり育てたら……宝石に化けた「価格に見合わない」激変に「ダイヤ感出て綺麗」「ラメがすごい」
  10. 「米国人には想定できない」 テスラが認識できない日本の“あるもの”が盲点だった 「そのうちアップデートでしれっと認識しそう」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 釣れたキジハタを1年飼ったら……飼い主も驚きの姿に「もはや魚じゃない」「もう家族やね」 半年後の現在について飼い主に聞いた
  2. 「もうこんな状態」 パリ五輪スケボーのメダリストが「現在のメダル」公開→たった1週間での“劣化”に衝撃
  3. 「コミケで出会った“金髪で毛先が水色”の子は誰?」→ネット民の集合知でスピード解決! 「優しい世界w」「オタクネットワークつよい」
  4. 庭で見つけた“変なイモムシ”を8カ月育てたら…… とんでもない生物の誕生に「神秘的」「思った以上に可愛い」
  5. 「米国人には想定できない」 テスラが認識できない日本の“あるもの”が盲点だった 「そのうちアップデートでしれっと認識しそう」
  6. ヒマワリの絵に隠れている「ねこ」はどこだ? 見つかると気持ちいい“隠し絵クイズ”に挑戦しよう
  7. 「昔はたくさんの女性の誘いを断った」と話す父、半信半疑の娘だったが…… 当時の姿に驚きの770万いいね「タイムマシンで彼に会いに行く」【海外】
  8. 鯉の池で大量発生した水草を除去していたら…… 出くわした“神々しい生物”の姿に「関東圏では高額」「なんて大変な…」
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「なんでこんなに似てるの」 2つのJR駅を比較→“想像以上の激似”に「駅名だけ入れ替えても気づかなそう」