戦艦「比叡」、故アレン氏の沈船捜索チームが発見 「ここに注目!」比叡公開写真の見どころ:キャプテンながはまのマニアックすぎるシリーズ(1/2 ページ)
公開写真をじっくり眺めましょう。
故ポール・アレン氏(関連記事)の沈船捜索チームが2019年2月4日、日本海軍の戦艦「比叡」(関連記事)をソロモン諸島のサボ島北西沖の海底で発見しました。
マイクロソフトの共同創業者であるアレン氏が設立したこの捜索チームは、これまでにも「武蔵」(関連記事)、「島風」(関連記事)、「レキシントン」(関連記事)など、沈んだ軍艦の調査で数多くの実績を上げています。そして、2018年10月にアレン氏が亡くなった後も、探査船「RV Petrel」(関連記事)で彼らは活動を続けています。
捜索チームは、比叡の12.7センチ連装高角砲とその砲弾、射撃指揮装置もしくは高角測距儀の台座らしきもの、後部マストと思われるもの、船体の一部、スクリュープロペラとシャフト、舵、そしてRV Petrelのオペレーションルームの様子を撮影した画像を公開しました。
「ここに注目!」比叡発見画像の見どころ
彼らは、発見した沈船が比叡であるとする根拠の1つに「舵が面舵状態(船が右曲がりに回転する状態)であることが、公式戦闘記録と一致している」と述べています。そう。比叡は確かに、海戦「第三次ソロモン海戦第一次戦闘」(関連記事)で舵を動かす装置が破壊されて、舵が面舵の状態から動かなくなっていました。
中でも筆者が注目したのが「オペレーションルームの様子」の写真です。この「ディスプレイに写っている画像」をよく見てみてください。この画像から、高精度ソナーでスキャンした海底に沈む比叡の姿と周囲に沈んでいる他の沈船の艦名と位置を確認できます。
比叡は船体が半分しか写っていません。スクリュー部分や舵が船体の上側に確認できることから、海底に沈んでいる比叡は「船体後部が転覆した状態である」と推定されます。
このことから一部の専門家は、「比叡は自沈したのではなく、戦闘中に爆発して沈んだ証拠」とコメントしています。しかし、複数の戦闘記録や当時比叡の艦長だった西田正雄氏をはじめとする複数の証言から、比叡は「15時に自沈処理をして乗員が退艦」し、「護衛の第27駆逐隊が戦場を離脱した17時までは浮かんでいた」ものの、「第27駆逐隊が同じ海域に再び戻ってきた23時には比叡の姿はなかった」ことから、日米両軍が戦場を離れていた「17時から23時までの間に、誰にも見られないまま沈没した」のは、まず間違いのないところです。
戦場は水深が900メートル近くあるために、沈下の途中で船体が回転する可能性は高く、上下が逆さまになった時点で弾薬庫に残っていた炸薬が爆発して船体が破断したのではないかと思われます。
そして、上部のディスプレイには周囲にある他の沈船情報として日本海軍の駆逐艦「夕立」「暁」「高波」の名を視認できます。また、比叡とともに戦って、比叡が沈んだ2日後の第三次ソロモン海戦第二次戦闘で沈没した同型艦「霧島」の沈没位置も把握していると探索チームは述べています。霧島については過去に沈船調査の報告があったこともあり、近いうちに霧島発見の報があるかもしれません。
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