コラム
» 2019年03月11日 20時00分 公開

“ネット鎖国”のジャニーズが放った「バーチャルジャニーズ」 ジャニオタは何に戸惑い、何に希望を見たのか (2/2)

[芦屋こみね,ねとらぼ]
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バーチャルジャニーズプロジェクトで、ジャニーズ事務所がしたかったこと

 今回「バーチャルジャニーズプロジェクト」を通して事務所がしたかったのは、「今いるファンを喜ばせる」ことではなく、「ジャニーズのファンでない人間をジャニーズのファンにする」ことなのだと思う。

 先日とあるジャニーズJr.のグループが、モバイルゲーム原作の舞台に出演すると発表された。その告知に対して「ジャニーズより、もっと舞台を愛している人に演じてほしかった」との声が寄せられた。

 もちろん「俳優でもある原作声優が適任なのでは?」「単純にイメージと違う」などの声もあったが、「とにかくジャニーズは嫌」「彼らは舞台芝居ができない」という意見も見られた。

 ジャニーズJr.は先輩たちの舞台やコンサートを盛り上げる。それと同時に、自主活動では本格的なミュージカルや芝居も行う。時に過酷なスケジュールの中、完璧を目指すプロのパフォーマーだ。舞台経験が豊富で、演技力のある者も多い。

 しかし、ジャニーズファン以外には、ジャニーズが何をしているのかわからない。メジャーデビューしていないジャニーズJr.であればなおさらだ。懸命に舞台に立ち続けても、真摯に取り組んでも、外部にはなかなか伝わらない。「ジャニーズ事務所」という看板によって、むしろ実力を評価されなくなっている。

 タレントを売るためには、その存在を発信する場が必要だ。多くの芸能事務所はタレントの特色を生かし、ネットでの広報活動を行う。しかし、ネット関係を一切遮断する事務所の方針では、いつかファンになるかもしれない“外部”に向けての発信がほとんどできていなかった。

「バーチャルジャニーズ」から「リアルなコンサート」へ

 「バーチャルジャニーズプロジェクト」は、その状況を打破できるプロジェクトなのではないか。先述したゲーム原作舞台への出演もそうだが、「ジャニーズが何をしているか知らない人たち」へのジャニーズ事務所の一手だ。

 ジャニーズタレントの外見は“武器”だ。その武器をあえて使わずに、バーチャルアイドルの「中の人」となる。リアルなステージは用意されていない。しかし、未開拓の大きな戦場だ。

 その戦場で彼らが戦えば、こんな“新規ルート”もあるかもしれない。

 SHOWROOMでの配信を見た人が「中の人」に興味を持ち、情報をチェックしようと名前を検索する。先日オープンしたジャニーズJr.の動画配信サイト「ISLAND TV」の無料動画を見て、さらに興味を深める人がいるかもしれない。コンサートへ行ってみたい! 出演舞台を観劇してみたい! と思ったなら、年会費2500円と、比較的低価格のファンクラブ「Jr.情報局」に入会し、ネットでチケットの申し込みをする……。

 今までになかったジャニーズファンへのルートだ。こういう流れが、もっと強固で大きな流れになっていけばいい。ネット発信のプロジェクトが成功すれば、事務所はネット進出のメリットを知る。ネットでの情報発信に積極的になれば「ジャニーズという看板によってむしろ実力を評価されない」という現状を変えられるかもしれない。

 「バーチャルジャニーズプロジェクト」は、長年「ネット鎖国」を続けていたジャニーズ事務所のファンからすると、衝撃的な出来事だ。いい変化なのか、悪い変化なのかは意見が分かれる。ただ、進化し続けない限り、芸能界で同じ地位に座り続けることは難しい。それは明らかだ。

 「ジャニーズなんて」と思う人をもファンにするには、実力しかない。そして実力を多くの人に見せる場が整いつつある。飛鳥と星空の、そして藤原くんと大橋くんのSHOWROOMは、そんな過渡期を感じさせる勢いで、今日も盛り上がっている。

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