エッチなビデオが好きすぎる受験生のおかげでドリームズカムトゥルー 一見すると下品な漫画が謎の感動を呼ぶ

記事のタイトルに書けないほど下品な題名からは、想像もつかないようなハッピーエンド。

[沓澤真二，ねとらぼ]

　「淫乱巨乳ナース 夜の注射の巻」などという、載せたら内外から怒られそうなタイトルのTwitter漫画が意外にもエロくはなく、むしろいい話だったので紹介します。大丈夫、きっと大丈夫。

信じてもらえないかもしれませんが、真面目な熱血漫画です（異論の余地は多々あります）

　主人公は無気力で、惰性で生きているような青年。「楽そうだから」と選んだアダルト系専門のレンタルビデオ店で、なんとなく働く日々を過ごしています。ところがそのマンネリな日常は、奇妙な客によって打ち破られます。

　訪ねてきたのは、合格ハチマキを頭に締めた古典漫画表現的な受験生。志望は東大理科三類と、国内トップクラスの難関に挑む身でありながらアダルトなビデオを10本も借りようとする、余裕があるのか自暴自棄なのかよく分からない男です。

　「10本も借りている場合じゃないだろう」と内心思いつつ、粛々と貸し出し手続きを済ませる主人公。この医師志望とおぼしき受験生のように、自分も夢を追いかけていた日々があったなと、ミュージシャンを志した過去を振り返りながら翌日も店番に立ちます。

「エッチなビデオを大量に借りながら医師を目指す受験生」と自分を、むやみに重ね合わせていいものだろうか

　すると、しんみりムードを打ち砕くかのように、またもやあの受験生が来店。前日借りたばかりなのに、追加で10本も借りようとレジに来ます。

　とうとう人ごとだと思えなくなった主人公は、「もっと本気になれよッ！！」と一喝。医者を目指しているやつが2日で20本もエッチなビデオを借りるなと説くと、客は無言で退いていきました。抑えていた気持ちをはっきり口に出せたものの、主人公は「自分が夢を諦めたからといって、無関係な人に八つ当たりしてしまった」と、またモヤモヤしてしまいます。

　しかし、客は退店していませんでした。借りるビデオをこの漫画のタイトルでもある「淫乱巨乳ナース 夜の注射の巻」に絞って、再びレジへ出しに来たのです。……厳選して数を減らせばいいって問題じゃないんだよ。

　それ以来、彼がビデオを借りにくることはありませんでした。夢に専念するようになったのか、諦めたのかは分かりません。

　そして主人公はというと、再びミュージシャンを目指して成功し、テレビ出演を実現しました。奏でる曲は「でもそんな医者には診（み）られたくない」。夢へ再出発するきっかけになった受験生に感謝とディスりを込めて、「ナースに手を出すな〜」と歌います。

　一方、ある病院ではその歌を聞きながら「僕も夢を後押しされた日を思い出してね」と語る医師の姿が。彼の正体はもしかして、あのときの受験生……？

　作者の森なつめ（@natsumemori）さんには、「爆笑と感動が詰まってる」「誰も不幸になっていなくて好き」と絶賛の声が多数。その一方で、「これで最後の医師が全然関係ない人だったら最高にロック」と、不安を誘うリプライも寄せられています。ありえなくはないから困る。

作品提供：森なつめ（@natsumemori）さん