これまで撮った「片手袋」の写真は4000枚超 築地に通って約20年、“片手袋研究家”による同人誌が奥深い:司書みさきの同人誌レビューノート
趣味、ここに極まれり。
かつてない長さの連休ですねと、あちこちでにぎやかな声が聞こえます。さまざまな催しもあり、皆さまお出かけになる機会も多いでしょうか。でも気持ちがわくわくしすぎたせいか、出かけた先で落としものや忘れものをして、少ししょんぼりした経験も……。でも、あなたの落としものが、実は誰かの気持ちを盛り上げているかもしれませんよ。
今回紹介する同人誌
『さよなら、築地の片手袋たち』A5 24ページ 表紙・本文カラー
作者:石井公二
片手袋研究家さんが着目したのは……築地!
今回の同人誌の作者さんは「片手袋研究家」さんです。道端の誰がいつ落としたとも知れない片方だけの手袋、それに魅かれて撮った写真は4000枚以上ですって! 確かに手袋が片方だけ落ちている、その光景だけでノスタルジックな物語を感じさせますが、それにしてもすごいです。手袋の落しものなんてそうそう出会えるものではなさそうですが、20年近く築地に通いつづけられた作者さんによると、かつての築地市場は常に片手袋と出会える「片手袋の聖地」だったのだとか。
早春に急に寒くなることもありますが、手袋の落しものなんて冬までじゃないかしら? という私の思い込みを覆す片手袋写真がこちらのご本にはたくさん掲載されています。軍手やゴム手袋、色や厚みも違う片手袋たちがずらり。その多様な種類に戸惑いますが、使用目的や落ちていた場所によって分類できる図が、研究家である作者さんによって作成されています。分類するほど片手袋に出会うというすご味が冒頭から発生です。
こんなにも多様な片手袋が発生する聖地、築地に、作者さんは“「片手袋ってこんなもんだろう」という思い込みを覆してくれる”と思いを寄せます。
魚河岸で働くプロと観光の見学者たちと……混ざり合う空気を片手袋が教えてくれる
かつての築地市場はあくまで仕事の場であり、一般の人は足を踏み入れることが難しい場所でした。それがやがて観光目的でも人を集める場所となり、訪れる層が変わっていきます。そんな築地の変化を片手袋からも感じることができるのです。
まずは手袋の用途に注目。街を歩いて出会う片手袋は、もっぱら防寒やファッションを目的としたものであるのに対して、築地では作業用の手袋の落しものが目立ちます。それは築地の近くの街、銀座と比較したときにも明らかとのこと。けれど作者さんはある日、築地市場で発見します。子ども用の手袋を! 「こんなところでこんな片手袋と出会う時代になったんだな」と感慨深かったそうですが、読み手としては「ははあ、そこに驚くんですか」と、見過ごしてしまいそうなところに着目する楽しさを教えてもらった点の方に感嘆します。
ご本は全ページカラーで豊富な写真が掲載されるとともに、手袋と出会った状況や作者さんが築地市場に寄せる思いがエッセイのようにやわらかく語られます。文章には片手袋に端を発しながら、築地市場で働く人のちょっとした愉快なエピソードや、豊洲への移転で取り沙汰された築地市場への外部からの評価に心を痛めたことも織り込まれながら、その筆致はあくまで穏やかで、さながら道端に落ちた片手袋に寄り添うがごときやさしさです。
変わりゆく、それを記録すること
片手袋がこんなにたくさんの情報を秘めているなんて、とご本を読んで深々と息をつきました。個別の事情を大きさや素材から読みとり、さらに膨大な数を取りまとめて整理していくことで、大きな流れをそこに見いだします。日常のほんの少しのアクシデントの痕跡が街の様子とリンクした記録になっている面白さ、それは片手袋の落しものというどこか日陰的な雰囲気と相まってひそやかな楽しみを感じさせます。さらに他者と接触する象徴的な人間の器官「手」にまつわるものが、人々の営みの場である街が変わっていくさまをも表している、その興味深さと郷愁がこのご本には書き残されています。
大きく変わるものがあっても、それまでの日々が記録されて残っていくように。もしかしたら、新しい時代のはじまりですけど、意外といつもと一緒のなんてことのない日になるのかもしれません。今日のこの日も、なんてことのない小さな出来事が記憶に残り、記録に残って、後世の誰かに伝わるのかもしれません。
サークル情報
Webサイト:http://katatebukuro.com/
入手できる場所:「マニアックス マニファクチャリング」(通販)、「マニアコンビニ」(実店舗、東京都中央区日本橋堀留町1-7-11)、2019年5月7日まで東急ハンズ新宿店で開催中の「マニアフェスタ×東急ハンズ」でも販売中
今週の余談
元号がこんな風に変わるなんて思ってもみませんでしたが、新しい出来事をわくわくしながら迎えられる喜びっていいですね。それと同時に、和暦でも西暦でも問わないので、同人誌にも奥付を書いてください―! と切に思うのです。たどるのに重要な手掛かりとなるので、奥付に発行日を書く際はぜひ年月日をご記載いただくと、未来の誰かが感涙します!
みさき紹介文
図書館司書。公共図書館などを経て、現在は専門図書館に勤務。自身でも同人誌を作り、サークル活動歴は「人生の半分を越えたあたりで数えるのをやめました」と語る。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
鮮魚店で瀕死の“巨大ガニ”を購入→家に連れて帰り、お風呂場に放ってみると…… まさかの展開に「こわっww」と800万表示
雑草ボーボーの荒れ地に“牛3頭”を放牧→2週間後…… まさかの光景に「感動しました」「いい仕事してますねぇ~!!」
5歳のときにトレーニングを始めた女の子→3年後…… 現在の姿が「ハハハすごすぎる」「めちゃくちゃ尊敬」と250万再生【海外】
古いタオルを手で裂いていくだけで→「すごい…」「意外!」便利アイテムに! 生活の質“爆上がり”アイデアが話題
「夢見たディスプレイ」空中浮遊するガンダムのプラモデル、その仕組みは…… “122時間”かけて作った超大作が40万再生「マジで感激」
海外で暮らすパパとビデオ通話中、1歳娘がとったけなげな“行動” 大反響から約1年後……家族の現在を聞いた
←夫に出すやつ 自分で食べるやつ→ 目を疑うレベルの“落差”に爆笑「わ~おw」「なんかとんでもないのいた」
妻「“157センチ、43キロが理想”と言う夫に、かわいいと言われたい」→プロに依頼したら…… 「エグッ!」「黒木瞳さんかと」
伸び放題になった実家の庭木→50代女性が2日間どんどん切ったら…… “見違える光景”に「さすがですね!」「明日は我が身」
最初に軽く結ぶだけで…… 2000万再生された“マフラーの巻き方”に反響「これは使える」「素晴らしいアイデア」【海外】
- パパに抱っこされる娘、13年後の成人式に同じ場所とポーズで再現したら…… 「お父さん若返った?笑」「時止まってる」2人の姿に驚き
- 古いバスタオルをザクザク切って縫い付けると…… 目からウロコの再利用に「すてきなアイデア」【海外】
- 14歳のとき、親友の兄と付き合うことになった女性→13年後…… “まさかの結末”に「韓国ドラマみたい」【海外】
- リンゴを1年間、水の中で放置→顕微鏡で見てみたら…… 衝撃の実験結果に「これはすごい」「息をのみました」【海外】
- 海釣り中、黒猫に「ちょっと来い」と呼び出された釣り人 → 付いて行くと…… 運命のような保護から2年、飼い主に話を聞いた
- “駐車場2台分”の土地に、建築家の夫が家を建てたら…… “とんでもない空間”に驚き「すごい。流行る」
- 「なんだこの暗号は……」 マクドナルドの“大人だけが読めるメッセージ”が410万表示「懐かしい~」「読める人同世代w」
- 着陸する戦闘機を撮ったはずが…… タイミングが絶妙すぎる1枚に「一部の専門家には貴重な一枚」 投稿者に話を聞いた
- ズボラ母が5人分サンドイッチを爆速で作ったら…… 目からウロコの時短テクと美しい仕上がりに「信じられない」
- 【今日の計算】「7-2×0+9」を計算せよ
- ドブで捕獲したザリガニを“清らかな天然水”で2週間育てたら…… 「こりゃすごい」興味深い結末が195万再生「初めて見た」
- 「配慮が足りない」 映画の入場特典で「おみくじ」配布→“大凶”も…… 指摘受け配給元謝罪「深くお詫び」
- 母「昔は何十人もの男性の誘いを断った」→娘は疑っていたが…… 当時の“モテ必至の姿”が1170万再生「なんてこった!」【海外】
- 風呂に入ろうとしたら…… 子どもから“超高難易度ミッション”が課されていた父に笑いと同情 「父さんはどのようにしてこのお風呂に入るのか」
- 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
- 市役所で手続き中、急に笑い出した職員→何かと思って横を見たら…… 衝撃の光景が340万表示 飼い主にその後を聞いた
- 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
- DIYで室温が約10℃変わった「トイレの寒さ対策」が310万再生 コスパ最強のアイデアへ「天才!」「これすごくいい」
- 「こんなおばあちゃん憧れ」 80代女性が1週間分の晩ご飯を作り置き “まねしたくなるレシピ”に感嘆「同じものを繰り返していたので助かる」
- 岡田紗佳、生配信での発言を謝罪 「とても不快」「暴言だと思う」「残念すぎ」と物議