広瀬アリスの新人らしい苦悩に共感「ラジエーションハウス」4話 続く5話は“マンネリ”を脱せるか?
今回は“医療ドラマ”というより、広瀬アリスが主役の“お仕事ドラマ”。
「ラジエーションハウス〜放射線科の診断レポート〜」(フジテレビ系)の第4話が4月29日に放送された。今回は“医療ドラマ”というより、広瀬アリスが主役の“お仕事ドラマ”と呼びたい内容であった。
第4話あらすじ「今、喜ぶところじゃないんですか?」
五十嵐唯織(窪田正孝)は、甘春杏(本田翼)と偶然出くわした。杏は、友人を誘って飲みに行った帰り。公園で杏を介抱した唯織は、彼女が以前股関節痛と診断した男性患者のことを気にかけていると知る。唯織は杏の力になろうと動き出し、その患者の再検査を決行。唯織の勝手な行動に放射線科長の鏑木安富(浅野和之)は激怒し、もし異常が見られなかったら唯織に相応の処分をすると宣言した。再検査の結果は異常なし。「残念でしたね」と言う鏑木に、唯織は「残念? 今、喜ぶところじゃないんですか? 異常がないと確かめたことのどこが無駄なんですか?」と返答した。
ある日、ロックバンドでギターを弾いている大学生・坂元美月(山本舞香)が来院した。美月は右肩の痛みを訴えていたが、検査をしてもその原因は特定できず。整形外科の辻村駿太郎(鈴木伸之)は、しばらく様子を見ると美月に伝えた。高校時代はバスケットボールに打ち込み、全国大会を目指していた裕乃は、プロデビューの夢は破れたものの仲間たちとの最後のライブの成功を願う美月にかつての自分を重ね合わせていた。
裕乃は放射線技師長・小野寺俊夫(遠藤憲一)から「俺たちはチームだから遠慮すんな」と言われ、美月の再検査を申し出た。撮影を任されたのは裕乃本人。結果、機転を利かせて肩周辺を広目に撮影した裕乃のファインプレ―によって美月の気胸が判明した。美月はラストライブまでに回復し、唯織にファインプレーを褒められた裕乃は自信が回復した。
お仕事ドラマだった
春は新人にとって門出であり、苦難の季節。そんなシーズンにふさわしく、今回は裕乃の回だった。彼女は新人だ。周りの技師が自分より優秀なのは当然。しかし、裕乃は頑張らなければと奮闘し、空回りしっ放し。いつも「すいません」と謝り、自分はダメと落ち込む毎日である。しかも、同期は唯織なのだ。裕乃のコンプレックスは決壊寸前だった。つまり、今回は“医療ドラマ”というより“お仕事ドラマ”の雰囲気である。
唯織は、杏が気になっている股関節痛の患者について調べ始める。これがスタンドプレーに見えた裕乃はイライラし、思わず唯織を怒鳴った。
「五十嵐さんはどうしてそんなことができるんですか!? みんなに迷惑を掛けて何とも思わないんですか!」
八つ当たりだ。ただでさえ唯織との差を感じて落ち込んでいるのに、なんでこの人だけ勝手なことができるのか。裕乃の焦燥感は爆発した。そんな彼女もレントゲン撮影を唯織に褒められたことで劣等感は解消。唯織は患者の異常を発見するだけでなく、裕乃の心の悩みも治療した。原作では、これを機に裕乃が唯織へ恋心を抱くようになるのだが、果たして……。
窪田正孝&本田翼「JR SKI SKI」のようなシーンが登場
杏も唯織を意識し始めている。友人に「気になる人は?」と問われ、つい唯織のことを思い浮かべた杏。その後、泥酔状態で唯織と会った彼女は酔い潰れ、唯織の肩に頭を乗せて寄りかかった。似たような場面を見たことがある。2013年「JR SKI SKI」のCMだ。新幹線の車中、眠りに落ちた窪田が本田の肩に頭をもたげ、本田がドキドキしているシーンである。今回は窪田と本田の立場が逆になったが、思い出した人もきっと多いはず。
喜びのステージは続く。唯織が進める股関節痛患者の再検査は自分のためと気付いた杏は、唯織を呼び止めた。
「五十嵐さん! 言い忘れてましたけど……いろいろとありがとうございました」
天敵呼ばわりしていた唯織に、杏は頭を下げた。彼女が唯織を意識し出すということは、医療への意識の変化も表している。腑に落ちないことがあっても他の医師の同調圧力に屈し、ジレンマを感じつつ流されてきた杏。しかし、次第に唯織の行動(暴走)に理解を示すようになる。美月のレントゲン写真を確認する際は、わざわざ唯織の意見を仰いだ。原作通り進むなら、この先、唯織の協力を得て杏が大手術を成功させるエピソードも待っている。見ものだ。
このままだとマンネリ
神回だった3話に続いての今回。期待値は十分だったが、正直、かなりテンションは落ちた印象だ。
まず気になるのは、ドラマの流れが悪い意味でマンネリ化していること。「唯織が勝手に検査を行う→鏑木が怒る→唯織の正当性が認められる」というフォーマットが図らずも出来上がってしまっている。医師がオーダーを出し、技師が撮影するという業務フローはどうなっている? いいかげん突っ込みたい。油断していると次回も次次回も、「ラジエーションハウス」はこのままで行く不安があるからだ。
あと、終盤の八嶋智人のナレーションにくどさを感じている。いらないと思うことが多い。いつも、視聴者がドラマを見て感じたことをそのまま言っているだけなのだ。押し付けがましさに白けてしまう。
学生時代にバスケ部だった裕乃の回想シーンも気になった。試合中、彼女は膝を負傷した。あのとき、裕乃は右膝に氷のうを当てていたのに、後日、松葉杖をつく彼女がかばっていたのは左膝だ。サポーターを巻いているのもそっちの足。数日前より気にしていたのも左膝だった。看過できない。設定が雑だ。
そんな中、次の第5話は期待できる。原作で、乳がんを取り上げた回(3話)に劣らぬ人気を誇る感動のエピソードが放送されるのだ。唯織は「アンナチュラル」(TBS系)の三澄ミコト(石原さとみ)ばりの大活躍をするはず。気を取り直して、今夜の放送に期待して臨みたい。
1話見どころ
2話見どころ
3話見どころ
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