「ラジエーションハウス」初回のつまずきを検証「平成最後の月9」よ、演出もテンポも古くないか? そして本田翼! ファンでもつらいぞ
本田翼と医師の掛け合わせが微妙……2話に期待している!
「ラジエーションハウス〜放射線科の診断レポート〜」に対する期待値は、それはもう高かった。“平成最後の月9”にフジテレビが特段の力を入れているとうかがえたからだ。特に注目は「HERO」シリーズを手掛け、「王様のレストラン」では演出を務めた鈴木雅之が監督を務める陣容にあった。
意図的に踏襲した「HERO」の演出手法
4月8日放送の初回を見たかぎり、「ラジエーションハウス」は明らかに「HERO」の手法を踏襲している。オープニングでキャストが横一列に並ぶシーン。エレベーターで同僚たちが新人について会話している場面。PCを見ているテイで全員が1つのカメラをのぞき込むショット、などなど。
おそらく、意図的だと思う。月9のイメージがない窪田正孝が平成ドラマの懐かしい世界観に放り込まれた画は新鮮でもあった。「HERO」との類似性に気付く視聴者へのサービスの意味合いもあるのだろう。
それら全部を踏まえて、功を奏していなかった。「HERO」的な演出は医療ドラマに合ってない。無駄に「HERO」がチラつくし、言っても10年前の手法だ。今の時代にそぐわない。何より、この手法を取るならば「HERO」を見ているほうが断然おもしろいのだ。
なぜ、初回を30分拡大版にしようとするのか?
初回を30分拡大版にするドラマが最近は多い。スペシャル感を出したいのだろう。でも、無駄なシーンが増えてテンポが悪くなってしまっている。時間を延長するなら、長尺にふさわしい密度の脚本にするべきだ。「ラジエーションハウス」に関して言えば、初回は絶対に1時間で収まった。
特に気になったのは、五十嵐唯織(窪田正孝)が金属アーチファクトの不具合を補正する画像処理を思い付いた場面だ。散々引っ張ったあげく、数字が羅列する「マトリックス」みたいな演出である。ダサい。今後、いつもあんなハッカーみたいな感じで切れ者を表現するのだろうか? あのシーンに掛ける尺も長すぎた。やはり、テンポが悪い。「変に水増ししてほしくない」と筆者が不安を吐露したのは、前回のレビューだった。
「本田翼」と「医師」の掛け合わせの結果は……?
触れなければならないことがある。本田翼の演技力についてだ。前回のレビューで「甘春杏のキャラクターと本田の芝居のベクトルは合ってると思えない」と心配したが、不安が的中してしまった。私は本田翼が大好きだ。筆者から見て、今作は本田翼史上最もうまくこなせていない。「ゆうべはお楽しみでしたね」(TBS系)や「わにとかげぎす」(TBS系)、「奥様は、取り扱い注意」(日本テレビ系)での本田の芝居は良かった。世間が叩くほど、彼女の芝居は悪くないと思っていた。というか、上達していると思ったのだ。BeeTV「午前3時の無法地帯」(2013年)で本田を起用した山下敦弘監督は、本読みリハーサルでの彼女を見て「どうしよう……」と頭を抱えたという。その頃から比べれば、間違いなく上達している。
でも、医師役はあまりにミスマッチだった。こう言っては元も子もないが、彼女は声質的に重みのあるせりふが似合わない。専門用語が並ぶ医療ドラマだと持ち味が発揮できない(何なら、初回ゲストの森矢カンナのほうが杏には合ってたりする)。天真爛まんな役を演じるときはかなりいい芝居をする人なので、余計に杏との相性の悪さが憎い。
2話がダメだったら本当にヤバい
ただ、1話だけで結論を出すのは早計。今回の位相画像のエピソードは、原作でも最も専門的で難解な話だからだ。以降は、もっと身近で感情移入しやすい回が続く。加えて、あまりにもな煽りで上がった視聴者のハードルは、幸か不幸か初回を経てかなり下がったと思う。
このドラマが伝えようとするテーマは理解している。唯織に異常を発見されたバスの運転手は、治療後、医師にお礼を言った。それをさも当然と受け入れる医師。2人がやりとりする後ろを何事もなく通り過ぎる唯織。自分を救ったのは医師だと認識する患者と、診療放射線技師の“縁の下のヒーロー”っぷり。これが、「ラジエーションハウス」の大きな柱となっていくはずだ。決して、スカスカなドラマではない。
次回は通常の1時間枠に戻り、間延びの不安は軽減する。しかも、第2話では原作でも人気が集中する屈指の感動エピソードが放送される予定だ(逆に言うとこれがダメだったら本当にヤバい)。妙な昂ぶりはリセットし、しらふになったテンションで今夜放送の2話に臨みたいと思う。
寺西ジャジューカ
ライター。本田翼が大好き。Facebook
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