ニュース
» 2019年05月15日 18時00分 公開

モズの「はやにえ」の機能が解明される エサを食べる→歌がうまくなる→メスにもてるというリア充ルートが待っていた

モズの世界も厳しかった。

[神奈川はな,ねとらぼ]

 大阪市立大学と北海道大学の共同研究チームが、捕えた獲物を木々の枝先などに突き刺すモズの行動「はやにえ」の機能を解明したと発表しました

モズのはやにえ モズ(画像は写真ACから)

 研究を行ったのは大阪市立大学大学院理学研究科の西田有佑特任講師と北海道大学大学院理学研究院の高木昌興教授。これまで謎だったモズのはやにえの機能を、野外観察と操作実験を通して明らかにしました。

モズのはやにえ モズのオス
モズのはやにえ モズが作ったバッタのはやにえ

 はやにえの機能の仮説で有力だったのは、餌の少ない冬に向けて食糧を備えておき、飢餓を回避する「冬の保存食説」。大阪府の里山で行った調査では、次の2点が明らかになりました。

  • モズのオスは非繁殖期にのみはやにえを生産し、そのほとんどを繁殖期が始まるまでに食べ尽くす
  • はやにえの消費数は気温が低くなるにつれて増え、一年で最も寒い1月にピークに達する
はやにえの消費
モズのはやにえ はやにえを食べるモズ

 しかし、ここで1つの疑問が生じます。1月と同じように気温が低い2月にも多くのはやにえが消費されてもいいはずなのに、実際に消費された量はわずかだったのです。

モズのはやにえ モズのはやにえの生産量と消費量の季節変化と気温の関係。横軸の数値ははやにえ調査を行った月を表す。白の棒グラフははやにえの生産数(平均値±SD)、赤の棒グラフははやにえの消費数、青の折れ線は最低気温の平均値を表す

 はやにえには冬の保存食以外の機能も備わっている可能性があると考えたチームは以下の点を考え合わせ、「モズのオスははやにえを消費することで、繁殖期の歌の質(=歌唱速度)を高められるのではないか」という仮説を立てます。

  • はやにえの消費が活発だった1月はモズの繁殖が始まる直前の時期
  • 栄養状態の良いオスは早口で(=速い歌唱速度で)歌うことができ、メスに好まれることが分かっている
モズの求愛
モズのはやにえ 求愛行動をするモズ

モズのはやにえ モズのオスの歌のスペクトログラム。上図は歌唱速度の速い、下図は遅い歌の例。横軸は時間(秒)、縦軸は音の高さ(kHz)、色の濃さは音量の大きさ(U)を表す。歌唱速度とは、オスが1秒間に発した音数の多さを表す歌特徴。歌唱速度が速いことは「早口」で歌うことを意味する

 これを実証するため、繁殖期のオスのなわばりを定期的に巡回して歌を録音。歌唱速度とはやにえの消費量の関係を調べた結果、消費量が多かったオスほど歌唱速度が速いことが分かりました。

モズのはやにえ はやにえの消費量と歌唱速度の関係

 チームは更に操作実験を実施。なわばり内のはやにえの量を操作して3つの実験群を用意し、各群の歌唱速度を比較しました。

  • はやにえを取り除いた「除去群」
  • 通常オスが消費するはやにえの3倍量相当の餌を与えた「給餌群」
  • はやにえの数を操作しなかった「対照群」

 この結果、対照群と比較して除去群のオスは歌唱速度が遅くなり、逆に給餌群のオスは歌唱速度が速くなることが明らかになりました。

モズのはやにえ 実験群ごとのオスの歌唱速度

 最後に、各実群のオスたちにおけるメスの獲得状況(成功率・時期)を観察。次のような結果が得られました。

  • 対照群と比較して除去群のオスはメス獲得に失敗しやすい
  • 給餌群のオスはメス獲得の成功率が高く、より早い時期にメスを獲得できる
モズのはやにえ 実験群ごとの、つがいメスの獲得成功率。%の値が大きい群ほど、多くのオスがメス獲得に成功したことを意味する。例えば、除去群の25%は、除去群の8個体中2個体のオスがメス獲得できたことを意味する
モズのはやにえ 実験群ごとの、オスがつがいメスを獲得した時期。縦軸の値が小さいほど、オスが早い時期にメスを獲得できたことを意味する。調査は4日に1回行ったので、このメスの獲得時期は4日間隔でまとめている。例えば、獲得時期「1」は「2月1日〜2月4日」のあいだに、獲得時期「2」は「2月5日〜2月9日」のあいだに、メスを獲得できたことを意味する

 以上のことからモズのオスのはやにえは、メスの獲得に重要な“歌の質”を高めるための栄養食として機能していることが分かりました。貯えた餌の消費がオスの性的な魅力を高める効果をもつことが実証されたのは世界で初めてだそうです。モズの世界も厳しかった。

 この内容は5月1日に国際学術誌『Animal Behaviour』のオンライン版に掲載されています。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10

  1. /nl/articles/2112/01/news155.jpg 高嶋ちさ子、ダウン症の姉とさだまさしのコンサートへ 笑顔あふれる3ショットに「姉妹で素敵」「癒やされました」の声
  2. /nl/articles/2112/01/news182.jpg アイドルが「虚偽の発言」「繋がり行為」など複数の違反行為 ファンのため“卒業”を提案するもブロック→解雇へ
  3. /nl/articles/2112/02/news012.jpg 年末年始は特に注意! 空き巣未遂にあった実体験漫画に「怖い」「気をつけないと」
  4. /nl/articles/2112/02/news121.jpg 「俺、死ぬな」 はじめしゃちょー、5日続いた39度の熱で救急病院へ 4キロ減した“意外な原因”に「みなさんも気をつけて!」
  5. /nl/articles/2112/01/news186.jpg 「私の留守中に着払いで」藤本美貴、秘密の買い物が夫にバレる 庄司智春の粋な対応に反響「ミキティにメロメロじゃ」
  6. /nl/articles/2112/02/news081.jpg 「凸してきたお前に困惑」 朝倉未来「1000万円企画」巡る週刊誌取材を非難 一般人の母親“激撮”へ「ヤバすぎる!」
  7. /nl/articles/2112/02/news098.jpg 竹原慎二、“ガチンコ”2期生・藤野と18年ぶりの大ゲンカ ピー音連打の不穏な現場に「待ってました」「完全にあの頃の二人」
  8. /nl/articles/2112/01/news118.jpg 渡辺美奈代、公開した自宅リビングが広すぎて“お姫様のお部屋” ゴージャスな部屋へファン「センスまで抜群」
  9. /nl/articles/2112/01/news020.jpg 「キレッキレ!」「何回見ても笑えるwww」 白柴犬の激しすぎる後ろ足の動きに国内外から大反響
  10. /nl/articles/2112/01/news015.jpg 人斬りが仕事の男が化け狐に懐かれて…… “悲しい化け物”の漫画に胸が苦しくなる

先月の総合アクセスTOP10

  1. 池田エライザ、 “お腹が出ている”体形を指摘する声へ「気にしていません」 1年前には体重58キロ公表も
  2. 「前歯を取られ歯茎を削られ」 広田レオナ、19歳デビュー作で“整形手術”を強制された恐怖体験
  3. ゴマキの弟・後藤祐樹、朝倉未来とのストリートファイトで45秒負け 左目腫らした姿を自ら公開し「もっと立って闘いたかった」
  4. 清原和博の元妻・亜希、16歳次男のレアショットを公開し反響 「スタイル抜群」「さすがモデルの遺伝子」
  5. 小林麻耶、おいっ子・めいっ子とのハロウィーン3ショットに反響 元気な姿に安堵の声が続々「幸せそうでなにより!」
  6. カエルに普段の50倍のエサをあげた結果…… 100点満点のリアクションに「想像以上で笑った」「癒やされました」
  7. 「左手は…どこ?」「片腕が消えてる」 中川翔子、謎が深まる“心霊疑惑”ショットにファン騒然
  8. 「家ではまともに歩けてない」 広田レオナ、左股関節に原因不明の“炎症” 夫から「凄い老けたと言われてます」
  9. 小林麻耶、髪ばっさりショートボブに「とても軽いです!」 ファンも反応「似合います」「気分も変わりますよね!」
  10. キンタロー。浅田舞の社交ダンス挑戦を受け体格差に驚がく 「手足が長い!!」「神様のイタズラがすぎるぞ!!」