ひょっこり? キリキリ? 三陸鉄道リアス線の真ん中あたりが楽しい:月刊乗り鉄話題(2019年8月版おかわり)(2/5 ページ)
三陸鉄道リアス線の真ん中区間へ
三陸鉄道の路線が北リアス線と南リアス線に分かれていた理由は、旧国鉄の廃止対象路線と建設中止となった区間を引き受けたからです。久慈線と宮古線が北リアス線、盛線が南リアス線となり、建設中の区間も完成させました。三陸鉄道に挟まれた宮古〜釜石間は、盛岡〜釜石間の山田線の一部だったために廃止されず、国鉄からJR東日本に引き継がれました。
2011年3月11日の東日本大震災で、三陸沿岸の鉄道も大きな被害を受けました。三陸鉄道は赤字だったため、国の復興支援を受けて鉄道として復旧できました。しかし宮古〜釜石間はJR東日本が運行しているため「国は黒字鉄道会社に公的支援できない」という理由で復旧が遅れました。
JR東日本は膨大な資金を投入して鉄道を復旧させても赤字になるとして、バス路線への転換を提案しました。一方、沿線の人々は鉄道にこだわりました。そこでJR東日本は全線を復旧させた上で路線を自治体に譲渡し、三陸鉄道が運営することになりました。
JR東日本としては、鉄道として復旧しても赤字、バスを運営しても赤字。それならば鉄道を復旧させた上で譲渡すれば、長い目で見ると長期に渡る赤字負担がなくなります。三陸鉄道は、宮古〜釜石間の南北で南リアス線、北リアス線を運営しており、譲受すれば1本の路線として効率的に管理できるようになるわけです。
JR東日本が復旧させた線路を見ると、かなりしっかりした線路ができています。コンクリート枕木を使い、線路はカーブに合わせてカントを作っています。カントとは左右のレール面の高さに差をつけること。道路で言うバンクです。つまり、高速に走行できるような線路を作りました。「譲渡するなら元通り程度で」ではなく、より良い線路を残してあげようと思ったようです。さすがJR東日本。これには鉄道屋の誇りと責任を感じました。
山田線の路線名の由来となった陸中山田駅で降りてみました。新築の駅舎は図書館や町民交流センターが入居して、街の拠点の1つになっています。次の列車まで約2時間、海岸へ行ってみたら、そこには白くて高い堤防がありました。海が見えません。見渡す限りの白い壁。海からの脅威に対抗するため、陸にあるものを奪われないようにするためのもの。あらためて津波の恐ろしさに触れる思いです。三陸鉄道の海沿いの区間では海が見えません。残念ですが、命を守ることが何よりも大切だと教えてくれる。そんな景色でした。
駅に戻ると、近くの店の電光掲示板に「マーボーカレーライス」の文字が流れていました。何だそれ? と興味が湧くと同時に、足が勝手に店内へ……。マーボーカレーライスは、カレーライスの上にマーボー豆腐をかけたメニューのようです。カレーとマーボー豆腐、それぞれ単品でもおいしいものを合わせたら、そりゃあおいしい。
もう一つ気になった料理はゴボウのから揚げ。揚げることでゴボウが柔らかくなり、うまみを引き立てています。うん、この店、大当たりだ(孤独のグルメ風)。
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