ひょっこり? キリキリ? 三陸鉄道リアス線の真ん中あたりが楽しい:月刊乗り鉄話題(2019年8月版おかわり)(5/5 ページ)
JR東日本、全路線制覇へ
SL銀河の旅の余韻に浸りつつ、最後の目的地、JR大船渡線に乗ります。大船渡線は一ノ関と盛を結ぶ路線です。こちらも山田線と同様、沿岸区間は津波の被害を受けました。現在は一ノ関〜気仙沼間が鉄道として復旧し、気仙沼〜盛間はBRT(バス高速輸送システム)に転換されています。
車窓はずっと山の中。一ノ関を出ると東へ進み、北上川を渡ると支流の砂鉄川に沿うように北へ向かいます。そして摺沢(すりさわ)駅から南下。地図を見ると北へ大きく迂回しているように見えます。北斗七星のひしゃくのような。当初は東西方向に直線的な路線にする予定でしたが、摺沢出身の政治家がルートを変更するよう働きかけました。「我田引水」ならぬ「我田引鉄」という言葉の由来になったといいます。この線路の形と、当時、子どもたちに人気だったアニメにあやかって、「ドラゴンレール」という愛称が付きました。
夕暮れの気仙沼駅に到着。5年前に来たときも夜だったなあ。あのときは名物の「気仙沼ホルモン」を食べて泊まりました。今回は一ノ関へ戻って最終の東北新幹線「やまびこ」で帰ります。ホルモンに後ろ髪を引かれつつ、一ノ関駅で買っておいた肉の駅弁が2つ。帰りの車内でいただきます。肉と鉄道を完遂しました。いや違う、これで「JR東日本の全路線制覇」です。めでたい。
今回の旅で、日本の鉄道全路線踏破の達成率は97.48%。ゴールが見えてきました。
杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)
乗り鉄。書き鉄。1967年東京都生まれ。年齢=鉄道趣味歴。信州大学経済学部卒。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。出版社アスキーにてPC雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年よりフリーライター。IT・ゲーム系ライターを経て、現在は鉄道分野で活動。鉄旅オブザイヤー選考委員。ITmedia ビジネスオンラインで「週刊鉄道経済」連載。著書に『(ゲームソフト)A列車で行こうシリーズ公式ガイドブック(KADOKAWA)』『ぼくは乗り鉄、おでかけ日和。(幻冬舎)』『列車ダイヤから鉄道を楽しむ方法(河出書房新社)』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」。
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