黒木華「凪のお暇」裏主役・慎二(高橋一生)はなぜ突如号泣したのか? 豆苗とぬか床が暴いた真実(1/2 ページ)

慎二、突然の号泣。初めて見る“本当の顔”に凪はパニック。

» 2019年09月06日 11時30分 公開
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 8月30日放送の「凪のお暇」(TBS系)第7話で、我聞慎二(高橋一生)が過呼吸を起こして倒れた。第1話では、大島凪(黒木華)が過呼吸で倒れている。自分が経験しないと他人の痛みはわからなかったということなのだろうか。


凪のお暇 慎二の本当の姿を知ってしまう凪 イラスト/まつもとりえこ

「何とかする」「何とかなる」で空気を失った慎二

 筆者は、我聞慎二(高橋一生)が主役だと思ってこのドラマを観ている。

 電気店のイベント用に必要な商品100台を載せた船が中国に戻ってしまった。担当者である慎二は窮地に陥る。このときの彼を取り囲む社内の雰囲気には異様なものがあった。皆、一様に他人事なのだ。「何とかなりますよ、我聞さんなら」の言葉の裏に「ざまあみろ」のニュアンスが潜んでいるように聞こえた。空気を読み、うまく立ち回って人間関係を丸く収めていたつもりが、慎二の言葉はうわべだけとみんな気付いていた。人望が厚いつもりが一線を引かれ、中には面白がる者までいる。慎二の要領の良さは妬まれていた。

 10年間行方不明だった兄の慎一(長谷川忍)が怪しげな情報商材を扱う動画をネットに上げていた。長男の健在を喜ぶより世間体を気にし、「死ねってこと!?」と錯乱する母の加奈子(西田尚美)。空気を読んだ慎二は、作り笑顔で母に言葉を掛ける。「俺が何とかするから」。

 凪はできないことの言い訳として「でも」を口癖にしていた。対照的に、慎二は空気を読んで「できない」と言えない状況に追い込まれている。「何とかする」「何とかなる」を口癖に全てを引き受けるのだ。

 クラブで久しぶりの慎一と作り笑顔で接する慎二。説得するつもりの弟は、兄に返り討ちにあった。

 「相変わらず仮面被って生きてんだ。反吐出るわ。お前が明るく楽しく笑顔で冗談飛ばして、いい空気醸し出していくらごまかそうとしたって、あの家根っこから腐ってんじゃん。なのに、今でも空気読んで生きてんだ〜。家でも職場でも女の前でも、何をそんなに守りたいの? お前もさ、1人でもいいから本当の顔晒せる相手がいたら、もう少し楽に生きられんじゃね?」(慎一)

 第2話でみんなでババ抜きしながらじゃがバターを食べたとき、慎二は「アットホームごっこ、反吐が出ます」とその場を立ち去った。慎二は実家でアットホームごっこをし続け、そんな自分に反吐が出そうだった。兄の言葉は自覚しているし、ずっと嫌悪している部分。だからぐうの音が出ず、言葉を何一つ返せない。いつもの笑顔から少しずつ引きつっていく慎二の表情。慎一は、慎二が憧れた“はぐれるイワシ”だった。

 仕事で重圧を受けた。慎一から「“本当の自分”を隠して生きている」と指摘された。市川円(唐田えりか)から、ブーメランのように「同僚」という言葉を放たれた。「空気は作るもの。読んだら負け」と豪語する慎二はみんなのために空気を作り続け、自分が吸う空気を失い、イベント中に過呼吸で倒れた。


凪のお暇 初期重要人物相関図。それぞれの成長により、心の距離や関係の性質が変化している イラスト/まつもとりえこ

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