【レビュー】e-bikeどれだけ走れる? 新世代スポーツ電アシ車「CRUISE」で伊豆半島約100キロを走ってみた(3/3 ページ)

» 2019年09月25日 11時00分 公開
[松本健多朗ねとらぼ]
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「上り坂がまるで平坦路だ/上り坂などではない」と錯覚してしまう、面白い感覚

 続いて、御浜海水浴場を経て県道17号線を走ります。ここはアップダウンがあるワインディングロードです。かなり走って疲れた体にアップダウンとなると通常ならばとてもキツイ場面ですが、CRUISEならば「上り坂がまるで平坦路になる/上り坂はないと錯覚する」アシストによって、楽々です。

御浜海水浴場を散策 御浜海水浴場を散策

 駿河湾に沈むキレイな夕日のフォトスポットとして有名な「煌めきの丘」に到着。バッテリー残量は28%で航続距離表示は30キロ。走行距離は約62.5キロでゴールまで残り26.5キロ。ゴールまで持つかどうかギリギリの計算ですが、ここから先は幸い下り坂と平地です。

煌めきの丘 きれいな夕日で知られる煌めきの丘
航続距離は30km 航続距離表示は30キロ
62.5km走行し、バッテリー残量は28% 走行距離は62.5キロ、バッテリー残量は28%

 走行距離80.2キロの地点(残り約9キロ)でバッテリー残量14%に。しかし航続距離表示は31キロのままでした。

平地が多くなったため安心して走れることに 平地でアシストをあまり使わない巡行ならば、バッテリーもあまり減らない
航続距離は31km 航続距離表示は残り31キロ
80.2km走行し、バッテリー残量は14% 80.2キロを走り、バッテリー残量は14%

 もう大丈夫だろうと余裕をかまし、ゴール手前、県道130号線の上り坂をガンガン力強く走っていたら、アシスト力がフッと弱くなった気がしました。サイコンを見るとバッテリー残量は6%で、航続距離表示は残り2キロ。おっと危ない。バッテリー残量が少なくなったことで、アシストモードが自動的にNORMALから「ECO」モードに切り替わったのです。

最後の上り坂を走る 最後の上り坂を走る
航続距離は僅か2km 航続距離表示はあと2キロ
85.3km走行し、バッテリー残量はついに6%に 走行距離は85.3キロ、バッテリー残量は6%。残りは約4キロ

 ……最後はECOモードに自動的に切り替わったことで延命できました。電欠しないようにもう無茶はせず、無事ゴール。走行距離89.2キロ。ゴール時のバッテリー残量は5%、航続距離表示は残り3キロでした。

コナステイ伊豆長岡へ到着 ゴール
航続距離は3km 航続距離表示は残り3キロだった
走行距離89.2km、バッテリー残量は5% 走行距離89.2キロ、バッテリー残量は5%

電動アシストスポーツ車は、峠道やワインディングロードも「楽しく」走れる

 フツーの人も、1日約100キロの自転車ライドが「ラクラクできる」。CRUISEは、普通の人──普段は街乗りでしか自転車に乗らない人であっても、峠や坂道を走るサイクリングを楽しみたいシーンに適しているといえそうです。

西伊豆スカイライン 雲が晴れれば絶景の西伊豆スカイライン

 一方、車体重量があるため、アシストが発生しない速度域でさらに加速したくてもスピードを出しにくい傾向はあります。法規制のため仕方ありませんが、海沿いなどの平地では時速30キロくらいで巡行できればなとは思います。

 やはり威力が爆発するのは、従来の自転車ではツライ上り坂です。CRUISEの電動ユニット STEPS E8080は、走り出してからのレスポンスが良く「スポーティな走り」のためのアシストが受けられます。程よい負荷でスルスルと上っていくのが面白いです。

 航続距離は、今回のようにやや長距離のライドとなると少し不安でしょうか。アシストとバッテリー使用量は走行状況や走り方によってかなり変わります。上り坂ではガンガン電力を使います。今回は約90キロの行程を無事電欠しないで走り切れましたが、スペックで最大115キロ、地図上で100キロの距離だから大丈夫だ──とは言えません。

 ちなみに伊豆半島においては「伊豆E-BIKE充電ネットワーク」というサービス(実証実験)があります。食事や入浴、拝観など、指定された伊豆地方の観光スポット/施設を利用すれば、無料で充電サービスを受けられるというe-bike普及支援のための取り組み。24カ所の施設にシマノ STEPS対応の充電器を配備します。他社電動ユニット利用者も充電器を持ち込めば充電サービスを受けられます。こういった施設があるととても安心できます。

 従来のスポーツ自転車ではハードルが高かった「新しい人、普通の人」を呼び込める可能性があるe-bike。今回試乗したミヤタ・CRUISE価格は26万9000円からと、e-bikeは自転車としては確かに少し高額かもしれません。しかし、1度乗ると「あれ、いいなこれ!」と思える楽しい乗りものです。

 なお、近年はこういった「楽しい/ラクラク」な特性からレンタサイクルでe-bikeを導入する観光施設も増えているそうです。「うほ、すげぇ」を体感すると、考え方ちょっと変わると思いますよ!



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