「マレフィセント」から5年――上戸彩、苦しんだプリンセス役乗り越え生まれた“変化”とは
約5年ぶりに再びオーロラ姫の声を務めます。
ディズニー長編アニメーション映画「眠れる森の美女」(1959年)で悪役として描かれたマレフィセントにスポットを当て、新たな伝説を描いた実写映画「マレフィセント2」が10月18日から公開中です。
「眠れる森の美女」は、マレフィセントの呪いによって永遠の眠りについたオーロラ姫が、王子様の“真実の愛”によって目を覚ますというストーリーでしたが、2014年公開の「マレフィセント」は、もともと心優しい妖精だったマレフィセント(アンジェリーナ・ジョリー)が恋人の裏切りによって闇落ちするも、オーロラ姫(エル・ファニング)を通して“真実の愛”に目覚める物語となっていました。
母娘のような愛情で結ばれた2人でしたが、続編となる「マレフィセント2」では、オーロラ姫婚礼の裏に隠れたワナにより、2人の絆が脅かされます。
キャストは、前作から引き続きマレフィセント役をアンジェリーナ・ジョリー、オーロラ姫役をエル・ファニングが担当し、日本語吹き替えでオーロラ姫を務めた上戸彩さんも続投が決定。2児の母親となった上戸さんに“5年の変化”と“これから”について聞きました。
――5年ぶりに再びオーロラ姫を演じますね。前作と今作を比べてご自身の変化はありましたか?
上戸彩さん(以下、上戸): 5年前は、自分がオーロラ姫を演じる自信がありませんでした。彼女の声が私に合っていないかもという思いがあり、自分のどの声が合うのか探りながらアフレコしていたんですが、監督から「ありのままの声で大丈夫」とお願いされました。でもエル・ファニングさんの芝居を見ながら声を入れているとだんだん声が低くなってきてしまって、てこずった記憶があります。
そうした経験があったので、今回はとてもスムーズに演じることができました。オーロラ自身がムーア国の女王として妖精を守る立場になり、せりふに“説得力”を持たせなければいけなかったので、前作よりも大人になったオーロラ姫を感じていただけるかなと思います。
――こだわったシーンなどはありますか?
上戸 冒頭のシーンですね。いなくなった妖精たちを守ろうと奮起する場面は何回か録り直しました。成長したオーロラ姫が登場する大事なシーンだったので、せりふに説得力を持たせたかったのと、女王として強くなったオーロラ姫を表現するために“一言一言しっかり言葉の重みを出す”ことに気を付けながら演じました。
――具体的にその“強さ”は前作と比べてどう演じ分けましたか?
上戸: 声の太さです。あまりそういうことを意識しながらアフレコはしていませんが、しっかりした内容のせりふだったので、太さのある声を意識しました。前作からの演じ分けも特に意識はしていないですね。
でも、この5年の間に同じくディズニー作品の「ズートピア」(2016年)ジュディ・ホップス役を始め、いろいろな声のお仕事をさせていただいていたので、声のお仕事に対しての不安はなくなりました。マイクとの距離や発声方法などコツを覚えてきた5年でもあったので、自分自身の経験が現れているんじゃないかなと思います。
――声のお仕事で不安を抱いたエピソードはありますか?
上戸: 「ズートピア」のとき、ダメ出しばかりされていて背中を丸くして帰るくらい落ち込みました。もとから持っていないんですけど、さらに自信をなくしましたね。
そこからまたいくつか作品をやらせていただいて「マレフィセント2」に挑んだので、これまでよりはスムーズに終えることができて、私自身も気持ちがよかったです。
――上戸さん自身もこの5年で周りの環境が変わりましたね。その中で、マレフィセントの“母性”をどう感じましたか?
上戸: 5年前はオーロラ姫目線でしか作品を見られていなかったところがありましたが、今回はどちらかというとマレフィセント目線で作品を追いかけてしまうところがありました。マレフィセントが不器用ながらにもオーロラ姫のために頑張る姿を見て、「オーロラ姫分かってあげてよ、気付いてあげてよ」と思っていました(笑)。
マレフィセントを演じているアンジェリーナに対しても、普段やらなそうな芝居をしている姿を見て、貴重なものを見たうれしさがありました。彼女が役を楽しんで演じている様子が画面を通して伝わってきたので、見ていて楽しかったです。
――最近では多くのディズニー作品が実写映画化され、あらためてディズニー作品の良さを実感している人もいると思います。実写化されたディズニー映画の素晴らしさはどこだと感じますか?
上戸: 日本でも多くの作品が実写化されていますが、原作がある作品は、すでにイメージができあがっているだけに大変だと思うんです。でも、ディズニーは期待を裏切らない。世界中の多くの人に認められるものを作れる、アニメーションを実写化できてしまうディズニーはすごいですね。4歳の娘にも「マレフィセント2」を見せたいなと思っています。
――環境の変化や経験の積み重ねを経て、次にやってみたい役などはありますか?
上戸: これまでいろいろなことをやってきたので、逆に自分がこれからどういう役ができるのかが分からないので、新境地を開いてくれる監督と出会いたいです。
映画を見に行って、「この女優さんはすごい」「自分にはできないな」と思うこともまだまだたくさんありますし、アフレコをしていても「私、こういう声が出せるんだ」と気付くこともあるんですが、そういう自分の知らない面に出会うためにどうすればいいのか自分では分からないので、新しいものと出会わせてくれる作品や私を料理してくれる方々に出会いたいです。自分にも分からない自分の新しい表情に出会いたいなと思っています。
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