願いと祝福、新時代のプリキュア映画は子どもたちに何を伝えたのか? 「映画スター☆トゥインクルプリキュア 星のうたに想いをこめて」を見て:サラリーマン、プリキュアを語る(1/2 ページ)
映画スタプリ、2日間で3回見に行くほどには最高の映画でした。心が温かくなります。
「宇宙で一番、優しい変身シーンを見た。これは願いの映画だ」。
映画館から出た僕は、最初にそう思いました。
「映画スター☆トゥインクルプリキュア 星のうたに想いをこめて」。お星さま誕生を巡る物語は優しさと願いに満ちた、僕にとって2019年最高の映画だったのです。
(※本記事には映画の重要なネタバレはありませんが、ストーリーの展開について少々触れています)。
kasumi プロフィール
プリキュア好きの会社員。2児の父。視聴率などさまざまなデータからプリキュアを考察する「プリキュアの数字ブログ」を執筆中。2016年4月1日に公開した記事「娘が、プリキュアに追いついた日」は、プリキュアを通じた父娘のやりとりが多くの人の感動を呼び、多数のネットメディアに取り上げられた。
- これまでのプリキュア連載一覧
映画スター☆トゥインクルプリキュア
2019年10月19日。「映画スター☆トゥインクルプリキュア 星のうたに想いをこめて」が公開されました。プリキュアシリーズ第16作目「スター☆トゥインクルプリキュア」の秋の単独映画にして、プリキュア映画としては通算27作品目となる作品です。
監督は2016年「映画魔法つかいプリキュア!奇跡の変身!キュアモフルン!」の田中裕太さん、脚本も同作品を手掛けた田中仁さんと「映画魔法つかいプリキュア!奇跡の変身!キュアモフルン!」のコンビが再集結しました(この2人はテレビシリース「Go!プリンセスプリキュア」も手掛けていて、プリキュアファンの間でも人気の高いコンビですよね)。
自分としても期待値マックスで見に行ったのですが、その期待値を大きく上回る、いや自分が想像していたもののはるかに斜め上を行くびっくりする程の面白さだったのです。
公開前より「いつものプリキュア映画とはちょっと違う」ことが公言されていた本作(大人向けな感じのイメージビジュアルなども公開されました)。
実際、この映画では終盤にプリキュアの新しい時代を象徴するような、ある「しかけ」が用意されていました。歴代のプリキュア映画とはちょっと趣の異なるラストシーンの演出。美しい音楽と映像で演出される「ラスト10分」は、「スター☆トゥインクルプリキュア」という作品を象徴するような「願いと優しさ」に満ちていたのです。
だからこそ、この映画のラスト10分をたくさんの人に見てほしい。たくさんの人に、感じてほしい。想像してほしい。そう思わずにはいられないのです。
プリキュア映画は子どもへ配慮して70分という短めの映画なのですけど、冒頭、宇宙から始まり沖縄を経由し世界各地を巡り、再び宇宙に行くという密度の濃い展開をこの時間に凝縮する構成はお見事としか言いようがありません(というか、この内容をどうやって70分に収めていたのか今でも分かりません。2時間くらいの内容ですよね)。
もちろん、プリキュアのことを全く知らない人でも十分に楽しめる内容となっています。もし、今あなたが単純に「面白い映画」が見たいと思ったのならば、ぜひこの映画をご覧ください。損はさせませんよ。
プリキュアと言葉が通じないユーマの物語
この映画は、プリキュアの元に突然現れた不思議な生物・ユーマとの物語です。もちろんスタプリ全員が活躍するのですが、この映画では星奈ひかる(キュアスター)と羽衣ララ(キュアミルキー)を中心に物語が展開されます。
映画冒頭は、「スター☆トゥインクルプリキュア」5人の宇宙でのアクションシーンから始まり、気分を盛り上げます(宇宙空間を飛ぶ姿がみんな違って個性的なのですよね)。子どもたちに存分にアクションを堪能してもらったところで、今回の物語のカギとなる宇宙生物ユーマとの出会いが訪れます。言葉がしゃべれないユーマ。ふとしたことがきっかけで音楽でコミュニケーションが取れることが分かり、ひかるとララはユーマとの友情を深めていきます。
沖縄に修学旅行中のえれな(キュアソレイユ)とまどか(キュアセレーネ)も合流し、ストーリーは加速していきます。
この高学年組が修学旅行で来ている沖縄の海や街並みが本当に美しく描写されているのですよね。これも映画の見どころの1つです。
また、ひかるとララはユーマの力を使って「世界各所のミステリースポット」にも出向きます。このシーンのひかるとララとユーマとフワが本当に楽しそうにしているのですよね(この沖縄と世界ミステリースポットの美しい描写は、後の重要な伏線になっていますので、お見逃しなく)。
ゆったりとした雰囲気の中、ユーマとプリキュアの友情が深まっていくのですが、そこはプリキュア映画。中盤、「宇宙ハンター」と呼ばれるユーマを狙う悪いヤツらが登場するのです。で、ここでのアクションシーンが超カッコイイのです。1vs1となる構図が大好きな自分としては、事前公開されていた「12星座ドレス」を駆使しての戦闘シーンは目を見張るものがありました。敵は強いが、プリキュアはもっと強い。子どもたちの声援を受けたプリキュアは無敵なのです。
「宇宙一、優しい変身シーン」
さて。プリキュア映画の定番としては、「ラストに巨大なラスボスが降臨、ピンチになりながらもミラクルライトの光で力を取り戻し、逆転勝利!」というものがあります。もちろんこの展開も超アツいのですけど、今作ではラストの展開がいつもと異なります。
今作はラスボスを倒して終わり、という単純な構成ではないのです。むしろ、そこから始まる「物語」がこの映画の見どころの1つといっても過言じゃありません。
歌がキーワードとなっている本作。その象徴は「変身シーン」に現れます。
終盤、キュアスターとキュアミルキーは「敵と戦うため」ではなく「ある目的」のために変身します。歌いながら、踊りながら変身していくその姿は、美術背景の美しさ、光の演出と相まってある種の神々しさすら感じ、この変身シーンはこの映画を象徴する名シーンの1つとなっています。
僕は、「宇宙で一番優しい変身シーン」だと感じました。この変身シーンを見るだけでも劇場に足を運ぶ価値がある、プリキュア映画が持っている「熱量」を全て「優しさ」に変換したようなステキな変身シーンなのです。
「スター☆トゥインクルプリキュア」は、「敵と戦うため」だけに変身するのではないのです。いつだって「大切な友達を守るため」に変身するのです。
関連記事
- 2世代を取り込む「ハートキャッチ」の強さ 「NHK全プリキュア大投票」を初動のデータから予測
NHK全プリキュア大投票は「ランキング」を語るのではなく、「愛」を語るのです。 - 「善悪はグラデーションで描く」 スター☆トゥインクルプリキュアが切り開く“新しいプリキュア観”
スター☆トゥインクルプリキュア、新しいエンディングが最高にカッコイイのでおすすめですよ。 - 新プリキュア「キュアコスモ」に見る、追加プリキュアの“商業上の重要性”について
ネコ耳、ネコシッポ、ネコポーズ、舌をペロっと出す変身。子どもにも大人にも人気出そう! - 的確な描写に「弓道警察」も納得? 「スター☆トゥインクルプリキュア」の弓道描写がスゴかった
個人的には「弓道警察」は人の心が生み出した形而上の存在だと思っています。 - 平成のプリキュアは、いかに“2度の危機”から復活したのか マクロ視点から振り返る
平成最後のプリキュア記事、気合入れて書いたら1万字を越えちゃいました。 - プリキュアも場合によっては“侵略者”となる 価値観の衝突を描いた「スター☆トゥインクルプリキュア」第8話がアツイ
「スター☆トゥインクルプリキュア」宇宙進出、本格始動です! - 「オヨ〜」が口癖 宇宙人プリキュア“キュアミルキー”は2本の触覚かわいい 「スター☆トゥインクルプリキュア」2月を振り返る
「HUGっと!プリキュア」の最終回にも少し触れています。 - 全人類がプリキュアになった日 「HUGっと!プリキュア」が示した「こうでなければならない」からの脱却
この記事は最終回1話前の第48話の時点で書いています。 - プリキュアはあと100年続く 「HUGっと!」から「スター☆トゥインクル」へ、1年の振り返りと“2018年の奇跡”
2018年のプリキュアの出来事を振り返りました。 - 平成の特異点「ハートキャッチプリキュア!」 “キュアマリン”が今も愛され続けている理由
NHK全プリキュア大投票は「熱量」が可視化されたすてきなイベントでした! - 14歳の娘と、8年ぶりにプリキュア映画を見に行ったお話
2018年のプリキュア映画は、女子中学生をも劇場に呼び戻す力がありました。 - 歴代プリキュア55人+αが勢ぞろい HUGプリ第37話「奇跡のBパート」で何が起きたのか
僕はその日、確かに「奇跡」を見たのです。 - プリキュアって今、何人いるの? 気になったので調べてみた結果
「プリキュアは何人いるのか?」問題は永遠に答えの出ない超難問なのです。 - 「なんだあの動きは?」「板岡錦だ!」 プリキュアがカッコよく動く、アニメーター板岡錦の世界
板岡錦さん、初の作画監督、おめでとうございます。 - 全ての原画をたった1人で 「キラキラ☆プリキュアアラモード」第36話を支えた青山充という伝説
あきらさんが頭なでなでされる姿、かわいかったです!! - 「女の子同士が手をつなぐ」ことから始まったプリキュアが「男の子同士が手をつなぐ」までに至ったことに祝福を
「ふたりはプリキュア」から15年。当たり前のことが当たり前になる世の中に。 - 3分に及ぶ「出産シーン」 「HUGっと!プリキュア」が子どもたちに伝えたかった“母の強さ”と”父の責任”
いつだって子どもに誇れる大人でありたいですよね。 - もう一度、新しいステージに 一発屋芸人を声優に起用する「HUGっと!プリキュア」が描く“再生の物語”
ダイガンさん、生きていて本当に良かった……。元クライアス社の3人が本当に楽しそうで何よりです。 - 「子どもを持つことだけが、女性の幸せではない」を描いていく「HUGっと!プリキュア」のすごさ
キュアマシェリとキュアアムール……今年のプリキュアは何もかもが……すごい……尊い……。 - “13の数字”から見るプリキュア通算700回 一番多い色は? アルバムは何作つくられた?
「HUGっと!プリキュア」第15、16話がすごすぎて、思考が追い付かない……。 - 「応援なんて誰にでもできる」という正論に、プリキュアはどう立ち向かったのか? 「HUGっと!プリキュア」開始3カ月を振り返る
まだ4分の1が終わっただけなのにこの密度。2018年のプリキュアはとにかくすごいぞ。 - 「映画プリキュアスーパースターズ!」 僕が思う“ただ1つ”の残念な点と、それでもこの映画が最高な理由【ネタバレあり】
2018年のプリキュアの勢い、本当にすごいことになっている。 - 悪の組織も「稟議」を通す時代 「HUGっと!プリキュア」のクライアス社が社会人をザワつかせる
「HUGっと!プリキュア」、育児の丁寧な描写が光ります。 - 2018年「HUGっと!プリキュア」が神アニメになる5つの理由
「HUGっと!プリキュア」今から楽しみです。 - 「キラキラ☆プリキュアアラモード」が大成功を収めた5つの理由
この時期はプリキュアロスと新しいプリキュアへの期待で複雑な気持ちになります。 - プリキュアは、平均15分50秒でラスボスを倒す
あと1回でキラキラ☆プリキュアアラモードが終わるなんて悲しい……。 - 「妖精ペコリン」が「キュアペコリン」に 妖精がプリキュアになれる確率は何%なのか調べてみた
じゃあもう、リオ君もビブリーちゃんもプリキュアってことでいいじゃん。 - 脚本家・坪田文は、なぜキュアマカロンの「弱さ」を描いたのか?
琴爪ゆかりさん、キラキラ☆プリキュアアラモードで「最も成長した」キャラですよね。 - 自分に合ったプリキュアの見つけ方 2017年の「最も再生数が多かったプリキュア第1話」から考える
ここまで大差がつくとは思いませんでした。 - 娘を、プリキュアにするために就くべき職業5選
サラリーマンにも希望はあります。 - 歴代プリキュアの「決め技バンク」で一番長い技って? 実際にストップウォッチで測ってみた
ストップウォッチ片手に本当に測定しました。 - これは福音である 「プリキュア男子」という多様性についての考察
「プリキュア論」をどうしても書きたかったので、いつもと文の雰囲気が違います! - 「闇堕ち」の対義語は「光堕ち」? プリキュアで使われている謎の言葉
「光堕ち」という言葉がいつから使われだしたのか、調べてみました。 - 「映画ハピネスチャージプリキュア!」の興行収入はなぜ半減した? 2014年の出来事から考える
映画キラキラ☆プリキュアアラモードが絶好調の今だからこそ、語るべきことがある。 - 今までのプリキュア映画とは540度違う? 「映画キラキラ☆プリキュアアラモード パリっと!想い出のミルフィーユ!」レビュー
映画キラキラ☆プリキュアアラモード。とにかくね、ものすごい映画でした。 - プリキュア映画歴12年の筆者が教える、大人のプリキュア映画鑑賞法
第37話は映画との連動回。ビブリーちゃんのツンデレっぷりがかわいかったです。 - プリキュアが「手をつなぐ」意味とは?
プリアラ第35話レビュー。「2人はどうして友達なの?」への回答はあおいちゃんらしいものでした。 - プリキュア恒例の入れ替わり回は「自分らしく生きる」ことの意味を問う
猫になっても全く動じないゆかりさん、さすがです。 - ニチアサ改編でプリキュア人口が増える? 「さあ、プリキュアを始めよう」
「プリキュアの数字ブログ」の管理人・kasumiが、毎週プリキュアの魅力をお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
新幹線で「高級ウイスキー」を注文→“予想外のサイズ”に仰天 「むしろすげえ」「家に飾りたい」 投稿者に感想を聞いた
-
イモトアヤコ、購入した“圧倒的人気車”が思わぬ勘違いを招く スーパーで「後ろから警備員さんが」
-
散歩中、急にテンションが下がった柴犬→足元を見てみると…… 「そんなことあります?」まさかの原因が860万表示「かわいそうだけどかわいい」
-
高校生時代に父と撮った写真を、29年後に再現したら……再生数1000万回超えの反響 さらに2年後の現在は、投稿者に話を聞いた
-
ダイソー&セリアの毛糸6玉が、みるみるうちに…… たった4時間編んで完成したとは思えないオシャレアイテムが話題
-
コメダのテイクアウトで油断して“すさまじい量”になってしまった写真があるある 受け取ったその後はどうなったのか聞いた
-
“ひっつき虫”を簡単に取るには…… 身近なアイテムでスッキリするライフハックに「これでイライラしないで取れる」「今度、やってみます」
-
その発想はなかった! 手に描いた“孫悟空” → 広げたら…… “まさかの変化”にテンション上がる「センスだね」
-
お留守番を頑張った柴犬、飼い主がそのまま寝ようとした瞬間…… コントのような“お怒りモード大暴走”に「ほんまにおもしろいww」「いいぞもっとやれ」
-
高校生のときに付き合い始めた2人→10年後…… 現在の姿に「めっちゃキュンってした」「まるで映画の世界」と1000万表示突破
- パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
- 「何があった」 絵師が“大学4年間の成長過程”公開→たどり着いた“まさかの境地”に「ぶっ飛ばしてて草」
- 「中学生で妊娠」した“14歳の母”、「相手は逃げ腰」妊娠発覚からの経緯を赤裸々告白 母親の“意外な反応”も明かす
- 勇者一行が壊滅、1人残った僧侶の選択は……? 「ドラクエでのピンチ」描くイラストに共感「生還できると脳汁」
- 「笑い止まらん」 海外産アプリで表示された“まさかの日本語”に不意打ち受ける人続出 「何があったんだw」
- パパが好きすぎる元保護子猫、畑仕事中もくっついて離れない姿が「可愛すぎる」と反響 2年以上がたった現在は……飼い主に話を聞いた
- アグネス・チャン、米国の自宅が“度を超えた面積”すぎた……ゴルフ場内に立地&門から徒歩5分の豪邸にスタッフ困惑「入っていいのかな」
- 「理解できない」 大谷翔平と真美子さんの“スキンシップ”に海外驚き 「文化は100%違う」「伝説だわ」
- 「車が憎い」 “科捜研”出演俳優、交通事故で死去 兄が悲痛のコメント「忘れないでください」
- PCで「Windowsキー+左右矢印キー」を押すと? アッと驚く隠れた便利機能に「スゲー便利」「知らなかった」
- 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
- 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
- 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
- アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
- 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
- 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
- ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
- 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
- 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
- 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」