首里城再建 支援金3億円超える〜「ふるさと納税」活用で
目標の1億円を大きく超える額が集まっています。
ニッポン放送「ザ・フォーカス」(11月5日放送)に中央大学法科大学院教授、弁護士の野村修也が出演。延焼した首里城の再建への動きについて解説した。
気持ちが共有できて励みになる仕組み
森田)火災で焼失した沖縄県那覇市の首里城の再建に向けて、各地で寄付を集める動きが広がっています。那覇市はふるさと納税を活用したクラウドファンディングのwebサイト「ふるさとチョイス」を通して首里城火災の支援金を受け付けているのですが、目標額が1億円だったのが、それを大きく超えて3億円以上に達しているというのです。クラウドファンディングは「沖縄のシンボル「首里城」再建支援プロジェクト」というもので、寄付した人は税控除が受けられるという仕組みになっているのですね。
野村)いちばん大事だと思うのは、首里城は沖縄の方々の心を支える重要な施設ですよね。あるいは沖縄の歴史を担った重要な施設です。「沖縄にとって大切なもの」という言い方をするときがあるのですが、大事なことは日本の財産だということをみんなで共有することだと思うのです。日本の財産としてはいろいろなところに文化財があります。あれと同じように、どこが消失しても日本人の心がみんな痛んでいるという気持ちを共有すべきです。その意味ではふるさと納税を使って全国の人が寄付を寄せているという姿は、沖縄の方々にとっても励みになるという感じがするのですよね。
森田)本土復帰50年の節目に当たる2022年までに再建計画をつくる、ということを玉城デニー知事は言っています。それに向けて寄付が集まっているのは非常にいいことですが、国土交通省によると消失した正殿などの建設費用は30年前につくったときは73億円だったのですが、物価上昇もありますし、今回の復元の事業費は算定できないということです。衛藤沖縄北方担当大臣は、この再建資金を原則国が負担するとした上で、「国民の心で集める形がいい」と募金についても歓迎しています。
野村)再建というのは、過去の戦争被害にあってからあそこまで復興するのに30年かかっているのですよね。正確に言うと、今年の1月にようやく完成したところだったのですよ。それがこんな形になりました。「また30年か」と思う方もいるかもしれませんが、なんとかスピードアップして早く元の姿を取り戻して欲しいです。
日本で広がる「クラウドファンディング」
森田)このクラウドファンディングというのは、日本国内でかなり広がっているのですか?
野村)そうですね。例えば動物園や水族館で、動物たちの餌代が足りないというようなことにみんなが関心を持つようになって、そこで動物園の人たちがクラウドファンディングで登録すると全国の人から「餌代として使ってください」というような寄付が寄せられるという。これは自由なのです。自分たちがやろうとしているプロジェクトに対して協賛してくれる人たちに寄付を求めると。昔から寄付や募金というのはありましたが、たまたまそこで出会った人が持っている募金箱に入れるという形になっていました。いまのネット社会のなかでは日本中、世界中の人がネットを使って募金ができることになっています。ですから、こういう事態には世界中の人から寄付が集まりやすいという面がある気がします。
森田)ふるさと納税の仕組みではあるけれど、返礼品を渡すものではないということですよね。
野村)ふるさと納税は基本的に「納税」という形になっていて、納税場所を選べるということですよね。付随的に返戻品があるということでしたが、今回の場合には返礼品を求めて納税するのではなくて、「沖縄で私の税金を使ってください」という思いが寄せられていると思うのですよね。
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