政府、GAFA 4社から聴取〜データ独占規制は“いたちごっこ”の様相も
データを持っているところが勝ち組になる可能性が高い。
ニッポン放送「ザ・フォーカス」(11月12日放送)に中央大学法科大学院教授・弁護士の野村修也が出演。データ独占の規制に関する世界の動きについて解説した。
政府、GAFA4社から新法案への意見を聴取
政府は12日、デジタル市場競争会議を開き、GAFA(ガーファ)と呼ばれるアメリカIT大手4社から、巨大IT企業への規制強化を盛り込んだ新法案について見解や主張を聴取した。政府は4社の意見も参考に法案の詳細を詰め、来年の通常国会に提出する方針。
森田耕次解説委員)GAFAというのはアメリカに本社を置き、ITサービスを世界展開しているGoogle、Apple、Facebook、Amazonの巨大企業4社の頭文字を並べた言葉です。巨額の利益を上げる一方で、個人情報の取り扱いや取引先企業への不透明な契約が問題視されておりまして、各国で規制強化の議論が進んでいます。日本では政府のデジタル市場競争会議が12日の午前に開かれまして、このGAFAの4社から巨大IT企業への規制強化を盛り込んだ新しい法案についての見解や主張を事情聴取しました。これには各社の公共政策やホームの責任者クラスが出席し、政府側からは菅官房長官と西村経済再生担当大臣、それから民間の有識者が参加しました。この新しい法案「デジタル・プラットフォーマー取引透明化法」案では、インターネット通販やアプリの販売の大規模な販売サイトを運営するIT企業が、取引先の中小企業に不当な不利益を強いるのを規制する内容になっていまして、取引条件を自主的に開示させることも検討していると。来年の通常国会に提出の予定なのですね。
野村)いまGAFAを中心に、世界のなかで私たちの個人情報を独占的に収集する動きがあるのです。私たちはいろいろな買い物をしたりインターネットで閲覧をすると、履歴がデータとして蓄積されていくのですよね。
世界のデータ独占規制の中で有利な立場をとりたい日本
野村)検索したものからヒントを得て、それをセールスに使っているという明らかな形がだんだん見えてきました。このデータそのものが一種の宝物のような形になっていて、最終的にはこのビッグデータと言われているものをAIがいろいろな形で学習に使っていくことも考えられています。そうすると、データを持っているところが勝ち組になる可能性が高いのですよ。世界ではデータの覇権争いが進んでいます。その1つがGAFAなのですが、これらは放っておいても世界中のデータがどんどん集まってきてしまっています。そこで、EUなどは個人情報保護の名の下に規制をかけて、EUのなかのデータは外へ出さないようにしようという動きがあるのです。他方で、中国のようなところは中国の論理ですから、中国のなかで発生したものは中国のものだという考え方の下に独占をしようとしています。
森田)中国の国民の情報はすべて国のものだと。
野村)ここが実は米中貿易摩擦の背景でもあるわけです。中国が自分たちに都合のいい形でデータを利用することが国際ルールに反すると言って、アメリカが怒っているという形になっているわけです。これらのなかで、日本はどうするのかということが問題です。日本はこの間、G20の会合のときに「大阪トラック」というものを打ち出したのですよ。これは国際社会のなかでデータを自由に活用するというものです。そうすると、自由社会を守るルールとして独占禁止法というものがあるのです。これを上手く活用することによって、世界のなかで日本が新しいルールづくりのリーダーシップをとろうという動きに出てきています。それの1つが議論されている「デジタル・プラットフォーマー取引透明化法」と言われているもので、これをつくろうとしています。
森田)独占してはいけない、ということをここで打ち出すということですか?
野村)最終的にはそうですが、今回の狙いはデータをどんどん集めるGAFAのような巨大IT企業が自分たちの優越的な地位を使って、弱い中小企業に不利な契約を押し付けるのではないかという問題にフォーカスして、そこを改善させようという動きに出ているのです。
森田)今度の法案ではGAFA側には運営状況の報告も求めようということですが、この辺はIT企業側も反発しているようですね。
野村)彼らは手の内を見せたくないですから、透明性をどこまで求められるのかというのは、事情聴取のなかでもかなりそれに対して質問しているようなのです。自主的に自分たちでルールをつくってやるから、あまり規制して欲しくない、という声も上がっているようです。
森田)日本の法律ではGAFA以外に中国のIT企業も対象にしていくのでしょうか?
野村)日本で取引をしていくのだとすると、それは日本のルールに従って貰おうということで、巨大IT企業のなかにはGAFAだけでなくさまざまな企業が出てきますので、同じルールの下に都合のいい取引はやめさせようと。何も理由がないのに、中小企業が取ってきた利益を横取りするようなルールは規制する話になってくるのですよね。
森田)公正な競争をしようというところが、新しい法案の焦点なのですね。一方で、個人情報の保護の観点もあるわけですよね。
野村)個人情報保護法は、日本の場合にはかなり厳格なものが整っています。これに加えてデータの独占を規制することによって、世界のなかで日本が有利な立場を取っていこうという動きになっていると。これは次の時代の戦いが始まっているということなのです。よく言われている5Gという新しい世代の通信システムが普通に使われるようになったときには、データをたくさん持っている人が勝つのですよ。大容量でいろいろなことができるようになるので、データを持っているかどうかが重要になってきます。日本は国民皆保険の形になっているので、医療情報は大量に持っているのです。この情報を例えばGAFAのようなところが横取りしていくことのないように守りたいという部分もあると思います。個人情報の保護でも守ることはできますが、不当な取引条件によって吸い上げられることも阻止しようということが目的になっていると言えます。
国際的に戦わないといけない「ルール競争」
森田)企業たちが規制に応じてちゃんとやってくれるのかどうか。
野村)結果的にはまたいたちごっこのような形になっていく可能性がありますから、独占企業体の強さみたいなものが出てくるので、そこに立ち向かっていけるかどうかがポイントです。
森田)GAFA4社がそれだけデータを独占していて、それが不当にならないような規制は当然必要ですし、そこの法律はどんどんつくっていかなければいけないわけですが、法律もつくったらつくったでいたちごっこになってしまって、常に改正していかなければいけません。
野村)世界のそれぞれのアプローチの仕方が違っているのですよね。データ競争のなかで勝ち組になりたいということはみんな一緒なのですが、そのアプローチの仕方がそれだけの国のいちばん有利な形のルール化になっているので、ルール競争も起こっているのですよ。オリンピックなどでよくありますが、日本人がたくさんメダルを取るとルールが変わってしまうようなことがあります。国際競争は単にビジネスだけではなくて、こういったルールをつくるところでも国際的に戦っていかないと勝ち組にはなれないという問題だということを認識すべきです。
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