「非常時に非常階段が使えない」「避難所運営のノウハウなし」 現役中学教員が語る「災害時、学校は命を守れるのか」(2/3 ページ)
【非常時に非常階段が使えない】設備がボロボロの学校に、命が守れるのか
B:台風19号で「これヤバいな」というのが明るみに出た気がする。
A:俺らのあいだではね。
―― というのは?
B:まず、学校は設備がボロボロ。
民間企業だったら、設備が壊れたら「業者を呼んで直してもらおう」と考えると思うんだけど、学校はお金がないから、教頭あたりがドアの鍵でもトイレでも自力で直しちゃう。それが無理なら、直った風に見せかける。
例えば、大雨のときに困る雨漏りなんかは「見せかける」のケースになりやすいと思う。教員に直す能力がある/ないというか、屋根は物理的に届かないから。
―― 「もしも教頭先生の身長が10メートルあったら大丈夫」みたいな言い方
B:そうだね(笑)。屋根は直したくても直せない。
A:仮に、業者に頼んでも「これ、ミスったのごまかしてるだけだよね」と思うところがいくつもある。
学校の仕事は「値切らず、定価で請け負ってくれる」「手抜きをしても気付かれない」と思われているのか分からないけど、修繕してもらっても数年後に同じところが雨漏りしたり、「こないだ直してもらったあそこの電気、また切れてるよー」となったり。
―― 話だけだと本当に手抜きかどうかは判断できないけど……業者に声掛けて確認できないの?
A:契約してるのは教職員じゃなくて、市役所だからなあ。しかも、中学の教員には異動があるから、10年ほどで全員入れ替わってしまうし。
そんな場所が避難所で、大丈夫かという不安はあるよね。
B:台風でもう1つ「これヤバいな」と思ったのは、体育館内の気温。避難所としても利用するなら、高齢者などの命も守れるような作りじゃないといけないわけでしょ。
でも、エアコンがない体育館はかなり厳しい。真冬なんて外気温と同じ寒さだったりする。
―― あー、冬場の体育の授業ってキツかったよねえ……
A:今回は10月だったし、うちの自治体は「台風が去るまで、取りあえず一晩大雨をしのげれば」という感じだったからまだ良かった。もしも「気温が厳しい真夏/真冬に大地震が起こり、何日も自宅に帰れない」という状況だったら、最悪、死者が出るかもしれないと思った。
B:真夏の体育館は、40度超えることもあるからね。
A:さすがに、本来お金を使うべきところに税金が使われていないと感じてしまう。子どもの命にも関わる場所なのに、どうして建て替えも何もしないんだろう。
ヤバいのは体育館だけじゃないからね、校舎だってヒドいところは本当にヒドくて。非常階段がボロボロで、地震が起こると倒壊するおそれがあるから、「非常時に非常階段を使うな」という学校もある。
「逃げられねえだろ!」とストレートなツッコミを入れたい。
―― そこまで行くとブラックジョークにしか聞こえないからねえ……
(続く)
※本企画は、現役教員の声をそのまま記事化したものです。実際の労働環境などは自治体、学校などによって異なる可能性があります。
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