船内は“外国”の「ダイヤモンド・プリンセス」〜日本政府の対応が難しい理由

日本政府がコントロールできる状況ではない。

» 2020年02月13日 10時00分 公開
[ニッポン放送(1242.com)]
ニッポン放送

ニッポン放送「ザ・フォーカス」(2月11日放送)に中央大学法科大学院教授・弁護士の野村修也が出演。新型肺炎の死者1,000人超という中国政府発表について解説した。

フォト 【新型肺炎 クルーズ船】横浜・大黒ふ頭に着岸したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」。救急車などが岸に止まり、乗客らが不安そうに見つめていた=2020年2月6日午前、横浜市 写真提供:産経新聞社

新型肺炎、中国の死者1,000人を超える

中国政府の発表によると、新型コロナウイルスによる肺炎での死者は前日に比べて108人増え、1,016人に達したことがわかった。亡くなった人の数が前日と比べて100人以上増えたのは初めてで、感染者も4万2638人に上っている。依然として事態の悪化に歯止めがかかっていない。

森田耕次解説委員)11日午後入ってきた情報で、湖北省武漢市から日本政府のチャーター機で帰国した日本人男性2人が新たに新型コロナウイルスに感染しているのを確認したと厚生労働省が発表しました。この2人は帰国直後の検査では陰性でしたが、その後発症し、再検査で陽性と判定されました。2人の男性のうち、40代の男性はチャーター機の第2便で帰国し、お子さんと一緒だったためにその後自宅で待機していたということです。もう1人は50代の男性で、第1便で帰国し、千葉県のホテルに滞在していました。

野村)いろいろな方がいろいろなルートから感染されているので、それをしっかりと確認していって、どこに感染の可能性があるのかをしっかりと見極めなければいけません。他方、この状況になるとかなりの確率で国内でも感染する可能性があるということも前提に、いろいろな対応策も考えなければいけない時期にきているのだと思います。

フォト 急ピッチで建設された武漢火神山医院。習近平総書記の委託を受けた孫春蘭国務院副総理の率いる中央指導小組が病院の施設や設備などを視察した。(武漢=新華社記者/陳曄華)=2020年2月2日<新華社/共同通信イメージズ> 写真提供:共同通信社

外国船籍「ダイヤモンド・プリンセス」は日本政府がコントロールできない

森田)「ダイヤモンド・プリンセス」の集団感染ですが、厚生労働省は10日、65人の感染が新たに確認されたことを発表して、これでクルーズ船では検査したのべ439人のうち135人の感染が判明したということで、なかなか感染の拡大が止まらない事態になっています。船のなかで待機しているおよそ3,600人の健康状態については厚生労働省が経過観察していまして、終わるのは19日以降になる見通しです。国内で感染が広がらないように、下船の際に全員の検査をすることも検討しているということです。

野村)勘違いされている方がいるのですが、基本的には検疫法という法律があって、しっかりと検疫をしないと船から上陸させることはできないというルールになっていて、しかもあの船は日本の船ではありませんので、船内は外国なのですよ。ですから、日本政府がコントロールできる状況ではないので、日本のやり方が後手に回っているというご意見がありますが、なかに入って掃除をしたりということが日本政府にできるわけではないのです。日本政府がいまやっているのは検疫で、その検疫が終わっていないので留め置いていたという状況なのです。

森田)薬が足りないから持って行くということは可能なのでしょうけれども。

野村)それは人道的な配慮からいろいろなお手伝いをすることができますし、もちろん外国船籍の船であっても寄港地で食料提供などはできますから、そういう形での対応策はしていますが、あの船のなかの人たちをどうするかというのは法律に基づいて、検疫が終わるか終わらないかというところで判断しているのです。

フォト 【新型肺炎 武漢滞在の邦人帰国へ】中国・武漢に滞在する邦人を帰国させるため、出発の準備を行うチャーター機=2020年1月28日午後、羽田空港 写真提供:産経新聞社

第1便の帰国者、12日にも帰宅可能か

森田)千葉県勝浦市のホテル三日月に滞在しているおよそ170人の再検査が11日に始まり、この検査結果が12日にも出る見通しということで、陰性が確認できれば帰宅が可能ということですから、一部の希望者は12日中か13日中にはホテルを出ることができるのではないかという見通しになっています。

野村)こちらに対しても、地元の方々の応援メッセージなどが海岸に描かれるなどして、みんながご苦労されている方に心を寄せていますので、無事に戻る方々に対しては、検査が終わっているのだということを理解して対応して欲しいです。

フォト 会談前に握手する中国の習近平国家主席(右)とWHOのテドロス事務局長=1月28日、北京の人民大会堂(共同) 写真提供:共同通信社

中国政府は地方政府の責任に問題を矮小化すべきでない

森田)一方で、中国本土の死者が1000人を超えました。1016人で、感染者が4万2638人ということで、1016人の死者のうち湖北省の死者が974人ということです。中国政府によりますと、湖北省の衛生健康委員会の幹部2人が免職になったということで、どうも感染拡大の責任を取らされたということです。

野村)武漢の医療体制や医療対応に問題があったことは間違いないと思うのです。いちばん最初に武漢で発症している人がいたにも関わらず、大規模な宴会をやってしまったということがあって、それが感染を拡大させたという見立てがあるのです。ただ、ここで注意しなければいけないのは、本当に武漢だけの責任なのかということです。結局はとかげの尻尾切りになっている可能性があります。中国全体の衛生策として、国の政策に問題があったのではないかということを議論しなければいけないのですが、なんとなく地方政府の初動対応が問題だったということに集約されてしまっているということが問題を矮小化しています。武漢だけの問題に留めようということが、武漢だけを封じ込めて人を出させないようにすることになっているので、中国の対応は全体的に考え直していただかないといけない点があると思います。とにかく症例がたくさんあるわけですから、そこでいったい何が起こっているのか。それが世界中で蔓延しつつあるこの病気に対してみんなが立ち向かっていく貴重な情報なわけです。それをきちんと発信していって欲しいと思います。

Copyright Nippon Broadcasting System, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/08/news177.jpg イモト、突然「今日まさかの納車です」と“圧倒的人気車”を購入 こだわりのオプションも披露し光岡自動車からの乗り換えを明かす
  2. /nl/articles/2411/06/news180.jpg 「むりだろww」「笑いました」 ニトリでソファ購入 → 愛車の前でぼうぜん…… “まさかの悲劇”が1000万表示
  3. /nl/articles/2411/07/news182.jpg 「デコピンの写真ください」→ドジャースが無言の“神対応” 「真美子さんに抱っこされてる」「かわいすぎ」
  4. /nl/articles/2411/07/news163.jpg 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」
  5. /nl/articles/2411/05/news138.jpg 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  6. /nl/articles/2411/08/news132.jpg peco、息子の近影を公開「すごーくりゅうちぇるに見えます!」「パパに似てる〜」 息子のスクールランチも色とりどりでおいしそう
  7. /nl/articles/2411/08/news143.jpg 高嶋ちさ子、3000万円超の“超高級外車”ゲットにドヤ顔も! 笑い止まらずハンドル握り「Woohoo!!!」
  8. /nl/articles/2411/07/news029.jpg 50代主婦が5日間、ひたすら草抜き&庭木の剪定→たった一人でやり遂げたとは思えないビフォーアフターに称賛の嵐 「尊敬する」「本当に脱帽です」
  9. /nl/articles/2411/08/news025.jpg 「そうはならんやろ」クルマ修理会社の壁を見ると…… まさかの“シュールすぎるイラスト”に9万いいね 「よすぎる」「天才か」
  10. /nl/articles/2411/08/news111.jpg 2人組ガールズユニット、突然の脱退を発表 マネージャー「本人の意思ではない」 母親とする人物からの脱退理由と経緯説明が物議
先週の総合アクセスTOP10
  1. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  2. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  3. 結婚相手を連れてくる妹に「他の人に会わせられない」と言われた兄、プロがイメチェンしたら…… 「鈴木亮平さんに見えた」大変身に驚がく
  4. 「2007年に紅白出場」 38歳になった“グラビア界の黒船”が1年ぶりに近影公開→驚きの声続々
  5. 「クソビビったwww」 ハードオフに38万5000円で売っていた「衝撃的な商品」が90万表示 「売った人突き止めたい」
  6. 夫婦喧嘩した翌朝の弁当を夫が作ったら…… “森”すぎるビジュアルに「インパクトすごい」「最高に笑いました」の声
  7. 約9万円の「高級激レアガンプラ」を10時間かけて制作→完成品に「家宝だ」「めっちゃくちゃにかっこいい!!」
  8. 天皇皇后両陛下主催の園遊会、“お土産”に注目 ジョージア大使「大好物です」「娘たちからも大好評」
  9. 「庶民的すぎる」「明日買おう」 大谷翔平の妻・真美子さんが客席で食べていた? 「のど飴」が話題に
  10. 事故で重体の人気日本人TikToker、1カ月の意識不明と家族ケア経て逝去……“旅立ち直前に会った”親友は「励ましに来てくれてたのかな」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた