“ゲーム規制条例”を香川県内の学生はどう思うか 反対の署名活動を行う高校生「ゲーム好きとしては、自分の将来は自分で決める」

ネット上で署名活動を行い、香川県議会事務局に提出した高校生に話を伺いました。

» 2020年03月04日 19時00分 公開
[ねとらぼ]

 「18歳未満はゲーム1日60分まで」などの内容を盛り込んだ、香川県の「ネット・ゲーム依存症対策条例(仮称)」。このように一律でプレイ時間を規制することで、本当に子どもたちを“ネット・ゲーム依存症”から守ることができるのか、行政が家庭内のルールに踏み込む形にならないか―― などの観点から全国的に物議をかもしていますが、当事者である“香川県内の子ども”は同条例をどう捉えているのでしょうか。

 今回は「Change.org」にて反対の署名活動を行い、集まった署名(595人分)を香川県議会事務局に提出した高校生の渉(わたる)さんにインタビュー。同条例に否定的な考えを持つ彼が「なぜ署名活動を行ったのか」「この条例に対する家族や友人の反応」「もしもプレイ時間制限を含む内容のまま、可決されたらどうするか」などを伺いました。


渉(わたる)さんによる反対署名活動「香川県のゲーム禁止条例制定を阻止しよう。」(Change.orgより)

“ゲーム規制条例”反対の署名活動に、同級生は「よくやった」

―― 反対の署名活動を行うことにした経緯を教えていただけますか?

 誰かが動いてくれるのを待つのではなく、規制対象である高校生が動けば世論も注目してくれると思い活動を開始しました!

―― 反対の署名活動に対してどんな反響がありましたか?

 学校では同級生の皆から「よくやった」と言われました。インターネットでは賛否が分かれましたが、称賛の声の方が多かった印象です。

―― 周囲の方々は条例についてどう言っていますか?

 家族はこの条例に大反対をしていますが、先生は立場上賛成の考えだそうです。

―― 先生の“立場上賛成”というのは?

 条例の素案には、学校にも協力を呼びかけるとの趣旨もありますし、反対するとゲームのプレイを促すことになってしまう、という考えがあるようです。

―― この条例の問題点は何だと思いますか?

 まず、家庭で決めることに行政が条例という形で踏み込んでくるのは間違いだと思いますし、(プレイ)時間の策定に利用した資料が不適切です。

―― “資料が不適切”というのは?

 議会事務局の方とお話しした際に、香川県の学力状況調査のアンケート結果などから策定されたことを知ったのですが、例えば、そのアンケートには高校生は含まれていません。

ゲームは1日60分以上 でも「依存症や生活に支障を来すような人は、僕の周りにはいません」

―― 渉さんは1日どれくらいどれくらいゲームをしていますか?

 少ないときで1日2時間、多いときで4〜5時間ほどです。

―― 周りの高校生はどれくらいゲームやインターネットをしていますか?

 だいたい2〜3時間ほどです。

―― ゲームに関連する問題(ハマリ過ぎたなど)について、周囲で聞いたことはありますか?

 ハマり過ぎて、依存症や生活に支障を来すような人は、僕の周りにはいません。

ゲームファンからすれば「そんなの心配してくれなくてもいい、自分の将来は自分で決める」

―― 渉さんの家庭では、ゲームに関してどんなルールが設けられていますか?

 僕の家では放任主義なのであまりルールはありませんが、小学生、中学校1年生までは寝る際は親に預けるなどしていました。

―― 「ネット・ゲーム依存症対策条例」について、家庭内で話し合う機会はありましたか?

 家族とは話し合いましたが、親も反対の立場ですので、意見がぶつかるようなことはあまりありませんでした。

―― もしもこの条例が、プレイ時間制限を含むこの内容のまま可決されたら、渉さんはどうしますか?

 僕は一切守りません。可決されたら、全国各地のゲームイベントにお願いするなどして反対署名を集めるつもりです。

 香川県は、オンラインゲームなどにより学業がおろそかになるとの見解も示していますが、ゲーム大好きな人からすると「そんなの心配してくれなくてもいい、自分の将来は自分で決める」と思ってしまいます。

“条例でプレイ時間制限”の動きは、どこまで広まるか

 渉さんは「Change.org」上で署名を募る際、「この県条例が採択されてしまうと、今後全国的に広がり、最悪の場合法律も制定されてしまう可能性があります!」ともコメント。個人的な問題というより、むしろ国内全体の問題として捉えていることが伺えます。もしも可決されたら「全国各地のゲームイベントにお願いするなどして反対署名を集める」という強硬な姿勢にも、このような危機感が反映されているのかもしれません。

 今回の「ネット・ゲーム依存症対策条例」は全国に先駆けて香川県議会が検討しているもの。“今後全国的に広がり、最悪の場合法律も制定されてしまう”かどうかまでは、現時点では分かりません。ですが、2月末には、秋田県大館市でも「平日は原則60分以内」と同様のプレイ時間制限を含む条例案が制作されている、との報道も。少なくとも“すでに香川県外でも、プレイ時間の基準を条例化する動きが起こっている”ということは確かなようです。

参考:香川県「ネット・ゲーム依存症対策条例(仮称)」の素案











Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/21/news189.jpg 「大物すぎ」「うそだろ」 活動中だった“美少女新人VTuber”の「衝撃的な正体」が判明 「想像の斜め上を行く正体」
  2. /nl/articles/2411/22/news014.jpg 川で拾った普通の石ころ→磨いたら……? まさかの“正体”にびっくり「間違いなく価値がある」「別の惑星を見ているよう」【米】
  3. /nl/articles/2411/22/news114.jpg 中村雅俊と五十嵐淳子の三女・里砂、2年間乗る“ピッカピカな愛車”との2ショを初公開 2023年には小型船舶免許1級を取得
  4. /nl/articles/2411/21/news027.jpg 大きくなったらかっこいいシェパードになると思っていたら…… 予想を上回るビフォーアフターに大反響!→さらに1年半後の今は? 飼い主に聞いた
  5. /nl/articles/2411/22/news032.jpg 「壊れてんじゃね?」 ハードオフで買った110円のジャンク品→家で試したら…… “まさかの結果”に思わず仰天
  6. /nl/articles/2411/22/news018.jpg 猫だと思って保護→2年後…… すっかり“別の生き物”に成長した元ボス猫に「フォルムが本当に可愛い」「抱きしめたい」
  7. /nl/articles/2411/22/news171.jpg なんと「身長差152センチ」 “世界一背が低い”30歳俳優&“世界一背が高い”27歳女性が奇跡の初対面<海外>
  8. /nl/articles/2411/22/news145.jpg 大谷翔平と真美子さん、「まさかの服装」に注目 愛犬デコピンも大谷家全員で“歩く広告塔”ぶり発揮か
  9. /nl/articles/2411/20/news027.jpg 「こんなことが出来るのか」ハードオフの中古電子辞書Linux化 → “阿部寛のホームページ”にアクセス その表示速度は……「電子辞書にLinuxはロマンある」
  10. /nl/articles/2411/22/news184.jpg 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  2. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  3. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  4. まるで星空……!! ダイソーの糸を組み合わせ、ひたすら編む→完成したウットリするほど美しい模様に「キュンキュンきます」「夜雪にも見える」
  5. 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
  6. 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
  7. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. 互いの「素顔を知ったのは交際1ケ月後」 “聖飢魔IIの熱狂的ファン夫婦”の妻の悩み→「総額396万円分の……」
  9. ユニクロが教える“これからの季節に持っておきたい”1枚に「これ、3枚色違いで買いました!」「今年も色違い買い足します!」と反響
  10. 中央道から「宇宙戦艦ヤマト」が見える! 驚きの写真がSNSで注目集める 「結構でかい」「どう見てもヤマト」 撮影者の心境を聞いた
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた