東京都の老舗旅館で「文豪缶詰プラン」 スタッフによる「先生、進捗どうですか?」コール付きで気分は人気作家
イベント前の追い込みに。
東京都・本郷の老舗旅館「鳳明館」にて、大正・昭和の人気作家になった気分を味わえる「文豪缶詰プラン」の開催が決定しました。宿泊者が旅館から出ようとするとスタッフに制止されるほか、電話による進捗確認サービスを無料で受けられます。価格は1泊8000円からを予定。イベント前の追い込みがはかどる……。
「文豪缶詰プラン」を実施する「鳳明館」は築100年余の本館を有する老舗旅館。歴史と文学の香り漂う部屋に閉じこもり、心行くまで作業に没頭できます。なお、“缶詰”のため宿泊期間中は基本的に館内から出られず、部屋に旅館スタッフが立ち入ることもありません。
プランの参加者は著名な作家として扱われ、旅館スタッフから「先生、進んでますか?」「明日の10時にお伺いしますからね」といった進捗確認コールを受けられるほか、有料オプションとして気分を盛り上げる“編集者役”を立てることも可能です。
具体的な開催日程は未定ですが、3月後半になる予定。料金は1泊が8000円、2泊14000円になる見込みです。なおプラン内容に食事は含まれません(飲食物持ち込み可)。
「文豪缶詰プラン」の開催は2019年以来2回目。オタク心をくすぐるプランはどのようにして生まれたのでしょうか? イベント制作会社・八十介の担当者に話を伺いました。
鬼編集者に原稿が終わるまで閉じ込められたい! 憧れる(?)シチュエーションを現実に
――「文豪缶詰プラン」誕生のいきさつを教えてください。
きっかけは、私どもが主催するイベントの出展作家さんたちが「進捗ダメです」「やばい、間に合わない」と嘆いていたことです。私も夏休みの宿題をギリギリまでやらないタイプなので共感できました。
家にいるとどうしても作業が滞りがちですし、締め切りがやばいと分かっているのに飲み会の誘惑に負けてしまうこともあります。そんな時、作業に集中できる環境で、なおかつ「へぇ、そんな進捗状況なのに遊びに行くの?」と言ってくれる人がいたらいいな……と。
そこから発展して、「鬼編集者に原稿が終わるまで缶詰にされる」「たくさんの編集者が『先生、うちの原稿はまだですか!』と催促してくる」といった人気作家さながらの経験ができたら面白いと思い、「文豪缶詰プラン」が生まれました。
――作家さんの生の声からスタートした企画だったのですね。会場はどのようにして決定したのでしょうか?
弊社のイベントでは“世界観(物語)にとことん入り込む”ことを大切にしており、伝統ある鳳明館にお願いしました。鳳明館とは別のイベントをきっかけにお付き合いがあり、当時から団体営業やプラン企画等のお手伝いをさせていただいている間柄です。さまざまな企画を「やってみなはれ」の精神で許可してくださる社長や女将(おかみ)さん、イレギュラーな対応を引き受けてくださる旅館の従業員の皆さまに感謝しています。
――2019年に行われた第1弾の反響はいかがでしたか?
第1弾は参加者5名で実施しました。そのうち3名は旅館の近くにお住いの方で、「地元だとなかなか気になっても泊まる機会がないので、良いキッカケだった」とお伺いしています。
どこまでお客さまがノってくださるのか不安でしたが、進捗確認電話に「今、今やってます!」と焦った声で出てくださったり(実際本気で焦ったのかもですが)、編集者にちゃんと買い物を頼んでくださったり(宿から出さないために、買い物も代行します)、安心しました。
有名な作家さんと深い関わりがあり、小さな出版社もたくさんある本郷という土地で、さらにはひょいと文豪が顔を出しそうなレトロな旅館の雰囲気も相まって、タイムスリップ感を楽しんでいただけたのではないかと思っています。
――なぜこのタイミングで第2弾を?
次はもっとこうしたい……という思いはありながら、宿泊状況との折り合いがつかず実施できずにいたのですが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で団体客のキャンセルが続き、むしろ「なんとかせねば」という状況になりつつあります。
そこで「部屋に1人で籠る缶詰プランであれば泊まってくれる人もいるのでは?」と考え、まずは反応を見てみようとツイートした次第です。
批判されるかもしれない……と不安でしたので、最初は旅館名を伏せていたのですが、たくさんの反応をいただき、本当にうれしいです。
創作活動から確定申告まで、憧れの文豪気分を味わいながら作業に没頭できるこちらのプラン。予約方法や具体的なスケジュールについては、八十介(@yasosuke80)Twitterでの発表をご確認ください。
3月16日追記 無事完売したそうです
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