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» 2020年03月27日 11時45分 公開

マスクが足りない不安、募るストレス……新型コロナで緊張続く医療現場 医療従事者への“サラダ支援”に「食べることしか楽しみがないのでありがたい」

医療現場の現状についても聞きました。

[ねとらぼ]

 東京都での新型コロナウイルス感染者数が急増し、各都・各県で今週末の不要不急の外出自粛要請や東京への移動自粛要請が出されたことで、関東に緊張が走っています。民間においてもマスクなどの資材の品薄状態が続いていますが、医療従事者はさらなる緊張状態に置かれています。

 医療従事者を支援する動きも見えてきています。カスタムサラダ専門店の「クリスプ・サラダワークス」は3月25日、医療従事者と病院勤務者に向けてテイクアウトサラダの無料提供を始めました。

サラダ支援 “サラダで支援”を始めたクリスプ・サラダワークス

 運営するクリスプの宮野浩史代表取締役は「いま、世界中の多くの方が新型コロナウイルス(COVID-19)の蔓延に苦しみ、また見えない不安を抱えている時だからこそ、私たちは最前線で働く医療従事者への支援が重要であると考えています。国民の不安と対峙し、献身的そして勇敢に感染予防や診療などの業務に日夜従事し医療を支えている医療関係者の方々に心から敬意を表します」とコメント。

 公式モバイルアプリを通じてプロモーションコードを入力して注文し、店頭ピックアップの際に医療従事者・病院勤務者であることを証明するIDをスタッフに提示すると、1日1点まで無料でテイクアウトサラダがもらえます。

 この支援に対し、関東の循環器・呼吸器病棟で勤務する看護師歴10年の山田さん(仮名)が「支援がうれしかったのを伝えたい」とねとらぼにメッセージを送ってくれました。山田さんは勤務経路にクリスプの店舗があり、初日から利用をスタート。勤務終わりや夜勤前にピックアップし、夕飯として利用しているといいます。

 「10年以上医療現場で働いていて、こうした支援を受けるのは私は初めてです。ピックアップ時、無料で作っていただいているのに店員さんに『ありがとうございます、頑張ってください』と言われて、すごく心温まり元気が出ました。注文時に入力するプロモーションコードが『hero(ヒーロー)』なのもなんだかうれしかったです。今は旅行や観劇などのエンターテイメントも得ることができず、食べることしか楽しみがないので、そういった面でも本当にありがたいですね」

サラダ支援 ふたに書かれた「サラダで応援します」のメッセージ
サラダ支援 9種類のサラダから選んで注文できる

資材不足に募る不安、ストレス発散もしにくい

 さらに詳しく、山田さんの置かれている状況を聞きました。山田さんが勤めている病院は感染症のためのベッドがないので、まだ直接新型コロナウイルスに感染した患者とは関わりを持っていません。ただ、不安は募るといいます。

 「報道から得られる情報に恐怖を感じつつも、普段と変わらず医療に携わらねばならない状況に力不足を感じます。PCR検査を提出し、結果待ちをしている感染疑いの患者様の対応をしていてもやはり不安はぬぐい切れません。海外の論文やニュースなどで色々と最新情報を得ていますが、不明瞭な部分が多いなという印象です」

 山田さんは「マスクやエプロンといった防護衣の資材不足も不安です」と話します。SNSでは資材不足に悲鳴を上げる医療従事者も出てきています。

 「Twitterなどを見ていると、『支給が1人当たり3日から1週間に1枚しかない』といった声を上げている医療従事者もいて、感染防止の側面として非常に危険だなと思っています。本来ならば一度外したマスクは使用しないというのが現場ルールなので……。病院にはそのほかにもMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)など院内感染を気を付けなければならない感染症もあります。資材不足は新型コロナ対策はもちろんですが、他の病気にも影響を与えるため、本当に不安です」

 医療現場における資材不足は2月の時点で言われ始め、3月中旬に行われた千葉県保険医協会の調査によると、千葉県内では、マスクや消毒用アルコールの在庫が1カ月以内になくなる医療機関が約7割に上るといいます。シャープなど民間企業がマスクの生産を始め、政府を通じて医療現場に優先的に配布されることを目指すといった動きはありますが、資材不足の状況はしばらく続くとみられています。

 山田さんの病院は今のところ制限される資材はないものの、「マスクや消毒剤が面会者によって盗難にあってからは、管理が徹底されています。心ない人が盗っていくケースは知人の病院でもあったと聞きます」といいます。

 山田さん個人が行っている感染対策は「世間でも言われていますが、やはり手洗い・手指消毒を徹底しています。30秒の手洗い、消毒剤も20秒以上かけて擦り込むなど基本にかえったやり方で感染予防をしています」。ただ、山田さんが個人で購入しているアルコールやマスクも十分な量ではなく、「在庫がなくなったらと思うと少し怖いですね。早く欲しい人にわたる体制になるといいのですが……」と漏らします。

 「また、不顕性感染(症状の現れない感染状態)も気になります。自分が感染したら普段関わっている入院患者様に蔓延しかねないので、とにかくかからないように……とは思っています。朝夕の電車通勤やストレス発散のための外食での感染リスクも自覚しています」

 山田さんの趣味は旅行や外食。感染予防の観点から、いつものように仕事でのストレスを趣味で発散する――ということをしにくい状況が続いています。また、入院患者の面会謝絶措置が取られてから数週間経過していることで、「患者様の不安や寂しさへの寄り添いもまた必要なことだと思って日々勤めています」と話します。

 物資的な面でも、精神的な面でも、緊張の続く医療現場。さまざまな地域で、多方面からの支援が続くことが期待されます。

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