DV被害者支援団体、新型コロナの影響で児童虐待やDVの悪化懸念 国に対策を求める

夫の在宅ワークで暴力やモラハラが発生したケースも。

» 2020年03月31日 20時15分 公開
[ねとらぼ]

 DV被害者を支援する全国女性シェルターネットは3月30日、新型コロナウイルス対策状況下で家庭内の児童虐待やDV(ドメスティック・バイオレンス)の悪化や件数増加が懸念されるとして、国に対策を求める要望書を提出しました。

シェルターネット 全国女性シェルターネットが要望書を提出
advertisement

 全国女性シェルターネットは、DVの被害を受けた女性や子どもたちを支援する民間団体。1998年に結成され、2003年にNPO(非営利団体)となっています。DV被害者を支援する民間シェルターなど67団体がつながっており、情報共有や社会発信を行っています。

 全国女性シェルターネットは要望書で、経済状況の悪化や自宅待機が増えることにより、家庭内での児童虐待やDVの悪化や件数の増加が懸念されると提言。相談現場ですでにそうした相談が入っていること、阪神淡路大震災や東日本大震災時の経験則からも今後悪化が予測されることに触れ、国に対策を求めています。

 同団体は、以下の5つを求めています。

(1)相談窓口の増設・整備・周知・情報共有――緊急の状況下においても、DVや虐待の相談窓口を閉じないこと。増加することを予測し、電話相談の回線、DV、シェルター、児童保護施設を増やすなどの対策整備を行うこと。相談窓口の存在を周知すること。避難を求める人がいたらただちに一時保護につながるよう情報を共有すること。

(2)一時保護の迅速な開始、保護期間の柔軟な延長――コロナ対策の期間中は都道府県の一時保護などの措置業務が滞ることが想定されるが、被害者が市町村や民間シェルターに逃げ込んだ場合、自動的に一時保護を開始するようにすること。民間団体が市町村や当事者から一時保護を求められて受け入れた場合、国や都道府県が経費を負担すること。一時保護期間を2週間とする都道府県が多いが、コロナウイルス対策の状況を踏まえ、柔軟に期間延長をすること。

advertisement

(3)一時給付金や援助金の受け取り方法に関する特別措置――低所得者への救済策として一時給付金などが導入される場合、住民票を移さないまま、DVを理由に家を出ている配偶者や子どもが援助金を受け取れない危険性がある。DVの相談証明がある人や住民基本台帳の閲覧制限などの支援措置がとられている人など、DV被害者が申し出た場合は住民票上の世帯主でなくても支援金を受け取れる措置を行うこと。また、銀行口座がない人への給付も柔軟に対応すること。

シェルターネット 特別措置が必要な例

(4)生活保護の適用拡大――生活を支えるためには、現金給付だけでなく、生活保護基準よりも下回る収入状況の人には生活保護を適用することが安定的な救済につながる。生活保護と勤労収入で生計を維持している世帯の収入認定も柔軟に対応すること。

(5)DVシェルターに関する発表や報道への配慮――シェルターなどの利用者やスタッフに感染者が出た場合、メディアの報道が秘匿しているシェルターの場所を明かすことにつながる。

 同団体によると、既に以下のような声が上がっているといいます。

  • 自治体の相談センターが面談を中止し、相談支援につながりにくくなっている。感染を気にして、面談での相談を控える相談者もいる
  • 夫が在宅ワークで自宅にいる時間が増えたことで、暴力やモラハラの発生、相談や避難が難しくなったケースがある
  • 住民票を移さずに避難しているDV被害者や、別居中の外国人DV被害者など、今後保障や支援が実施されたとして受け取れるかを心配している

 また、「非常勤職員の自宅待機、雇い止めが多発しているため、経済的困窮に陥る家庭での暴力、虐待の増加が予測される」「外国籍移住女性やその家族への差別的風当たりが強まる」「飲食業や風俗産業で働かざるを得ないシングルマザーなどは、直ちに生活困窮に陥る」などの懸念もあるといい、上述の5つを「緊急に要望いたします」としています。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2502/26/news025.jpg 40代女性、デートに行くため“本気でメイク”したら…… 別人級の仕上がりに「すごいな」「めっちゃ乙女感出てる」
  2. /nl/articles/2502/28/news059.jpg 坊主の野球青年が40キロ減量したら…… 160万再生の別人級な姿に「待って待って嘘でしょ」「本当に整形レベルだわ」
  3. /nl/articles/2502/25/news076.jpg 30年以上前の製品がかっこいい ソニーの小型ラジオのデザインが「すごい好き」「いまでも通用しそう」
  4. /nl/articles/2502/25/news024.jpg ごはん炊き忘れた父「いいこと閃いた!」→完成した弁当に爆笑「アンタすげぇよ!」 息子「意味ねぇことすんなよ」
  5. /nl/articles/2502/28/news112.jpg ワークマンで3900円の“ヤバいリュック”に反響 機能性&コスパ最強で「やっす!」「買いに行くしか!」
  6. /nl/articles/2502/28/news035.jpg 【セリア】ケーキ回転台の“じゃない”使い方に「その手があったか」 意外すぎる使い道に「天才?」
  7. /nl/articles/2502/28/news184.jpg ヒロミ、約1カ月ぶりの動画で家族の「サプライズ還暦祝い」 “まだ持っていない”プレゼントが理想すぎた「いいじゃな~い!」
  8. /nl/articles/2502/28/news151.jpg 高嶋ちさ子、事故被害者のダウン症姉“みっちゃん”が「何してんの!?」「どっちが危ないの??」 “真相は闇の中”で「みっちゃんの運転も絶対危ない」
  9. /nl/articles/2502/28/news011.jpg 動物病院スタッフにガチ恋する超大型犬、久々に再会すると…… まさかの反応が100万再生「思春期男子みたい」
  10. /nl/articles/2502/15/news032.jpg 163センチ、63キロの女性が「武器はメイクしかない」と本気でメイクしたら…… 驚きの仕上がりに「やっば、、」「綺麗って声でた」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 和菓子屋で、バイトの子に難題“はさみ菊”を切らせてみたら……「将来有望」と大反響 その後どうなった?現在を聞いた
  2. 希少性ガンで闘病中だったアイドル、死去 「言葉も発せないほどの痛み」母親が闘病生活を明かす
  3. 芸能界引退した「ショムニ」主演の江角マキコ、58歳の近影にネット衝撃「エグすぎた」 突然顔出しした娘とのやりとりも話題に
  4. “きれいな少年”が大人になったら→「なんでそうなったw」姿に驚がく 「イケメンの無駄遣い」「どっちも好きです!笑」
  5. 余った毛糸は捨てないで! 四角く編んでいくと……目からウロコのアイデアに「知れてよかった」「素晴らしい」
  6. コストコで販売「生カキ」原因で体調不良か…… 全国で1万食自主回収「深くお詫び」
  7. ごはん炊き忘れた父「いいこと閃いた!」→完成した弁当に爆笑「アンタすげぇよ!」 息子「意味ねぇことすんなよ」
  8. 瀬戸内海で漁をしていたら突然異変が…… 揚がってきた“取ってはいけない生物”に衝撃 「初めて見ました」と70万再生
  9. ママが反抗期の娘に作った“おふざけ弁当”がギミックてんこ盛りの怪作で爆笑 娘「教室全員が見に来た」
  10. 温かそうだけど…… 呉服屋さんが教える「マフラーの巻き方」になぜか既視感 「あの巻き方ってこうやってたの!?」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 最初に軽く結ぶだけで…… 2000万再生された“マフラーの巻き方”に反響「これは使える」「素晴らしいアイデア」【海外】
  2. コメダ珈琲店で朝、ミックスサンドとコーヒーを頼んだら…… “とんでもない事態”に爆笑「恐るべし」「コントみたい」
  3. パパに抱っこされる娘、13年後の成人式に同じ場所とポーズで再現したら…… 「お父さん若返った?笑」「時止まってる」2人の姿に驚き
  4. 和菓子屋で、バイトの子に難題“はさみ菊”を切らせてみたら……「将来有望」と大反響 その後どうなった?現在を聞いた
  5. 古いバスタオルをザクザク切って縫い付けると…… 目からウロコの再利用に「すてきなアイデア」【海外】
  6. 「14歳でレコ大受賞」 人気アイドルがセクシー女優に転身した理由明かす 家族、メンバー、ファンの“意外な反応”
  7. 希少性ガンで闘病中だったアイドル、死去 「言葉も発せないほどの痛み」母親が闘病生活を明かす
  8. “きれいな少年”が大人になったら→「なんでそうなったw」姿に驚がく 「イケメンの無駄遣い」「どっちも好きです!笑」
  9. ドブで捕獲したザリガニを“清らかな天然水”で2週間育てたら…… 「こりゃすごい」興味深い結末が195万再生「初めて見た」
  10. 芸能界引退した「ショムニ」主演の江角マキコ、58歳の近影にネット衝撃「エグすぎた」 突然顔出しした娘とのやりとりも話題に