「ビックリマン」シール裏テキストのセンスがあまりにもぶっ飛び過ぎていて感動するしかなかった、という話:今日書きたいことはこれくらい(1/2 ページ)
なぜビックリマンは当時あれほどの社会現象になり得たのか?
ビックリマンシールの話と、私の幼少時の軽い黒歴史の話をします。
もちろん今さら言うまでもなく、1977年から現在に至るまでロッテが社会に送り続けているチョコレート菓子、そのおまけシールがビックリマンシールでして、当初は「貼ってびっくりさせる」といういたずらシール的な意味合いが強かったところ、1985年から大化けしました。
そう、「悪魔vs天使シール」のシリーズが発売されたのです。スーパーぜウスとか、始祖ジュラとか、ヘッドロココとかサタンマリアとかのアレです。
悪魔・お守り・天使の三すくみの構造に、希少なキラキラカードである「ヘッド」。謎めいた壮大なストーリーに、シールに描かれたさまざまなキャラクター。「コロコロコミック」などの少年誌とのタイアップ展開、アニメやゲームなどとのメディアミックス。
いろんな要素がかみ合って「ビックリマン」は大ブレークしまして、少しあとの「カードダス」などと並んで当時の子どもたちの代表的な収集対象になり、一時期は社会現象とさえ呼ばれました。
一方「賭博要素が疑われる」「射幸心を煽る」といったクレームがついてヘッドが大量封入されるようになったり、大量の模造品があふれるようになった、などという暗い側面もご承知の通りです。賭博要素っていっても今じゃソシャゲでああいう手法はごく当たり前のものになったわけでして、現在では問題にすらならないかもしれないですが。当時は公正取引委員会の勧告まであって、結構騒がれたんですよ。
コスモスが作ってた「ロッチ」の偽物シールなんかも懐かしいですよね。今、偽物シールも価格が高騰していて、一部には「偽物の方が本物よりも価格が高い」なんてことも発生しているみたいです。
まあなんにせよ、ビックリマンシリーズはさまざまな変遷を経つつ展開し続け、いろんなメディアや作品とコラボしつつ今でも元気に続いている、という話なのでした。ちなみに今は第34弾が発売されてます。
隅から隅までハイセンスかつぶっ飛んだ言語感覚
それはそうと。
「ビックリマンシール」には昔から、シールの裏にキャラクター説明やストーリー説明の短い文章が記載されております。今でいうフレーバーテキストってヤツです。
今回主要なテーマにしたいのは、「このフレーバーテキストの言語的センスがぶっ飛んでいてどう考えても天才の仕事」「当時やってたフレーバーテキストを読み解く遊びめっちゃ楽しかった」という2点なんです。
例えばの話なんですが、天使vs悪魔シールの第9弾には、「ヘッドロココ」と「ヘッドロココ(最終武装タイプ)」の2種類のヘッドカードが封入されています。下記画像は最終武装タイプです。
ヘッドロココ最終武装タイプのフレーバーテキストは以下のような感じです。(カッコ内は本当はルビです)
幸七羽毛(こうしちフェザー)で守護(プロテクト)されたロココは聖火鳥飛速(せいかちょうひそく)で魔炎突破(まえんとっぱ)! 聖光道(ビームロード)完成で神帝脱出(じんていだっしゅつ)なるか?
悪魔界のウワサ 超悪魔渦重合(ウルトラデビルうずじゅうごう)で魔穴(デビルホール)発生! 神帝1(じんていワン)が消え去った?
これですね。実はこれストーリー上非常に重要なシーンについて書かれているフレーバーテキストなんですが、ちょっと細かい解説はいったん後にして、まずは言葉だけを味わって頂きたいんです。
私が一番言いたいのが「このフレーバーテキストの言語センスすごくね?」ってことです。
皆さん、「聖火鳥飛速」とか「超悪魔渦重合」って言葉、さらっと思い付きますか? 聖光道って書いてビームロードって読ませられますか? 「超悪魔」に当然のようにウルトラデビルっていうルビを振れますか? 「守護」はもちろん「プロテクト」って読ませますよね?
単語選択のセンスだけではなく、このテキストのテンポ。意味はよく分からないがなんかすげえ! というハイテンション。なんか子どもに受けそうな難しい言葉を並べているように見えて、実はちゃんとストーリーや設定の説明を、しかも謎めいた形でしているその内容。体言止めと疑問形の合わせ技による独特なテイストとバランス。
いや、割と冗談じゃなく天才の仕事だと思うんですよ。しかもこれ、1980年代の話ですからね?
たとえこの1枚だけであってもこのフレーバーテキスト書くの相当大変だと思うんですけど、さらにこれ、1シリーズ40枚弱のうちのたった1枚なわけです。これと同じようなテンション、これと同じようなセンスのテキストが、毎弾毎弾、あと40枚近くあるんですよ。しかもその言語感覚が1枚残らず全部ハイセンスでぶっ飛んでいる。
例えば、第8弾の天使シール「如面菩薩」のフレーバー。
聖座泉より誕生の次界アーチ天使。鎮座仏砲と聖ピン串(スティック)で魔暗を切り裂き一筋聖光を注入! W魔鬼襲(ダブルまきしゅう)で瞬間聖道力∞3(しゅんかんせいどうパワースリー)』
ここまで「なんかすげえ」と思わせるテキストがあるでしょうか? 細かいところでは≫「次界」とか「アーチ天使」とか専門用語がさらっと使われてるんですが、そんな細かいことはどうでもいいと思わされる言語選択とテンポ。W魔鬼襲なんて言葉一生かかっても思い付ける気がしません。
第6弾の天使シール「お救いクィーン」のフレーバーはこう。
天聖界へナショナル変身した天使は愛スマイルで聖心を呼び起こすのダ! KANONI(かんのんあい)を聖卵に植えつけ聖戦へ飛翔!
ものすごいですよね。ナショナル変身っていうのもなかなか思い付かない組み合わせの単語だと思うんですけど、KANONIって書いて「かんのんあい」ですよ。あまりにもハイセンス過ぎる。
ちなみにこのお救いクィーンって第1弾にいた「お救い観音」が聖卵の力でパワーアップした姿であって、お救い観音自体はこんなフレーバーになってます。
ドロヌ魔に落ちた悪魔にでもお救いほほえみパワーでまごころを呼び戻すヨ!! 観音愛がお邪魔界から救ってくれるのよ
と、この時点で既にフレーバーのテンポは十分垣間見えていることが分かって頂けると思います。
同じ第6弾の「ブッダSANZO」はこんな感じです。
超重聖赤色(ヘビーセントせきしょく)パンチを握りしめ魔力をKOする東方聖域の法師。光輝みちび光線を聖卵に照射! 天魔界始祖打倒戦出達!
これもすごい。超重聖を「ヘビーセント」って読ませてるんだけど、まずこの言葉の組み合わせを選ぶのがすごい。みちび光線(みちびこうせん)っていう軽い駄じゃれもとてもステキで、「天魔界始祖打倒戦出達」という疾風怒濤の十文字まで、まさに独自言語センスのワードバスケット。「超重聖赤色パンチ」という言葉の組み合わせに思い至れる自信がない。
東方聖域ってのは元ネタの西遊記から来てるんでしょうね。ちなみにここで「始祖打倒」って言ってますが、これ第6弾の悪魔ヘッドである始祖ジュラのことです。
そう、これらフレーバーテキストって、単に言語センスがものすごいだけじゃなくて、ちゃんと相互に関連し合って「ビックリマン」のものすごーく壮大なストーリーや設定を語っていたんですよ。これがもう一つのすごいところです。
コロコロコミックやらアニメやらで語られていた「ビックリマン」もあるんですが、アニメや漫画はそれぞれ独自解釈も含んでいましたし、中核になるストーリーって実はちゃんとシールの裏のフレーバーで完結するんですよね。
そこで私がなにより面白いと思ったのは、この「シールの裏のテキストから、何のことを語っているのか? ということを読み解く遊び」。
これが当時めっちゃ面白かったんです。
ちょっと、ここから先の話のために、簡単に「ビックリマン」19弾くらいまでのストーリーを解説します。すいません、本気で書こうとすると1万字書いても終わらないんで、ものすごく簡略化するのは勘弁してください。ビックリマンのストーリーって本当に壮大なんで。
- 天使が住む「天聖界」と悪魔が住む「天魔界」という2つの世界があった
- 悪魔が何度も攻めてきて天聖界は荒れ果ててしまった
- そのため、次なる世界である「次界」を求めて聖フェニックス(後にヘッドロココにパワーアップ)率いる若神子たちが旅立つ
- 次界を巡って、天使たちと悪魔たちの闘いが続く。悪魔たちを率いるのはサタンマリアがパワーアップしたワンダーマリア
- さらに異聖メディア率いる曼聖羅という第三勢力まで登場し、次界を巡って三つどもえの戦いになる
- 最終的に曼聖羅をしりぞけ、マリアとロココが和解してスーパーデビルを倒し、聖魔和合によって天使と悪魔の闘いが終結
基本的な流れはこんな感じです。この後もいろいろあるんですけどね。ブラックゼウスが復活したりとか、アリババがデュークアリババになったりとか。あと大体聖神ナディアのせい。
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