【無料配信記念】コナンファンが劇場版名探偵コナン「時計じかけの摩天楼」の魅力を語る
2020年4月17日〜18日に無料配信。
4月17日から順次、「名探偵コナン」劇場版第1作〜第10作がさまざまなプラットフォームで無料配信されています。2日間ずつ交代での無料配信で、17日〜18日に配信されているのは第1作「時計じかけの摩天楼」(1997年公開)です。
コナンファンの赤いシャムネコさんに、同作のオススメポイントを極力ネタバレなしで聞きました。
シリーズの全てが詰まった第1作
「あらゆるシリーズの第1作にはそのシリーズの全てが詰まっている」――そうよく言われますが、本作「時計じかけの摩天楼」もまさにそういう一本です。ここから始まって20年以上にわたって続くことになる“コナンの映画”のエッセンスがぎゅっと濃縮されています。
コナン映画の特徴は3つ。1に「ミステリ」、2に「ラブコメ」、そして3に「爆発」です。本作は、この3つの要素が完璧なプロットの上で一点に融合していくのが非常に美しい。
本作は連続爆破事件。なぜ劇場版1作目で爆発に青山剛昌先生とアニメ制作チームが目を付けたのか……コナンの原作では、たまに爆発は出てくるけれど(「新幹線大爆破事件」など)、しょっちゅうあるわけではありません。だからこそ映画では“爆発=派手でよい!”という判断だったのかもしれません。のちに「コナン映画=爆発」というイメージとなる、基本がここにあります。
爆破の多さは最初から飛ばしていて、ぜいたくに爆薬を使っていますが、事件自体の構造はシンプル。このころ原作では平次は登場しているけどキッドや灰原は登場していない時期なので、登場人物も、コナン、蘭、小五郎、少年探偵団というオーソドックスなメンバーです。
容疑者候補は出てきますが、犯人の名前からしてあの有名な犯人(※ややネタバレのため、記事末尾に注をつけます)のもじりになっているため、出てきた瞬間に察することができます。また、容疑者候補として登場する白鳥刑事(本作が初登場)が今となってはレギュラーキャラになっているため、フーダニット(犯人当て)としては物足りなく思う人が多いかも。ですが、本作のミステリ的なポイントはホワイダニット(動機)です。
美学系犯人
劇場版コナンでは美学や美意識に従って犯罪を起こす人が何人か出てきますが、1作目にしてそのフォーマットが完成しています。「普通それで人は殺さんやろ」というツッコミが出てきそうなところを、圧倒的なこだわりを持った犯人を描ききることでツッコませないようにしているのがすごい。アニメならではの、絵を用いた手掛かりも見事です。この一度聞いたら忘れられない動機によって、コナンの歴代犯人の中でも、特に印象に残っている人が多いのではないでしょうか。
しかしこの犯人、見れば見るほどチャーミング。爆弾を仕込む場所のセンスが、初手ラジコン、次にネコとセンスがかわいらしい(無関係なネコがかわいそうでは!? と思いますが)。しかも新一&コナンにヒントを出し続ける。「木の下だ!」「××の×だ!」というダジャレやリアル脱出ゲームの小謎的なテンションでヒントを出していくのが面白いですし、自分が捕まったあとの新一の行動を予測してさまざまな仕掛けをしています。
だんだん主従が逆転していくというか、爆破が一番の目的だったはずなのに、新一を意識しすぎているきらいのある犯人。もちろん、新一を陥れる理由は作中で描かれているので、必然性はあります。そちらの「動機」に関しても、さりげなくミスリードとして描かれた別な事件のエピソードが手掛かりになってくるのが、ミステリとしてはうまいポイントですね。ただ、「新一が解決した有名な事件」であの事件が出てくるのはちょっと地味というか、我々がコナンの派手な事件に慣れすぎているのかもしれません。
たった一言に集約していく
この作品の最大の見どころはラブコメ。始まった瞬間から、何度も繰り返される「赤」のワード。その積み重ねが、ラストシーンのたった一言のセリフに集約していくのがとにかく美しいです。ラストシーンから逆算で作っており、「ああ、この一言のために全てがあったんだ……」と思わさせる布石の嵐です。シンプルゆえに、劇場版屈指の鮮やかさな幕切れでしょう。
ちなみに、「赤と青」のラストの展開に関するアイデアは、青山先生の発案。青山先生のラブコメを描く天才っぷりが遺憾なく発揮された、すごくいいアイデアです。それを生かすための映像演出もパーフェクトでした。
さらにその最高のセリフを踏まえたうえで流れてくるのがエンディングテーマの「Happy Birthday」。完璧なエンディングを余韻をもって見終わることができます(地上波だとエンディングはカットされがちなので、配信ならではですね)。
「時計じかけの摩天楼」が面白かったら、この作品がおすすめ
- 天国へのカウントダウン……「時計じかけ」の不満点である「高度感のある爆破が欲しい」という気持ちを回収してくれる
- 迷宮の十字路……新一と蘭のラブコメ成分を思う存分堪能できる
- 11人目のストライカー……劇場版でも意外と少ない連続爆破もの
※有名な犯人……モリアーティ
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