男性ベビーシッターの一律活動停止に批判の声 ベビーシッター手配サービス「キッズライン」、性犯罪への対応に波紋

キッズラインは内閣府の割引券取扱事業者でもありました。

» 2020年06月05日 17時24分 公開
[不義浦ねとらぼ]

  ベビーシッターの手配サービス「キッズライン」は、6月4日より男性ベビーシッターの新規予約受付を一時停止しました。キッズラインに登録していた男性ベビーシッターが、キッズラインを通じて預かった子どもに対する強制わいせつ罪で逮捕されたことを受けての対応です。

 ベビーシッターによる虐待・性犯罪を防ぐ施策の必要性が認識されている一方、一律に男性ベビーシッターの活動を停止させるやり方には問題があり、批判の声が上がっています。


キッズライン キッズライン公式サイトトップ画面。内閣府の割引が利用できることが強調されている

事件の経緯

 キッズラインの報告によると、当該の男性ベビーシッターは2019年7月から11月までキッズラインに登録して活動していたとのことです。2019年7月下旬にはキッズラインの登録説明会、面接、座学研修、経歴チェック、身分証明書・資格証明書の確認がキッズライン社によって実施されており、活動開始後のクレームは全くなかったといいます。

 しかし2019年11月中旬に警察からキッズラインに連絡があり、捜査の手が入ることとなりました。警察の捜査を機に、当該の男性ベビーシッターのキッズラインにおける活動は停止措置が行われたとのことです。その後当該の男性ベビーシッターは逮捕され、複数の余罪・逮捕歴があったことが確認されました。


キッズライン 事件報道後のプレスリリース(キッズラインより)

男性シッター活動停止について

 キッズライン社は事件発生後、安全対策委員会を社内に設置し、専門家との協議を行い、まず以下の安全対策を講じました。

  • 24時間受付可能なサポート体制の構築
  • サポートセンター人員の強化
  • 初回登録時のみ実施していたベビーシッターの経歴・保有状況のチェックを、登録後も定期的に実施

 上記の対策は、事件の報道が行われた直後の2020年5月3日に公表されたものです。

 男性シッターの活動停止が実施されたのはその1カ月後となる6月4日であり、理由は以下のように説明されました。

 弊社としましては、国や自治体との性犯罪データベースの共有が実現することや、安全性に関する充分な仕組みが構築されるまで、また、専門家から性犯罪が男性により発生する傾向が高いことを指摘されたことなどを鑑み、男性サポーターのサポート(家事代行を除く)を一時停止することといたしました。

 キッズラインに登録しているベビーシッターは個人事業主(フリーランス)という扱いですが、キッズラインは「最大限補償して参る所存です」と表明しており、今回の決定によって経済的打撃をこうむった男性シッターには経済的補填を行う方針を示しています。


キッズライン 男性シッターの活動停止についてのプレスリリース(キッズラインより)


キッズライン 「最大限補償」する旨が記載されている(キッズラインより)

男性ベビーシッターの排除=性犯罪の排除ではない

 しかし、男性ベビーシッターの活動停止は、果たして適切な判断だと言えるでしょうか。

 確かに統計上、性犯罪の加害者は男性の比率が圧倒的に高いことは事実です。法務省の「犯罪白書」平成27年度版によると、性犯罪で有罪判決を受け、懲役刑になった受刑者1791名のうち、男性の割合は99.8パーセント(1788人)、女性は0.2パーセント(3人)でした。

 しかし当然ですが、それは保育の場から男性を排除してよい理由にはなりません。重要なのは性犯罪の取り締まりであって、男性の取り締まりではないからです。保育の場における性犯罪を男性特有の行動のように扱うことは、男性以外による性犯罪の不可視化や、育児労働を女性の領域に押し込めることにもつながります。

 SNS上では、「男性ベビーシッターへの偏見を助長することになるのではないか」という意見や、実際にキッズラインに登録していた男性ベビーシッターからの「信頼して自分を選んでくださる方のことを思うと涙が止まらない」という悲痛な声、またキッズラインを通じて男性ベビーシッターに依頼していたユーザーからの「私がお世話になっている男性ベビーシッターは誠実ないい人だったのに」という困惑の声が上がっています。

 キッズラインは内閣府のベビーシッター派遣事業における割引券取扱事業者に指定されており、利用の促進に税金が投じられている企業の一つです。今後キッズライン側には誠実な対応が求められます。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2404/25/news016.jpg 「電車の中で見ちゃダメ」「笑ったww」 実家からLINE「子ヤギがすばしっこくて捕まらない」→送られてきた衝撃姿が320万表示!
  2. /nl/articles/2404/23/news090.jpg 誰も教えてくれなかった“裁縫の裏ワザ”が目からウロコ 200万再生のライフハックに「画期的」と称賛【海外】
  3. /nl/articles/2404/21/news011.jpg 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  4. /nl/articles/2404/25/news043.jpg 娘の給食の献立表を見たら…… 正体不明の“謎の料理名”が「これはわからんw」と話題に その意外な正体に納得!
  5. /nl/articles/2404/25/news129.jpg プロ野球チップスでまた“不良品”流出 伊藤大海「176m」表記に続き…… カルビー謝罪「深くお詫び」
  6. /nl/articles/2404/24/news018.jpg 1年半ケージに引きこもっていたシャーシャー猫が、ある夜布団に入ってきて…… 感涙の行動に「まるで別猫」「こんな日が来るなんて」
  7. /nl/articles/2404/24/news017.jpg メルカリで300円の紙モノセットを買ってみたら…… 出品者のあたたかな心遣いに「利益は考えていないんでしょうね」「見ててわくわくします」
  8. /nl/articles/2404/23/news185.jpg 子どもに高級キーボードのパーツを捨てられた → 公式の“先読みしすぎた対応”が話題「そういうこともあろうかと」
  9. /nl/articles/2401/18/news015.jpg 巨大深海魚のぶっとい毒針に刺され5時間後、体がとんでもないことに…… 衝撃の経過報告に「死なないで」
  10. /nl/articles/2404/22/news124.jpg ダイソー「マルチ万能ほうき」が家事ラクの救世主 名前負け知らずの便利さに「これやばっ!!」「220円に驚き」の声
先週の総合アクセスTOP10
  1. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  2. 富山県警のX投稿に登場の女性白バイ隊員に過去一注目集まる「可愛い過ぎて、取締り情報が入ってこない」
  3. 2カ月赤ちゃん、おばあちゃんに少々強引な寝かしつけをされると…… コントのようなオチに「爆笑!」「可愛すぎて無事昇天」
  4. 異世界転生したローソン出現 ラスボスに挑む前のショップみたいで「合成かと思った」「日本にあるんだ」
  5. 【今日の計算】「8+9÷3−5」を計算せよ
  6. 21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
  7. 1歳赤ちゃん、寝る時間に現れないと思ったら…… 思わぬお仲間連れとご紹介が「めっちゃくちゃ可愛い」と220万再生
  8. 業務スーパーで買ったアサリに豆乳を与えて育てたら…… 数日後の摩訶不思議な変化に「面白い」「ちゃんと豆乳を食べてた?」
  9. 祖母から継いだ築80年の古家で「謎の箱」を発見→開けてみると…… 驚きの中身に「うわー!スゴッ」「かなり高価だと思いますよ!」
  10. 「ゆるキャン△」のイメージビジュアルそのまま? 工事の看板イラストが登場キャラにしか見えない 工事担当者「狙いました」
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」