吉村知事と安倍総理が会談〜「Go To」はやめるべきか
世論も大きく割れています。
ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(7月15日放送)にジャーナリストの佐々木俊尚が出演。新型コロナ対策について吉村知事が安倍総理、菅官房長官と行った会談について解説した。
新型コロナ対策〜安倍総理と大阪府の吉村知事が会談
吉村知事)総理、それから菅官房長官にお願いをいたしました。コロナ対策についてです。実効性のある対策をぜひお願いします。そして法改正をお願いしますということです。
安倍総理は14日、新型コロナウイルスの対策について、要望に訪れた大阪府の吉村知事と総理官邸で会談した。会談には菅官房長官も同席している。吉村知事は、感染防止対策の徹底を事業者に義務付ける法改正などを要望した。
飯田)東京では14日、新たに143人、全国では332人の感染が確認されました。吉村知事は法改正も要望したということです。
ここでGo Toキャンペーンをしなければ観光業は死んでしまう
佐々木)この状況でGo Toキャンペーンをやるべきではないと、吉村知事はおっしゃっていました。そう言われればそうですが、では、いつならやっていいのでしょうか。集団免疫を獲得できる見通しが立たず、ワクチンや薬の開発の目処が立っていないという状況がいつまで続くのかわかりません。このまま放っておくと、観光業は死んでしまいます。どこかである程度、自粛を緩めなくてはなりません。
Go Toキャンペーンに対して批判が高まっています。こんなことをしないで補償すればいいという話もあります。Go Toキャンペーンは1兆7000億円という巨額をかけるのですが、観光業界の従事者数は800万人〜850万人います。仮に850万人だとすると、1兆7000億円を1人当たり全員の補償に回せば、1人20万円です。1ヵ月の給料としてはいいかも知れませんが、1ヵ月で終わりです。これから何年も毎月20万円を渡すとなると、大変な金額になってしまい、補償だけで乗り切ることは現実的ではありません。もちろん将来、ベーシックインカムをやるということであれば別ですが。
やはり経済が回って、みんなが旅行に行ってお金を落とさなければ、給料を払うことはできません。そう考えると補償だけでは足りないので、行ってもらうしかありません。東京だけ見ていると、100人超、200人超と感染者が出ていて危険な感じがありますが、地方では感染が収まっているところが多いので、ある程度は回して行くという発想は大事だと思います。Go Toキャンペーンをやめれば感染が収まるのに、というのは量の概念を逸しているのではないでしょうか。
観光で日々の生計を立てている人が1000万人いる〜バランスが大切
飯田)これもやめるかやるかの二者択一、経済かコロナかという議論になってしまう。
佐々木)観光か命、どちらが大事ですかと言っています。3.11のときも、電力か命かみたいなことを言っている人がいました。電力がなければ命も守れません。それと同じで、観光か命かと、観光は不要不急に思えるかも知れませんが、その観光で日々の生計を立てている人は1000万人近くいます。彼らの命は観光がなければ守れないので、そのバランス感覚を大事にすべきだと思います。
飯田)そういう極論は逆に言うと、いろいろなものを切り捨てることになってしまう。
佐々木)わかりやすい物語につい頼ってしまい、スローガンを叫んでいれば世の中がよくなると思っている人が、あまりにも多すぎます。そうではなく、バランスが大切なのです。少しでもバランスが崩れるとあちらがひっくり返ったり、こちらがひっくり返ったりします。我々の社会はやじろべえのように、どちらかに倒れず、何とか維持している状態なのだということを理解しなければなりません。
東京、大阪は外してグラデーションのある政策が必要
飯田)吉村知事も全国的なキャンペーンはいまやるべきではない、近県などへ行くことから始めるべきだとおっしゃっています。まずは近くからですかね。
佐々木)とりあえず東京、大阪は外して、それ以外は自由にするとか、もう少しグラデーションのある政策は確かに必要です。日本人は、国がいいと言ったら全員が動くようなところがありますが、そうではなく、ある地域を動かして、ある地域は収めるということが必要ではないでしょうか。もう少し柔軟に、機能的にやることが求められていると思います。(radikoのタイムフリーを聴く)
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