アフターコロナで伸びる市場、沈む市場〜森永卓郎が予想
Go Toキャンペーンの効果は出る?
「垣花正 あなたとハッピー!」(7月15日放送)に経済アナリストの森永卓郎が出演。今後、アフターコロナのなかで伸びる市場と沈む市場について持論を展開した。
コロナ禍の後、生き残る市場はどこか
新型コロナの影響によって、人々のライフスタイルが大きく変化して来ています。その変化に対応できる市場が今後、アフターコロナの社会において伸びて行くことが可能であり、逆に、対応できない産業、企業は沈んで行くのです。
観光業は国内の需要を戻す〜ローカルに行くのが生き残りの道
Go Toキャンペーンが話題になっていますが、いま観光業ではインバウンドの旅行者はゼロです。しかし、これまでもインバウンドの需要は全体の2割で、8割は国内の人なのです。国内のお客さんもコロナで落ちていますが、これを戻せばいいのです。インバウンドへの期待は当分、戻らないと思った方がいいでしょう。東京オリンピックが来年(2021年)の7月に行われる予定になっていますが、これはかなり厳しいのではないでしょうか。
やはり日本人は温泉が好き〜その土地ならではの体験をする旅
いま、国民の間で私が聞く限り「温泉に行きたい」という人はたくさんいます。誰もがコロナ疲れを温泉に浸かって癒したい。やはり日本人は温泉が好きなのです。また、温泉だけでなく、各地にはいろいろな観光資源があります。農家に行って農業体験をする、伝統工芸の作業場に行って工芸品をつくるなど、日常から離れて体験することは魅力的です。旅をすることによって、その土地ならではの体験を楽しめます。私は群馬に行ってこんにゃく芋を収穫し、ミキサーにかけてこんにゃくをつくるということをしましたが、楽しいですよ。観光業は今後、グローバルではなく、ローカルに行くことが生き残りの道です。私は十分に可能性があると思います。
売り上げを伸ばすリモートワークを支援するITビジネス
コロナの影響で家にいることにより、GAFA、そしてマイクロソフトは売り上げを伸ばしています。その他、日本国内の企業でも、リモートワークを支援するITビジネスは売り上げが伸びています。オーダーメイドで会社のシステムをリモート対応できる環境にサポートする会社もたくさん出て来ています。
レストランの食事を出前で取ることが当たり前に
IT系だけではなく、Uber Eatsや出前館なども売り上げを伸ばしています。これまでは、出前を取るというとお蕎麦屋さんやピザ屋さんなど、限られたお店だけでしたが、Uber Eatsや出前館の登場によって、いままでできなかったレストランなどの食事を出前で取ることが当たり前になりました。
100年前のスペイン風邪大流行の後と同じことが起こる
いま起こっているのは、100年前と同じことです。100年前にスペイン風邪が大流行しました。統計が正確ではないのですが、そのときも日本人は感染率も死者数も低く、世界の5分の1ぐらいだったと思います。そこで第一次世界大戦が終わって、大不況が起こりました。戦争特需で湧いていた日本経済が急速に落ちたのです。そのときに財閥系の強いところはどんどん強くなって行き、いまのGAFAのようなことが起きました。新しいライフスタイルに対応した企業が伸びて行ったのです。同じことがいま起ころうとしています。
コロナの影響でなくなった老人の社交場としての病院
一方、アフターコロナでいちばん危ないのは医療機関です。新型コロナウイルスの影響で、医療関係者は大変な目にあっているのですが、一般患者が減って収益も下がっています。コロナが怖くてみんな病院に行かなくなったのです。これまでは、コントでよく、病院の待合室で「〇〇さん、きょうは具合が悪いから来ないんだって」という情景がありましたが、そういう老人たちの社交場としての病院は、このままなくなる可能性が大きい。かかりつけ医という言葉があるように、みんなの健康を日々変化がないか診てくれるお医者さんがいるのですが、コロナでそんなお医者さんにも行かなくなってしまいました。 radikoのタイムフリーを聴く
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