セミをゾンビのように操る菌 繁殖能力を奪い交尾させて感染個体を増やす

セミにとって利益のない交尾を続けます。

» 2020年08月04日 17時27分 公開
[関口雄太ねとらぼ]
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

 米ウェストバージニア大学の研究チームが、オスのセミに寄生して体を乗っ取り交尾を誘う行動をとらせ、感染個体を増やすマッソスポラ菌の研究結果を学会誌「PLOS Pathogens」で発表しました。


セミをゾンビのように操作 感染して繁殖能力を奪い交尾させて感染個体を増やすマッソスポラ菌 マッソスポラ菌に感染したセミをつかむ共著者ブライアン・ロベット氏

 論文によると、マッソスポラ菌はオスのセミに寄生し、感染したセミの生殖器と尾部、腹部を侵食。セミは繁殖能力を失いながらも、メスのように羽を揺らし、健康なオスのセミを誘惑してマッソスポラ菌の感染を広げます。感染した個体は健康なセミのように飛び回りますが、マッソスポラ菌に侵食された腹部は鉛筆の先に付いた消しゴムのようにすり減っていくといいます。

 ロベット氏とともに論文を記したマシュー・キャッソン氏は、これまでに考えられていなかった感染に至るシナリオの可能性を発見したと言及。マッソスポラ菌は、幻覚作用のあるキノコに見られる成分を含んでいることから、成虫になった段階で感染すると考えられていました。しかし成虫になる前の段階で、セミは根を食べているので、その時点で感染している可能性を指摘。セミが成虫となるまでの13年や17年を、宿主に寄生し続けている可能性があると言います。

 感染した個体数が多くないことから全体にはほとんど影響を与えないようです。また、感染したセミは人間には無害とのこと。ロベット氏は「彼らは非常におとなしい」として、「奇妙なライフスタイルを発展させていて、とても興味深く、風変わりだ」と述べました。


セミをゾンビのように操作 感染して繁殖能力を奪い交尾させて感染個体を増やすマッソスポラ菌 感染したセミ

セミをゾンビのように操作 感染して繁殖能力を奪い交尾させて感染個体を増やすマッソスポラ菌 マッソスポラ菌がセミに感染するシナリオ


※価格は記事掲載時点のものとなっています



Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

先週の総合アクセスTOP10
  1. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  2. 富山県警のX投稿に登場の女性白バイ隊員に過去一注目集まる「可愛い過ぎて、取締り情報が入ってこない」
  3. 2カ月赤ちゃん、おばあちゃんに少々強引な寝かしつけをされると…… コントのようなオチに「爆笑!」「可愛すぎて無事昇天」
  4. 異世界転生したローソン出現 ラスボスに挑む前のショップみたいで「合成かと思った」「日本にあるんだ」
  5. 【今日の計算】「8+9÷3−5」を計算せよ
  6. 21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
  7. 1歳赤ちゃん、寝る時間に現れないと思ったら…… 思わぬお仲間連れとご紹介が「めっちゃくちゃ可愛い」と220万再生
  8. 業務スーパーで買ったアサリに豆乳を与えて育てたら…… 数日後の摩訶不思議な変化に「面白い」「ちゃんと豆乳を食べてた?」
  9. 祖母から継いだ築80年の古家で「謎の箱」を発見→開けてみると…… 驚きの中身に「うわー!スゴッ」「かなり高価だと思いますよ!」
  10. 「ゆるキャン△」のイメージビジュアルそのまま? 工事の看板イラストが登場キャラにしか見えない 工事担当者「狙いました」
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」