箱根湯本駅「はこねいなり」(670円)〜まもなく半世紀! 箱根湯本のロングセラー
経木香るふたを開けると、4つのいなり寿司。箱根の温泉宿で満たされた心を邪魔しない黒子感がロングセラーの秘密なのかもしれません。
【ライター望月の駅弁膝栗毛】(初出:2020年8月20日)
箱根湯本駅を発車すると、さっそく急勾配に挑む箱根登山電車。
なかでもモハ1形は、大正8(1919)年の箱根登山鉄道開業当初からのチキ1形を改造。モハ2形は、昭和2(1927)年誕生の木造車・チキ2形をルーツに、いまも活躍中です。
現在も非冷房車ですので、いまの時期はいっぱい窓を開けて、自然いっぱい箱根の風を、思う存分浴びながら登山電車の旅が楽しめます。
(参考)箱根登山鉄道ホームページ
一方、最新鋭の3100形電車「アレグラ」号は、平成29(2017)年のデビュー。
2両固定編成とすることで、連結部の運転室をなくし、窓が大型化されました。
これにより、箱根の雄大な自然を間近に感じられるようになったのはもちろん、途中の「R30」といわれる急カーブの走行シーンも間近で楽しむことができると言います。
車齢が100年近く違う電車が、一緒に活躍しているのも、ちょっと面白い光景ですよね。
箱根湯本駅の駅弁は、さまざまな登山電車の移り変わりを眺めてきた存在でもあります。
懐かしいロープウェイや富士山と海賊船など、箱根らしい風景が描かれた掛け紙が印象的な「はこねいなり」(670円)もその1つ。
製造する「後藤商事(はこね弁当)」によると、箱根湯本駅で販売を始めた48年前(昭和47(1972)年頃)からのロングセラーだそうです。
【おしながき】
- しそいなり
- のりたまいなり
- ごまいなり
- 青のりいなり
- 紅しょうが
経木香るふたを開けると、4つのいなり寿司が現れました。
山菜が混ぜ込まれた酢飯は、やや酢が強めで懐かしさを憶えます。
のりたまや青のりのふりかけに、小さいころの家庭の食卓を思い出しました。
この郷愁をエッセンスに、新宿までの1時間半、小腹を満たし続けてまもなく半世紀。
箱根の温泉宿で満たされた心を邪魔しない黒子感が、ロングセラーの秘密なのかも。
箱根湯本〜強羅間で活躍する“登山電車”は長年、小田原駅まで乗り入れていましたが、平成18(2006)年以降、小田原〜箱根湯本間は、直通運転を行っている小田急電鉄の車両で運行されており、主に「赤い1000形車両」が充当されています。
現在「赤い1000形車両」は、箱根登山電車全線運転再開を記念して、小田急線全線で運行されており、東京都内でも登山電車の復活をアピールしています(8/31までの予定)。
(参考)小田急電鉄ニュースリリース・2020年7月14日分
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/
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