乗り鉄が厳選、鉄道好きに勧めたい「Kindle Unlimitedで読める鉄道漫画」11選月刊乗り鉄話題(2021年2月版)(2/3 ページ)

» 2021年02月12日 20時00分 公開
[杉山淳一ねとらぼ]

泣ける人情ストーリー 『迷い家ステーション【合冊版】』(小山田いく)

 『迷い家ステーション』は、青春漫画『すくらっぷ・ブック』、社会派漫画『マリオネット師』で人気の小山田いくによる人情ストーリー。1巻1話は絵本の名作『機関車やえもん』を連想する老気動車の物語です。泣けます。

 こちらは全5巻が1冊に合わさった合冊版。Kindle Unlimitedは最大10冊までの同時保存条件があるので、合冊版はありがたいです。

 舞台は架空の第三セクター鉄道会社「虹湯鉄道」の終着駅「迷い家」です。虹湯鉄道は上越新幹線で東京から1時間ちょっとの在来線「湯の屁」駅を起点とし、迷い家までの所要時間は1時間ほど。主人公の堺鉄行は迷い家駅の駅員で車両整備の腕は抜群。しかし、そのために希望している運転士になれません。技術屋不足の会社の意向です。

 物語は鉄行をはじめ終着駅に関わり、暮らす人々の日常と、迷い家を訪れる旅人のエピソードを重ねて進行します。鉄道が地域にとって大切な存在だとあらためて感じます。ああ、日本のどこかにこんな鉄道があるんだな、と探しに行きたくなりますよ。

登場人物が“鉄道路線”である異色のギャグ漫画 『青春鉄道(MFコミックス ジーンシリーズ)』全14巻(青春)

 『青春鉄道』は登場人物が鉄道路線という異色のギャグ漫画。イケメンに擬人化された鉄道路線たちがコミカルな会話を繰り広げます。

 例えば東京メトロ有楽町線クンは「乗り入れや接続先に個性的な路線が多い苦労人」。西武池袋線は関連商品の全てに「西武」を付ける愛社精神。東海道本線は新幹線の弟で、遅延する兄に振り回されるけれど、収益で兄に負けるため文句は言えない。……などなど。

 各路線の車両や沿線の特徴を捉え、プライドを持ちつつライバル意識を飛ばし合う会話が面白い作品です。ミュージカル作品も人気があり、これまでにスピンオフ1作を含めて4作が上演されました。5作目のミュージカル『「青春-AOHARU-鉄道」4〜九州遠征異常あり〜』は2021年2月14日〜28日に天王洲の銀河劇場で上演予定です。

photo ミュージカル『「青春-AOHARU-鉄道」4〜九州遠征異常あり〜(2021年2月14日〜28日/銀河劇場)』(「青春-AOHARU-鉄道」4 公式サイトより)

大河ドラマや映画にしたい名作 『陸蒸気はじめました。【増補版】』(相生リサコ)

 『陸蒸気はじめました。』は鉄道の父、井上勝の生涯を描いた大河ドラマ風の作品です。

 作者の相生リサコ氏は幕末の作品を手がけており、特に鉄道の父、井上勝を研究して商業コミック化。そこに同人作品を増補して本作が誕生しました。日本の鉄道黎明期、江戸幕府との折衝、佐賀藩の国産機関車作りからはじまり、東海道本線全通までの井上の半生を人間味豊かに描きます。鉄道史の入口としても楽しめる作品です。


 続編の『続・陸蒸気はじめました。【増補版】』もKindle Unlimitedの読み放題対象。鉄道の発展に寄与し、日本の国土の未来を見据えた井上の生涯をかみしめたい。大河ドラマや映画にしたい作品です。

家族同行なのに鉄分高めの主人公が面白い短編マンガ集 『カタギな鉄道旅』(極楽まさこ)

photo 『カタギな鉄道旅』(極楽まさこ)

 『カタギな鉄道旅』は鉄道の旅と色がテーマの短編マンガ集です。第5巻を拝読すると、体験的な内容で、ストーリー漫画あり、4コマ漫画あり、文章とイラストのエッセイ、駅弁紹介は雑誌の記事風とバラエティ感があります。楽しさと情報記事のいいとこ取り。夫と子どもを連れた家族旅の様子がいきいきと描かれ、家族同行にもかかわらず鉄分高めの主人公が面白い。

 1冊丸ごと旅雑誌。同人誌の電子化のため32ページ4話構成です。Kindle Unlimitedで5巻、6巻、7巻、8巻が読めます(2021年2月時点)。4巻以前は著者のサイト「極楽まさこ通販部」またはCOMIC ZINメロンブックスで購入可能です。

 「カタギな」ってどんな意味かな、きっと1巻に書かれているに違いない……と思ったら完売でした(2021年2月時点)。残念。全巻電子化してほしいなあ……。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2501/01/news004.jpg 巨大深海魚のぶっとい毒針に刺され5時間後、体がとんでもないことに……衝撃の経過報告に大反響 2024年に読まれた生き物記事トップ5
  2. /nl/articles/2501/01/news052.jpg ryuchellさん姉、母が亡くなったと報告 2024年春に病気発覚 「ママの向かった場所には世界一会いたかった人がいる」
  3. /nl/articles/2501/02/news027.jpg 【ハードオフ】2750円のジャンク品を持ち帰ったら…… まさかの展開に驚がく「これがジャンクの醍醐味のひとつ」
  4. /nl/articles/2401/18/news015.jpg 巨大深海魚のぶっとい毒針に刺され5時間後、体がとんでもないことに…… 衝撃の経過報告に「死なないで」
  5. /nl/articles/2501/02/news038.jpg 「どういうことなの!?」 ハードオフで13万円で売っていたまさかの“希少品”に反響「すげえ値段ついてるなあ」 
  6. /nl/articles/2501/02/news034.jpg 「脳がバグる」 ←昼間の夫婦の姿 夜の夫婦の姿→ あまりの激変ぶりと騙される姿に「三度見くらいした……」「まさか」
  7. /nl/articles/2501/01/news051.jpg 「衝撃すぎ」 NHK紅白歌合戦に41年ぶり出演のグループ→歌唱シーンに若年層から驚きの声 「てっきり……」
  8. /nl/articles/2412/31/news047.jpg 知らない番号から電話→AIに応対させたら…… 通話相手も驚がくした最新技術に「ほんとこれ便利」「ちょっと可愛くて草」
  9. /nl/articles/2501/01/news001.jpg 【今日の難読漢字】「手水」←何と読む?
  10. /nl/articles/2501/01/news048.jpg 「見間違いかと思った」 紅白歌合戦「ディズニー企画」で起きた“衝撃シーン”に騒然「笑った」「腹痛い」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 東京美容外科、“不適切投稿”した院長の「解任」を発表 「組織体制の強化に努めてまいる所存」
  2. 大谷翔平、妻・真美子さん妊娠公表→エコー写真に“まさかの勘違い” 「デコピン妊娠?」「どう見てもデコピンで草」
  3. 「すごい漢字!」 YouTuberゆたぼん、運転免許証公開 「本名の漢字」に衝撃の声続々
  4. 「麻央さんにそっくり……」 市川團十郎の11歳息子・勸玄の成長ぶりに驚きの声 「大きくなってる!」「すでに貫禄がある」
  5. チェジュ航空社長、日本語で謝罪 犠牲者は170人以上との報道 公式サイトは通常のオレンジからブラックに
  6. 「スマホ入荷しました」 ハードオフ店舗がお知らせ→まさかの正体に大横転 「草しか生えない」
  7. 母「昔は数十人もの男性の誘いを断った」→娘は信じられなかったが…… 当時の“想像を超える姿”が2800万再生「これは驚いた」【海外】
  8. 毛糸で作ったお花を200個つなげると…… “圧巻の防寒アイテム”完成に「なにこれ作りたい……!!」「美しすぎる!」と100万再生【海外】
  9. 「思わず泣きそう」 シャトレーゼの“129円クリスマスケーキ”に衝撃 「すごすぎない!?」「このご時世に……」
  10. 「デコピンを抱き寄せたのはもしかして」 妻・真美子さん第1子妊娠発表で大谷翔平の発言と行動に再注目 「“もう帰る?”は気遣っていたのかも」
先月の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
  3. 東京美容外科、“不適切投稿”した院長の「解任」を発表 「組織体制の強化に努めてまいる所存」
  4. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  5. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  6. イモトアヤコ、購入した“圧倒的人気車”が思わぬ勘違いを招く スーパーで「後ろから警備員さんが」
  7. 「何があった」 絵師が“大学4年間の成長過程”公開→たどり着いた“まさかの境地”に「ぶっ飛ばしてて草」
  8. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  9. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  10. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」