「死語でしょ」うそ、まだ使われてるの……!? 全く浸透しなかった愛称「E電」がたまに話題になる理由

まだ生きています。「まだ現役だったのか!」とたまに話題になります。

» 2021年02月24日 19時30分 公開
[大泉勝彦ねとらぼ]

 鉄道の路線名や列車名には「愛称」がたくさんあります。

 愛称は「宇都宮線」や「JR京都線」など、正式な路線名ではないものの、路線が通る地域を分かりやすく案内するために制定されたもの、東海道・山陽新幹線の「のぞみ」「ひかり」「こだま」のように列車種別に名付けられたものがあります。これらは広く浸透し、皆さんも普段から普通に使っていると思います。

 しかし、世間に全く定着しなかった悲しい愛称もあります。その1つがJR東日本の「E電」。皆さんE電とは何かご存じでしょうか。使ったことはありますでしょうか。

E電 国鉄民営化で誕生したJR東日本は、山手線など東京周辺の利用者が特に多い路線(電車特定区間)を「E電」と呼ぶことにしたものの……

JR発足で、「国電」の代わりに制定された愛称

 E電は、1987年の国鉄分割民営化によって、それまで「国電」と呼ばれていた首都圏の近距離電車を意味する愛称としてJR東日本が制定しました。山手線など東京周辺の利用者が多い路線(電車特定区間)のことで、E電の「E」には「East」のほか「Electric」「Enjoy」「Energy」などの意味が込められています。

 国鉄時代は、近距離電車を「国電」、中距離電車を「中電」と区別していました。国電は「国鉄電車」の略称ですが、JR東日本はこれに代わる新たな愛称を一般公募し、「E電」を発表したのです。

 愛称の発表後は「E電」と書かれたヘッドマークや駅ポスターが掲出されるなど、大々的に「E電」の愛称を宣伝しました。しかし、なぜかこの愛称はほとんど浸透せず、次第に使われなくなっていきました。

(参考)「E電」への乗り換えを案内していた車内放送(YouTube/城崎かすみ)

 国鉄民営化からはや30年以上、浸透しなかったのでほとんどの駅の案内板からE電の文字は消えました。

 ……でも、まだ生きています!

 東京駅の総武線地下ホームには「E電」と表記された案内板が残されています。「JR時刻表(交通新聞社)」の運賃表ページにも「東京の電車特定区間(E電)」という表記が現存しています。

東京駅 E電 東京駅総武地下ホームに残されている「E電」表記のある案内板。あまりに自然に、堂々と書いてあるので、一瞬どこか分からず探してしまうほど(写真:大泉勝彦)
東京駅 E電 JR時刻表の運賃表ページに記載されていた「E電」の文字(筆者所有「JR時刻表(交通新聞社)2020年6月号」より)

 JR東日本のプレスリリースにも、たまに「E電」の文字列が出てきます。近年では2021年1月19日発表「IC入場サービス『タッチでエキナカ』の開始について」、2016年4月発表「首都圏エリアへ『駅ナンバリングを導入します」などに登場。そのたびに鉄道ファンの間では「まだ現役だったのか!」と喜び、話題になります。

 このほかにあなたの身近なところにも「E電」の文字列、残っているかもしれませんね。

大泉勝彦



Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2501/04/news038.jpg 米津玄師、紅白で“205万円衣装”着用? 星野源“1270万円ネックレス”も話題…… 「凄いお値段」「びっくりした」
  2. /nl/articles/2501/04/news025.jpg サバの腹に「アニサキス発見ライト」を当てたら……? 衝撃の結果に「ゾワっとした」「泣きそう」と悲鳴 その後の展開を聞いた
  3. /nl/articles/2501/03/news057.jpg 「箱根駅伝」10区ランナー、“父親が大物アーティスト”と判明し「息子が走ってたなんて」「イケメン息子」と驚きの声
  4. /nl/articles/2501/02/news034.jpg 「脳がバグる」 ←昼間の夫婦の姿 夜の夫婦の姿→ あまりの激変ぶりと騙される姿に「三度見くらいした……」「まさか」
  5. /nl/articles/2501/03/news005.jpg 「妹が入学式に着るワンピース作ってみた!」→こだわり満載の完成品に「すごすぎて意味わからない」と大反響 2024年に読まれたハンドメイド記事トップ5
  6. /nl/articles/2501/01/news001.jpg 【今日の難読漢字】「手水」←何と読む?
  7. /nl/articles/2501/03/news004.jpg 授業参観の度に「かっこいい」と言われた父親が10年後……「時間止まってる?」父子の姿に驚愕 2024年に読まれた家族記事トップ5
  8. /nl/articles/2501/04/news004.jpg 高校生息子にリクエストされたお弁当を作ったら……驚きの仕上がりに「うらやましい」 2024年ねとらぼで読まれた【お弁当記事トップ5】を紹介
  9. /nl/articles/2501/03/news012.jpg 小さなカエルを大事に育て、たった1年後…… 娘が「こわい!」と逃げ出すレベルの“ヤバい成長”に「デカすぎやろ」「僕でも怖いわ」
  10. /nl/articles/2501/03/news007.jpg 考え方も性格も“正反対”の2人が結婚→それから13年後…… 苦楽をともにした“現在の姿”に反響 「素敵ですね」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 東京美容外科、“不適切投稿”した院長の「解任」を発表 「組織体制の強化に努めてまいる所存」
  2. 大谷翔平、妻・真美子さん妊娠公表→エコー写真に“まさかの勘違い” 「デコピン妊娠?」「どう見てもデコピンで草」
  3. 「すごい漢字!」 YouTuberゆたぼん、運転免許証公開 「本名の漢字」に衝撃の声続々
  4. 「麻央さんにそっくり……」 市川團十郎の11歳息子・勸玄の成長ぶりに驚きの声 「大きくなってる!」「すでに貫禄がある」
  5. チェジュ航空社長、日本語で謝罪 犠牲者は170人以上との報道 公式サイトは通常のオレンジからブラックに
  6. 「スマホ入荷しました」 ハードオフ店舗がお知らせ→まさかの正体に大横転 「草しか生えない」
  7. 母「昔は数十人もの男性の誘いを断った」→娘は信じられなかったが…… 当時の“想像を超える姿”が2800万再生「これは驚いた」【海外】
  8. 毛糸で作ったお花を200個つなげると…… “圧巻の防寒アイテム”完成に「なにこれ作りたい……!!」「美しすぎる!」と100万再生【海外】
  9. 「思わず泣きそう」 シャトレーゼの“129円クリスマスケーキ”に衝撃 「すごすぎない!?」「このご時世に……」
  10. 「デコピンを抱き寄せたのはもしかして」 妻・真美子さん第1子妊娠発表で大谷翔平の発言と行動に再注目 「“もう帰る?”は気遣っていたのかも」
先月の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
  3. 東京美容外科、“不適切投稿”した院長の「解任」を発表 「組織体制の強化に努めてまいる所存」
  4. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  5. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  6. イモトアヤコ、購入した“圧倒的人気車”が思わぬ勘違いを招く スーパーで「後ろから警備員さんが」
  7. 「何があった」 絵師が“大学4年間の成長過程”公開→たどり着いた“まさかの境地”に「ぶっ飛ばしてて草」
  8. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  9. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  10. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」