「死語でしょ」うそ、まだ使われてるの……!? 全く浸透しなかった愛称「E電」がたまに話題になる理由
まだ生きています。「まだ現役だったのか!」とたまに話題になります。
鉄道の路線名や列車名には「愛称」がたくさんあります。
愛称は「宇都宮線」や「JR京都線」など、正式な路線名ではないものの、路線が通る地域を分かりやすく案内するために制定されたもの、東海道・山陽新幹線の「のぞみ」「ひかり」「こだま」のように列車種別に名付けられたものがあります。これらは広く浸透し、皆さんも普段から普通に使っていると思います。
しかし、世間に全く定着しなかった悲しい愛称もあります。その1つがJR東日本の「E電」。皆さんE電とは何かご存じでしょうか。使ったことはありますでしょうか。
JR発足で、「国電」の代わりに制定された愛称
E電は、1987年の国鉄分割民営化によって、それまで「国電」と呼ばれていた首都圏の近距離電車を意味する愛称としてJR東日本が制定しました。山手線など東京周辺の利用者が多い路線(電車特定区間)のことで、E電の「E」には「East」のほか「Electric」「Enjoy」「Energy」などの意味が込められています。
国鉄時代は、近距離電車を「国電」、中距離電車を「中電」と区別していました。国電は「国鉄電車」の略称ですが、JR東日本はこれに代わる新たな愛称を一般公募し、「E電」を発表したのです。
愛称の発表後は「E電」と書かれたヘッドマークや駅ポスターが掲出されるなど、大々的に「E電」の愛称を宣伝しました。しかし、なぜかこの愛称はほとんど浸透せず、次第に使われなくなっていきました。
国鉄民営化からはや30年以上、浸透しなかったのでほとんどの駅の案内板からE電の文字は消えました。
……でも、まだ生きています!
東京駅の総武線地下ホームには「E電」と表記された案内板が残されています。「JR時刻表(交通新聞社)」の運賃表ページにも「東京の電車特定区間(E電)」という表記が現存しています。
JR東日本のプレスリリースにも、たまに「E電」の文字列が出てきます。近年では2021年1月19日発表「IC入場サービス『タッチでエキナカ』の開始について」、2016年4月発表「首都圏エリアへ『駅ナンバリングを導入します」などに登場。そのたびに鉄道ファンの間では「まだ現役だったのか!」と喜び、話題になります。
このほかにあなたの身近なところにも「E電」の文字列、残っているかもしれませんね。
(大泉勝彦)
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