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» 2021年02月27日 20時30分 公開

ボロボロの封筒から出てきた「親父が描いた漫画」に反響 ツナギ姿で働く父の知らなかった一面とその人生(1/4 ページ)

漫画を公開した息子さんを通じて漫画について取材しました。

[だいごろう,ねとらぼ]

 Twitterで投稿された「親父が学生の頃に描いた漫画」が、物悲しさのある独特な作風で注目を浴びています。

 実家の物置を整理していたら、ボロボロの封筒の中に大量の漫画の原稿が入っていたという、サリキョウさん(@M91Ptd8RdUeHLON)。漫画を描いたのは、かつて漫画家を目指していたサリキョウさんのお父さんでした。


「空しい世界」コマ1 「空しい世界」より

「空しい世界」コマ2

 漫画「空しい世界」に出てくるのは、猫のような見た目の生き物たち。キャラクターのかわいさとは裏腹に、緻密に描かれ無限に広がっていそうな空間や意味深なせりふ、独特の間により、幻想的でどこか「死」や「孤独」をにおわせています。

 サリキョウさんがアナログ原稿からデータ化しTwitterにアップすると、漫画が掲載された同人誌を持っている人から声をかけられるまでに事態は発展し、大きく話題になりました。

 編集部は息子さんであるサリキョウさんを通じて、お父さんの漫画について聞いてみました。

── お父さんは現在、どんなことをしている方ですか。

 父は数年前に自営業の車修理工を辞めて、プラモデルと家庭菜園を趣味に老後生活へ入っています。

── 漫画のストーリーはどんなことから着想を得ていましたか。

 3作品それぞれ違うきっかけで執筆を始めたと聞いてます。


「風と海」コマ1 1982年に描かれた「風と海」

 1作目の風と海は、中学生ごろの短編をセルフリメークした作品で、いわゆる「このときの作者の気持ちを答えよ」に答えるとするなら、「将来とか全然考えてないけど俺どうなっちゃうんだろう」といった心境だったみたいです。

 2作目の空しい世界は、当時親しくしていた友人の母が亡くなられ、それを題材に父が描いた作品です。独特の死生観は『ねじ式』などで知られる“つげ義春作品”と、仏教の影響を受けていると言っていました。


「夜のプレイボーイ」コマ2 「夜のプレイボーイ」にある仄暗いあぜ道

 3作目の夜のプレイボーイは、父もあまり記憶がないらしく、どういったきっかけで描いたのかは分かりませんでした。舞台となっている農村は、私が生まれる前の実家周辺の風景とよく似ており、父の郷愁と孤独に対する思いが良く現れていると思います。

── 話題になったことについてお父さんはどう思っているのでしょうか。

 父に「親父のマンガすごい人気になってるよ」と伝えたときは、驚きというより困惑していました。私も軽い気持ちで漫画をアップしていたので父と息子、そろって戸惑ってしまいました。

 父いわく「あんな中身もオチもない漫画のどこがいいんだ」とのことで、なぜここまでたくさんの人に読まれたのか理解できない様子でした。

── サリキョウさんは漫画をどうやって知りましたか。また、お父さんが漫画を描いていたことについて思うことはありましたか。

 ちょうど実家の物置部屋を整理しており、古い遺品やアルバムを片付けていたところ、母が年季の入った紙束の中から、ボロボロの封筒に詰められた漫画を見つけたのが事の始まりでした。


ボロボロの封筒

大量の漫画の原稿

 確かに、父が漫画家志望だったことは知っていました。私が幼い頃にもまだ漫画を描いていたかもしれません。けれども、私にとっては“いつもツナギ姿で働く修理工の父”でしたし、自分の過去を積極的に語るような人でもありませんでした。そして、仕事も辞めて年老い、椅子に腰掛けている時間の方が多くなった今でさえ、私にとっては“いつもの父”でした。そんな中、この作品群を見つけて、ようやく私はこの年老いた男性がアーティストだったことを理解したのです。

 もしかしたら、早計な母のことですから、そのまま捨てられていたことも十分あり得たでしょう。あるいは、父が亡くなってから見つけたかもしれません。しかし、奇跡的にこの原稿を見つけて、父という偉大なアーティストと作品、そしてこれまでの人生について語りあうことができたのは本当に幸せだと思います。



 ふとしたことをきっかけに、多くの人に読まれ日の目を浴びた漫画。また、サリキョウさんは、もし、お父さんが漫画道に進んでいたら、地元に戻ってお母さんと出会わず自分は誕生していなかったともツイートしています。「人生は奇跡の積み重ね」と思わずにはいられません。

※作品・画像提供:サリキョウさん(@M91Ptd8RdUeHLON

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