「俺……死ぬんだね……」 お尻の手術を控えた少年が座敷わらしと出会う漫画 孤独な2人の友情が温かい(1/5 ページ)
座敷わらしの伝承は、結構色々とわけありです。
それが家に住み着くと一族が栄える、姿を目にした人へ幸運をもたらす、などと伝わる妖怪「座敷わらし」。座敷わらしがいるとされる部屋を検証するなど、各種メディアにてよく取り上げられてきたことから、日本では比較的知名度の高い妖怪といえるでしょう。
今回ご紹介する作品には、この座敷わらしが登場するのですが……住み憑(つ)いた場所がいささか場違いでした。ですがその間違いから、コミカルながらも心あたたまるストーリーが紡がれていくのです。作者は漫画家の勝郎(@_katsurou_)さん。
異常にケンカっ早く、常日頃から傷の絶えない少年。その日もケンカでケガを負ってしまったのですが、今回ばかりは少々傷が重いらしく、病院へ入院することになりました。
さて、少年が入院した病室には、座敷わらしを名乗る小さな子どもがいました。どうやらその姿が見える人間は限られるようで、喜んだ座敷わらしは少年を「おにさん」と舌っ足らずに呼んで慕い、遊んでくれたら何でも願いをかなえてあげる、と言います。ですが少年は「別にいいよ、欲しいものなんて何もない」と答えるのでした。
ところで少年の負った「重い傷」というのは、お尻の骨がズレてしまっている、というものでした。少々厄介なのですが、簡単な手術で治るもの。ですが「手術」という言葉を聞いた少年は、どういうわけか「自分は死ぬのだ」と思い込んでしまったのです。
「自分はどんな病気でも治せるよ」と張り切る座敷わらしでしたが、少年はそれを一蹴します。「治ったところで、どうせずっとひとりぼっち。自分は死んだっていい」と吐き捨てる少年。ケンカに明け暮れていたのは、なんらかの原因から来た厭世(えんせい)観にあったようです。
それを受けた座敷わらしは「自分と友達になろうよ」と提案します。少年はそれを受け入れたらしく、その日からふたりは病室で毎日遊び、イタズラを仕掛け、じゃれ合いを繰り広げ……友情を深めていくのでした。
ある日のこと。楽しそうに父親の話をする少年を見て、座敷わらしは「一番の友達はお父さんなんだね」と言います。ですが少年は「お父さんはいなくなった、突然会えなくなったんだ」と、おそらくオブラートに包んでそれを伝えたのでした。
その後、座敷わらしは居眠りをしてしまいます。目覚めたそのとき、病室からは少年の姿が消えていました。その日は手術を受ける日で、少年はベッドに乗せられて手術室へと向かっていたのです。
少年の言うことを真に受けて「手術を受けたら死ぬ」と信じ込んでいる座敷わらしは、彼を必死に追いかけます。この世界の座敷わらしは、すみかとなった部屋から出ると存在を保てなくなるようで、身体が消滅しつつありました。
「この手術で俺は死ぬんだ、これでさよならだ」と答える少年に、それでも必死に追いすがり、自身の感情を吐露する座敷わらし。その姿と声を受けて、少年はひとつだけ、かなえて欲しい願いを見つけたのでした……。
少年が紡ぎ出した願い、少年がケンカに明け暮れた本当の理由、座敷わらしはなぜ少年をこれほど慕うのか。あらすじだけではつかみきれないストーリーと、2人の結末は、漫画を読み進めてお確かめください。
作品提供:勝郎(@_katsurou_)さん記事:たけしな竜美(@t23_tksn)
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