コロナ禍のフランスから「帰国しよう」と決意させた母からの通話…… 日本人留学生が漫画でつづる2020年春の緊急帰国
帰国を決心してからも一大事が。
2020年3月、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の流行が原因で、多くの留学プログラムが中止になり、緊急帰国を余儀なくされた学生が続々と日本に帰ってきました。
ついに外出制限(コンフィヌモン)が発令され、必要不可欠なこと以外の外出が全面的に禁止になったフランス。そんな状況下で「実家にウィルスを持ち込みたくない」という理由でフランスに残留することを決意する筆者でしたが……。
前回の記事はこちら
方向転換
母から突然かかってきたLINE電話。何の気なしに朝ごはんを食べつつ応対すると、予想外に思いつめた母の声が聞こえてきて、居住まいを正しました。医療従事者である母は、フランスの新型コロナ患者の死亡率の高さ、寮で1人で生活している私が万が一罹患した場合、適切な医療を受けることができるのか、といった不安を訴えました。
「やはり日本に帰国したほうがいい。家族に感染させるのが怖いなら、ウィークリーマンションで2週間の自主隔離をしよう。お金なら私が出すから……」母はそう提案してくれましたが、この言葉よりも、通話の声から伝わってきた母の不安の大きさが、私に「帰国しよう」と決意させたのでした。家族のために帰国しない! と言い張っていたけれど、そのせいで家族を不安にさせているなら、本末転倒です。
帰国へのカウントダウン
「よし! 帰国しよう」そう決断してからの行動は早かったです。まず、入国時に取っていたオープンチケット(日付変更可能な往復チケット)の帰国日を変更して、3月22日の飛行機の席を確保。そして、日本にいる母親と連携プレーで、ウィークリーマンションの入居申し込みを済ませました。
飛行機出発時刻から逆算すると、2日後の昼に寮を出発すればフライトに間に合うようです。現在、20日の午前中。残された時間はあと1日半。荷造り・掃除・退寮手続きを済ませ、この部屋を空っぽにしなければいけません。半年間の生活が詰まったこの部屋を……。
渡仏してきた当初は、スーツケース1つに収まるだけの身軽な荷物で新生活をはじめたはずが、半年間の間に増えに増えた本、服、おみやげ類(ワインも)……。急遽、スーツケースをもう1つ用意して、全て飛行機の預け入れ荷物として運ぶことにしました。外出制限が発令されて混乱状態にあるフランスから、郵送サービスを使って荷物を送るのは不安がありました。
でも、ここで一つ問題が。スーツケースが売ってる店って、どこ!? カバン屋さんなどの専門店は「生活必需品の販売店」ではないので休業中。開いているのは食料品などを売るスーパーだけです。近所のスーパーには、せいぜいおばあちゃんが押しているような買い物用カートぐらいしか売っていません。
必死で記憶をたどっていくと、パール・デュー駅前のショッピングセンター内の巨大スーパーには、カバンを売っていたことを思い出しました。必死でGoogleマップで検索し、店内の写真を探すと、確かにスーツケース売り場があるようです。とにかく、ここに行ってみるしかない!
普段だったらリヨン市のレンタル自転車で移動するのですが、この時は時間と体力の節約のため、地下鉄(メトロ)に乗っていくことに。外出制限が発令されているため、車両には私のほかに1人しか乗客がいませんでした。
ショッピングセンターへ
地下鉄の出口から出て、SNCF(国鉄)のパール・デュー駅を突っ切って反対側へ。さらに路面電車(トラム)の線路を渡ると正面にある大きな建物が、ショッピングセンター・パールデューです。
雑貨屋さんからファストファッションから高級ブランドまで多種多様なお店が入っていて、だいたいのものはここでそろうので、留学してきた当初はしょっちゅうお世話になっていました。レストラン等も豊富なので、友達と遊びに来たことも。しかし、この時はスーパー以外のお店が閉店しており、店内の照明も落とされ、まるで廃墟のようです。
目当てはショッピングセンターの2階と3階にまたがっているCarrefour(カルフール)というスーパー。これがめちゃくちゃ巨大なのです。ちなみに、Carrefourの発音は正確には「キャッフー」という感じです。はしゃいでるみたいで、発音するたびにテンションがアガります。
2階はドラッグストア、文房具や電化製品、お菓子、酒類。3階はまるまる生鮮食品売り場になっています。ほとんど無人の店内をさまよった結果、2階の文房具売り場の奥に、カバン類の棚を発見。無事、スーツケースをゲットできました!
スーパーでは、ちゃっかりおみやげ(マルセイユ石鹸、ご当地銘菓や駄菓子、チョコレートなど)の購入にも成功。バスに乗って帰路につきました。バス停周辺で巡回している警察官の一団とすれ違い、緊張したのを覚えています。
ところで、フライトで預け入れできる荷物の重量制限はスーツケース2つ、それぞれ23キロまで。つまり、重さの上限は46キロ。さて、私の部屋にある荷物は、46キロ内におさまるのか? 買ってしまったおみやげは、無事に日本まで持ち帰ることができるのか……!? 次回へ続きます!
<第6回に続く>
これまでの「帰国日記」
関連記事
- 2020年初頭、フランスでは何が起こっていたのか? ある1人の留学生が漫画でつづる「新型コロナ」感染拡大の記憶
ヨーロッパ圏でのコロナの受け止められ方は……。 - 今夜のライブが中止になったらどうする? あるアイデアで“推し”を応援する姿を描いた漫画に元気づけられる
それでも「推しにお金を使いたい」! - 子どもにとって、新型コロナ禍はどう見えているのか? 在宅勤務の親が気づかされた「子どものタフさ」漫画がじんわり沁みる
子どもにとっては身近なできごとのほうが大事なのかも。 - 息子が「パパ」と言って指さしたのは……? 親子でバスに乗ったときのエピソードを描いた漫画がジワジワ面白い
一緒に乗っていたかったです。 - 帰宅後のルーティーンにちょい足し! お風呂の準備中&お風呂上がりにできるセルフケア4選をイラストで解説します
現役エステティシャンが解説します。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
「電車の中で見ちゃダメ」「笑ったww」 実家からLINE「子ヤギがすばしっこくて捕まらない」→送られてきた衝撃姿が320万表示!
-
誰も教えてくれなかった“裁縫の裏ワザ”が目からウロコ 200万再生のライフハックに「画期的」と称賛【海外】
-
小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
-
娘の給食の献立表を見たら…… 正体不明の“謎の料理名”が「これはわからんw」と話題に その意外な正体に納得!
-
プロ野球チップスでまた“不良品”流出 伊藤大海「176m」表記に続き…… カルビー謝罪「深くお詫び」
-
1年半ケージに引きこもっていたシャーシャー猫が、ある夜布団に入ってきて…… 感涙の行動に「まるで別猫」「こんな日が来るなんて」
-
メルカリで300円の紙モノセットを買ってみたら…… 出品者のあたたかな心遣いに「利益は考えていないんでしょうね」「見ててわくわくします」
-
子どもに高級キーボードのパーツを捨てられた → 公式の“先読みしすぎた対応”が話題「そういうこともあろうかと」
-
巨大深海魚のぶっとい毒針に刺され5時間後、体がとんでもないことに…… 衝撃の経過報告に「死なないで」
-
ダイソー「マルチ万能ほうき」が家事ラクの救世主 名前負け知らずの便利さに「これやばっ!!」「220円に驚き」の声
- 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
- 富山県警のX投稿に登場の女性白バイ隊員に過去一注目集まる「可愛い過ぎて、取締り情報が入ってこない」
- 2カ月赤ちゃん、おばあちゃんに少々強引な寝かしつけをされると…… コントのようなオチに「爆笑!」「可愛すぎて無事昇天」
- 異世界転生したローソン出現 ラスボスに挑む前のショップみたいで「合成かと思った」「日本にあるんだ」
- 【今日の計算】「8+9÷3−5」を計算せよ
- 21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
- 1歳赤ちゃん、寝る時間に現れないと思ったら…… 思わぬお仲間連れとご紹介が「めっちゃくちゃ可愛い」と220万再生
- 業務スーパーで買ったアサリに豆乳を与えて育てたら…… 数日後の摩訶不思議な変化に「面白い」「ちゃんと豆乳を食べてた?」
- 祖母から継いだ築80年の古家で「謎の箱」を発見→開けてみると…… 驚きの中身に「うわー!スゴッ」「かなり高価だと思いますよ!」
- 「妹が入学式に着るワンピース作ってみた!」 こだわり満載のクラシカルな一着に「すごすぎて意味わからない」「涙が出ました」
- フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
- 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
- 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
- フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
- スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
- 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
- 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
- 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
- がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
- 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」