「ソウ」シリーズ4年ぶり新作「スパイラル:ソウ オールリセット」レビュー 9度目の殺人劇は“最恐”を更新したか(1/2 ページ)
みんな大好き「ソウ」シリーズの最新作。
「ハロー、アダム。ゴードン博士。ゲームをしよう」
鎖でつながれた男2人。中央に横たわる死体。ゲームの始まりを告げる不気味な人形。そして鎖を切ること“は”できない粗末なノコギリ。二転三転する視点、露悪的なグロテスク描写、次第に明らかになる真実。
2004年、ジェームズ・ワン、リー・ワネル2人の若者を中心に製作された第1作「ソウ」は、極限状況での恐怖と人間のさまざまな感情の機微を描くことで、「ソリッド・シチュエーション・スリラー」という言葉を根付かせる要因になった大傑作だ。
レンタル映画の棚には模倣シリーズ「JIGSAW」が並び、往年のカルト映画「キューブ」や、同じくワンシチュエーション映画の傑作「フォーンブース」等がフィーチャーされることになった。その約4年ぶりとなる新作「スパイラル:ソウ オールリセット」が9月10日から公開中だ。
「ソウ」シリーズの魅力は大きく2点に分けられる。まず1つは、公開規模からは考え難いほどの残虐なゴア描写だ。1作目のヒット以来、年イチで更新される「観客に痛みを与えよう」と考えているとしか思えないギミックの進化、「ゲーム」のアイデア、そしてその表現を可能にしたハイレベルなCG、特殊メイク。
そしてもう1つは物語最終盤に明かされる意外な真実、すなわちツイストを回収していく場面だ。作品中のセリフの断片がつなぎ合わされ、映像が巧みにミスリードしてきた真実がテーマソング“Hello Zepp”――同じフレーズを繰り返しながら、次第に重ね合わさり、爆発的になっていく音圧と共にクリアになっていく快感。結局のところこれがあるからこそ、本作はシチュエーションやキャラクターを変えながらも、1本の筋をもって「ファイナル」までの7作ものフランチャイズとなり得たのである。
猟奇殺人鬼が命の大切さを学ばせようと、命を粗末にしている二人を拉致する。二人は生き残りをかけたゲームに参加させられ、助かるためには戦うか、さもなくば殺されてしまうという…。
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しかしそれにも限度がある。「ジグソウ・キラー」がいかに魅力的な殺人者であるとはいえ、その物語はあまりにも複雑になりすぎてしまったし、トリッキーなシナリオの中心部を手掛けたジェームズ・ワン、リー・ワネルの両名は早くにシリーズを離れた。結果シリーズは回を増すごとに脚本の機微を欠き、ただの悪趣味なスリラー映画との謗りを受けることになる。しかし「“シリーズを終わらせるなら彼を呼び戻すしかない”」という奇跡的なキャスティングのもと、2010年に「ファイナル」をもって完結した。
2017年に突如新章として公開された「ジグソウ:ソウ・レガシー」から4年、本作「スパイラル:ソウ オールリセット」は再びの新作となる。監督はシリーズ過去作を複数監督したダーレン・リン・バウズマン、脚本は「レガシー」から2人が続投となった。
タイトルを「オールリセット」としながらも、舞台はジグソウ・キラーが存在した世界であり、厳密にはリブートではない。警察官をターゲットとしたジグソウによく似た手口の猟奇殺人犯を追う刑事ジークと「模倣犯」の攻防を描いた作品となっている。
追跡者が刑事であり、これが「ソウ」シリーズである以上、必然的に観客の視点は「殺人者は誰か」に絞られる。1作目はこのような見方を巧みにかわした舞台設定が生きた作品だったが、本作のシナリオは(「ソウ」に対するリスペクト精神を掲げたにしては)あまりにお粗末だ。少なくともシリーズを数作見た人間であれば、殺人者の正体に気がつくのは容易だろう。
いくつかのミスリードはもちろん用意されており、クリスチャン・ベールの某名作スリラーを引用したカットには襟をただしたところもあったが、結果としては安直な結末に落ち着くところとなった。
また「ゲーム」を行う上での思想についても不満が残る。過去シリーズでも模倣犯は登場したものの、その思想についてどう考えているかの基本線は少なくとも引かれていた。その点でも本作の終着点、「なぜこのような事件を起こすのか」という動機については、歯切れの良いものではない。今後シリーズをあらたに展開していく、という点でも、少々厳しいのではないかと思う。
メインテーマ“Hello Zepp”(本作では“Zepp Nine”)の使い方も残念だ。結末に至るまでのシナリオの動かし方がこれまでのシリーズと決定的に異なる以上、これまでのような使い方ができないことは確かである。であるならば、「オールリセット」を名乗っていながら、これまでの人気にすがるようなとってつけた使用はいささかどうかと感じる。
そしてシリーズの代名詞である人体破壊についても、やはり過去シリーズと比べ大きく見劣りする。シナリオの弱さを補強するかのように加速度的に露悪的になっていった過去のゲームの異質さが、ここでは残念ながら枷(かせ)になってしまっている。ゲームの始まりを告げる不気味なセリフも今回はどうにも味気なく、残念ながらシナリオ、映像共に及第点に達しているとはいえない。
ホラー映画は不況の時代でも成功しやすい。莫大な予算を必要とせず、限られた期間・舞台での撮影が比較的容易であることに加えて、暗闇の中で怖がりたい、衝撃的な映像を見たいという客層は一定数いる。
海外ではまさに今「キャンディマン」のリブートが記録的なヒットを飛ばしており、日本でも「クワイエット・プレイス」や「ドント・ブリーズ」などをアトラクション的に観劇する、という楽しみ方が増えていることは事実だ。そのような中で再び「ソウ」シリーズを復活させようという試みはホラー映画ファンとして大いに結構、次なる傑作の出現を願ってやまない。
米国にてリメイク版がヒットを記録している「キャンディマン」の第1作(1992年公開)。鏡に向かって5回その名を唱えると現れる伝説の殺人鬼・キャンディマンの謎を追うホラー映画の金字塔
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街を出るための資金が必要なロッキーは、恋人マニー、友人アレックスと共に、大金を持っているといううわさの目の見えない老人の家に忍び込む。だが、老人(スティーヴン・ラング)は、驚異的な聴覚を武器に彼らを追い詰める。明かりを消され屋敷に閉じ込められた若者たちは、息を殺して脱出を図るが……。
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しかし「ソウ」は既に成熟し切ってしまった、とも思う。いかなるホラーシリーズも作品数を重ねることで次第に行く道は歪んでいく。ジェイソンは「ジェイソンX」(10作目)にて宇宙の流れ星になり、フレディは「エルム街の悪夢 ザ・リアルナイトメア」(7作目)にてメタ作品となることでその役割を終えた。ジグソウの物語もこれで9作目。どうにかしてあと1作は文句なしのうなるものを見てみたい、と望んでしまうのは、悲しいファンの性だろうか。
(将来の終わり)
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