アトピーを放置したら死にかけた 彼氏と彼女の「感染性心内膜炎闘病記」(2)(1/2 ページ)

「あさって手術をします、今しかないと判断しました」と死亡リスク8%の手術宣告。

» 2021年11月05日 18時00分 公開
[てんもんたまごねとらぼ]

 みなさん、突然ですがアトピーや虫歯を放置していませんか?

 アトピーも虫歯もとても身近な病気ですし、わざわざ病院に行かなくても……と思ってしまうのも仕方がないのかもしれません。私の彼氏さんも病院嫌いでアトピーをほぼ放置していましたが、それが原因で一時は重篤に。そして、死亡リスク8%の心臓の手術を受けることになったのです。

 これから書くのは、天涯孤独の彼氏さんが「感染性心内膜炎」にかかって退院するまでの、そしてそれをそばで見ていた私、てんもんたまごの闘病記です。

連載一覧

発症から11日目

 この日は、斜め前のベッドのおばあちゃんの娘さんと話し込んでいました。

 リハビリセンターは体力の回復見込みがないと断られてしまうらしいです。「でも面倒を見きれないから自分でできる期間を少しずつのばすしかないのよー」とのこと。「娘さんがいないときも、おばあちゃんリハビリがんばっていましたよー」と伝え、いろいろなことを話しました。

 さて、彼氏のリハビリにはリハビリ用のシューズが必要です。しかしリハビリシューズには彼氏の足のサイズである29センチがありませんでした。そこで29センチのうわぐつを買って代用することになりました。

 うわぐつと言えば小学生以来なので18センチくらいのサイズしか知りません。いざ29センチのうわぐつが届いたときにはびっくりしました。どでかいしおもい。私の知っているうわぐつではありませんでしたです。ちなみに私の足のサイズは22センチなので、自分の靴を横に並べると大人用と子ども用に見えました。

発症から12日目

 朝病室に行ったら「今どういう状況?」と、彼氏。やっと身の回りの状況を理解できるようになったようです。

 右脳の脳梗塞が深刻らしく、この日からリハビリが開始しました。心臓の手術はある程度リハビリをしてからになるそうです。手や足が思うように動かないことは知っていましたが、理学療法士さんに「100ー7は?」と聞かれ、「うーん、うーん、102??」と答えているのを見たときは衝撃でした。

 この日のポケモンお見舞い絵はプラスルとマイナン。プラスルは彼氏に、マイナンは斜め前のベッドのおばあちゃんにあげることにしました。

 この頃の私は今までの人生で一番つらい状況でしたが、翻訳をしたり、待合室でねとらぼの記事を書いたりと、仕事をこなせている自分に驚きました。というより、何かをしている時間の方が楽だったかもしれません。

発症から13日目

 彼氏が死にかけて容体が安定しない、という異常事態。病院の外やTwitterで日常風景が見られることが、すごくありがたかったです。心の支えだったともいえます。

 もしこれが災害中だったなら、どこにも日常がなくて心が折れていたのではないでしょうか。

 せっせと病院でポケモンのお見舞い絵を描いて1週間がたち、いつのまにか周りの人に「あっ新作だ!」「プラスル増えてる!」「推しのスターミー描いて!」と言われるようになっていました。

 しばらくリハビリの日々が続きます。

発症から14日目

 斜め前のベッドのおばあちゃん、せっかく仲良くなったのに部屋が移ってしまいました。「寂しくなるなあ」と考えていたら、娘さんが私に会いに来てくれました。「病室引っ越したけどあなたに会いに来たわよ! 絵のお礼もまだ言えていなかったもの!」。

 ささいなことかもしれませんが、このころの私にとってはすごくうれしい出来事でした。

 彼氏さんは、理学療法士さんとリハビリ中。

理学療法士さん「脳梗塞の影響で左側が動かしにくいようですが、感覚もあるし関節に問題があるわけでもなく、筋肉の伸び縮みができてないだけなのでリハビリの余地があります」

私「へ〜!めっっっちゃ興味深いですね!!!!」

 また、彼氏さんは昨日は引き算もできなかったのに、この日は簡単な計算ができるようになっていました。正直、人ごとでさえなければ興味深いこと・話がたくさんありました。

 彼氏には幻覚がありますが、幻覚は思っていたより生活にささやかに入り込むものらしいです。ポケモンの話をするとポケモンの鳴き声がする、みたいな感じで。

 二人で窓の外を見ているときもこのような会話をしました。

彼氏「『筋肉喜ぶプロテイン』って看板があるけどあれって幻覚?」

私「そんなに愉快な幻覚が見えてんの?」

彼氏「なんだー、幻覚かー」

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2404/15/news019.jpg 4カ月赤ちゃん、おねむのひとり言が止まらず…… 心とけそうなおしゃべりに「とてつもなく可愛すぎる!」「ウルウルした」
  2. /nl/articles/2404/15/news020.jpg 1歳妹が11歳姉に髪を結んでもらうやさしい光景が160万再生 喜ぶ妹のノリノリのリアクションに「可愛すぎて息できない」「ねぇね髪の毛結ぶの上手」
  3. /nl/articles/2404/13/news014.jpg 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  4. /nl/articles/2404/14/news013.jpg 海岸を歩いていたら「めっちゃ緑のヨコエビがおって草」 作りものと見まごうほどの色合いに「ガチャの景品みたい」と驚きの声
  5. /nl/articles/2404/11/news165.jpg 遊び疲れた子猫を寝かしつけてみた 絵本のような光景に「きゃーあ」「可愛すぎて変な声出た!」
  6. /nl/articles/2404/15/news038.jpg ダイソーの材料を“くっつけるだけ”で作れる、高見え「カフェコーナー」 今流行りのジャパンディな風合いに「天才的に美しい」「まねする!」
  7. /nl/articles/2404/15/news103.jpg 「ケンタッキー」新アプリ、不具合や使いづらさに不満殺到…… 全面的刷新も「酷すぎる」「歴史に名を残すレベル」
  8. /nl/articles/2404/15/news014.jpg 100均大好き起業ママが「考えた人天才すぎる」と思わず興奮 ダイソー&キャンドゥの優秀アイテム5選が参考になりすぎる
  9. /nl/articles/2404/14/news006.jpg 兄が10歳下の妹に無償の愛を注ぎ続けて2年後…… ママも驚きの光景に「尊すぎてコメントが浮かばねぇ」「最高のにいに」
  10. /nl/articles/2404/15/news021.jpg 下っ腹に合わせて購入したGUデニムで50代女性に悲劇→機転を利かせたコーデに称賛!! 「笑って楽しんで60代、70代を迎えたい!」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「歩行も困難…言動もままならず」黒沢年雄、妻・街田リーヌの病状明かす 介護施設入所も「急激に壊れていく…」
  2. 500円玉が1つ入る「桜のケース」が200万件表示越え! 折り紙1枚で作れる簡単さに「オトナも絶対うれしい」「美しい〜!」
  3. 赤ちゃんがママと思ってくっつき爆睡するのはまさかの…… “身代わりの術”にはまる姿に「可愛いが渋滞」「何回見てもいやされる!」
  4. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  5. 日本地図で「東京まで1本で行ける都道府県」に着色 → まさかの2県だけ白いまま!? 「知らなかった」の声
  6. 中森明菜、“3か月ぶりのセルフカバー動画”登場でネット沸騰 笑顔でキメポーズの歌姫復活に「相変わらずオシャレで素敵」「素敵な年齢の重ね方」
  7. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評
  8. もう別人じゃん! 「コロチキ」西野、約8カ月のビフォーアフターが「これはすごい」と驚きの声集まる
  9. 娘がクッションを抱きしめていると思ったら…… 秋田犬を心ゆくまで堪能する姿が440万再生「5分だけ代わっていただけますか?」「尊いなぁ…」
  10. 業務スーパーの“高コスパ”人気冷凍商品に「基準値超え添加物」 約1万5000個販売……自主回収を実施
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」