アトピーを放置したら死にかけた 彼氏と彼女の「感染性心内膜炎闘病記」(2)(2/2 ページ)
発症から16日目
「あさって手術をします、今しかないと判断しました」。だいぶリハビリも進んだころに、主治医から突然の手術宣言をされました。
僧坊弁(心臓の弁の1つ)の説明や、感染性心内膜症の歴史、手術に関する説明は、実は理系の私には大変興味深かったです(たぶん目を輝かせて聞いていました)。話を聞くのは楽しかったですが、厳しい現実もあります。
「死亡のリスクは8%です」
手術中に脳出血が起きた場合、後遺症や死亡のリスクがあるとのこと。今までのリハビリも水の泡になってしまうかもしれません。この8%という数字をどう捉えるべきか考えながら、手術の同意書にサインをするときは手が震えました。
このころは「食欲がなくても食べなきゃ」と無理やりラーメンや牛丼を胃に流しこんでいたのですが、味を感じませんでした。しんどいときって、本当に味がしなくなるんですね。
発症から17日目(手術の前日)
この1週間、いろいろな手術待ちの家族に会いましたが、いよいよ私の番か、とふと待合室で仕事する手を止めて考えていました。明日、ずっとそわそわしているのか、それとも落ち着いて仕事をしているのか、全く想像できなかったです。
発症から18日目(手術当日)
いよいよ心臓の外科手術当日! 菌の巣窟となった心臓弁を切り取り、修復、あるいは人工弁に置き換えます。その日は8時半に病院へ。ツツジがきれいに咲いている朝でした。
手術前に彼氏に会って、手術室へと連れて行かれる彼氏を見送りました。そして朝9時から手術は始まったのです。手術の予定時間は5時間。
そのころ私はどうしていたかというと……バリバリねとらぼの記事を書いていました。というか、何もしないで待つ方が無理な話で、仕事をしている方がよほど楽だったのです。でも予定の5時間を過ぎるとさすがにそわそわして待つのが辛くなってきました。授業中の最後の3分間が延々と続いているような、どうにも落ち着かない感じです。
結局、手術は7時間にも及びました。「もう待っているのはいろいろ限界!」という気持ちになっていた16時10分に手術が終了し、私はICUに呼ばれたのです。
生まれて初めて入るICUは……とても怖かったです。
リアルに包帯でぐるぐる巻きになってる人から小さな子どもまでいて、痛々しい姿の他の患者さんたちを見ないようにしていました。
手術後の彼氏は、自発的に呼吸もせずに手術前よりもたくさんの管につながれ、いろいろな機械類に囲まれていました。輸血パックと真っ赤な管につながれている彼氏の姿を見ると、口の中がひどく乾いて、心臓がばくばくして吐き出しそうになりました。
「大丈夫です、手術は成功してます。手とか握っていいですよ」と外科医にいわれても、身の回りが異常すぎて気が狂いそうだったので早めにICUを出ました。
手術が成功した実感もあまりなく、ひどく重くなった自分の身体をひきずりながら、なんとなく自分の限界を感じました。ああ、日常が恋しい。
話によると3日くらいはICUにいるらしいのですが、私はその後の2日間、病院に行けず、ふさぎ込んでしまいました。
【続き】発症21〜57日目
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「今は『おかしいと思ったら、家族のためにも自分のためにも救急車を呼ぶべき』だと思っています」。
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