権力を失い、軍に逆らえない“弱い王様” 戦争へ向かう国を変える漫画に心が震える(1/2 ページ)

少年音楽家の言葉が王様を変えた。

» 2021年11月17日 20時00分 公開
[Tomoねとらぼ]

 戦争へ向かおうとする国の、権力を失った王様を描いた漫画「夜明けのファンファーレ」が「勇気が湧いた」「心が躍る作品」と好評です。作者はWebで漫画やイラストを公開しているはむ(@ham8823)さん。

権力を失った王様の物語

 権力を奪われ、政権に逆らうことのできないフライハイト国王。政権が他国へと戦争を仕掛けようとすることを憂いていますが、止める力もなく、開戦の演説をすることになってしまいます。

戦争には反対の王。しかし逆らうことはできず……

 王を慰めるため、王宮へ元従軍音楽家のリヒトが呼ばれますが、彼が子どもの身で従軍していたことに王はショックを受けます。生きるために戦場に出るしかなかったという彼は、そうなったのは社会のせいだと痛烈な言葉を王に投げかけます。

王に痛烈な言葉を投げかけるリヒト

 リヒトの率直な態度に戸惑いながらも、彼の見事な演奏に感心する王。戦地で聞いた曲を探しているという彼を、街のレコード屋へ連れて行きますが、目当ての曲は敵国の人間が作曲したという理由で燃やされてしまうことに。

 兵士が目の前でレコードを燃やしても、それに食ってかかったリヒトが殴られても、街の人々に「国民を守れよ!」と言われても、何も言えない王。「弱い王の話なんて誰も聞かないよ」と自嘲する王に、リヒトは戦地で見てきた優秀な指揮官を引き合いに、「あんたが弱いから話を聞かないんじゃない! 強大な敵に立ち向かわない指揮官の話なんか! 誰も聞くわけないだろ!」とぶつけます。

兵士の狼藉を止められず「情けない」と罵られる王

 「力がなくても…希望を与えてくれる人の話をみんな聞くんだ…!」。リヒトの言葉に背中を押され、王は演説に向かいます。それは国民を戦争に導くものではなく――。

話を聞いてもらえないのは弱い王様だからではなく……

 無力で何もできないと諦めていた王が一歩踏み出す姿が心に刺さる一作。押しつけられた言葉ではなく、心からの言葉でつづった演説が人の心を動かすさまは勇気をもらえます。読者からは「陛下の演説に思わず息が止まりました」「人の持つ強く明るい力を信じたくなる作品でした」といったコメントが寄せられていました。

 はむさんは同作を同人誌として発行する予定。他にも人型兵器の漫画などを公開しており、また第84回ちばてつや賞ヤング部門期待賞を受賞した読み切り作品をコミックDAYSで読むことができます。

作品提供:はむ(@ham8823)さん

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