湧き水がありすぎて水道代タダ? 移住サポートが手厚すぎ!? 「住みたい田舎」全国1位の愛媛県西条市に行ってきた
移住希望者のライフスタイルに合わせた、オーダーメイドの「移住体験ツアー」が無料で体験できます。
こんにちは。ねとらぼライターのちぷたそです。こちらは愛媛県の西条市、すんごいきれいな海です。海最高っっ!!!
今住んでいる場所に不満があるわけではない。都会での暮らしは便利で気に入っている。だけどいつかは、自然豊かな場所でのんびり暮らしてみたい……という願望を持っている人も多いのではないでしょうか。他ならぬ筆者も、そんな気持ちをずっと持っています。
とはいえ、地方へ移住をしたい! と思っても、実際の行動に移すことは簡単ではないように思えます。リモートワークが普及してきたとはいえ、都会の利便性に慣れていると地方での生活は厳しく感じる? 縁もゆかりもない場所に引っ越して、その土地に馴染むことはできる? 自分一人ならまだしも、パートナーや家族がいる場合、全員にとっていい選択になる……? 大きな決断だからこそ、絶対に後悔はしたくないですよね。
そんなことを考えていた筆者がたどり着いたのが、愛媛県・西条市の情報でした。どこそこ? と思った人も聞いてください。西条市は「2021年版第9回 住みたい田舎ベストランキング」で、「総合部門」「若者世代部門」「子育て世代部門」「シニア世代部門」の全4部門で1位を総なめにしており、いま日本で「住みたい田舎NO.1」ともいえる街なのです。
魅力の理由を調べてみると、市による移住サポートがかなり手厚いということが分かってきました。メールや電話でのサポートはもちろん、移住希望者のライフスタイルや家族構成に合わせた「移住体験ツアー」をオーダーメイドで考えてもらうことができ、空港での送迎から市内の施設案内まで、一組ずつ丁寧に対応してもらえる……移住を決める前、検討段階でそこまでしてもらえるって手厚すぎるのでは!? 今回はそんな、自然の豊かさや景観の美しさだけではない「西条市に移住する魅力」を探るため、実際に現地へ行ってきました。
ホテルより「住んでる感覚」! 移住体験住宅と、西条市の“本気”サポート
まず向かったのは、愛媛県の松山空港。東京・羽田空港からは2時間もかからずに到着しました。想像よりも近いんですね、愛媛県。
移住希望者を案内する「移住体験ツアー」の場合でも、西条市の担当の人が松山空港まで車で迎えにきてくださるそうなので、初めて訪れる人でも迷うことなく安心です。松山空港から車で1時間ほど走ると、西条市の市街地に到着します。
西条市の移住サポートの手厚さでまず驚いたのが、移住検討で西条市を訪れた人が宿泊するための「移住体験住宅」があるということ! 移住に先立って街の様子を下調べに訪れたり、転職活動でやってきたりという人が、1泊2日2000円で借りられるお家なのだそうです。
こちらが、西条市内にある「移住体験住宅」。平屋の大きなおうちだ〜!!
ガスは通っていないものの、IHの調理台が備え付けられており、炊飯器やトースターもあります。移住を検討している人・移住を予定している人が西条市を訪れる際には、1泊2日から30泊31日までの期間で利用できるそうです。
こちらの移住体験住宅、そして西条市の移住サポートについて、西条市の移住推進課副課長の石川浩二さんに話をうかがいました。
――移住に関して、西条市のサポートは手厚いらしいと聞いてきました。市として特に力を入れているのでしょうか?
石川副課長 移住希望者へのサポートを手厚くしようという方針で「移住推進課」ができて、今年で3年目になります。地方への移住を希望する人が増えてきている中で、西条市がその受け皿になろう! ということで、市に魅力を感じてくれた方に向けた体験ツアーや、こうした移住体験住宅などいろんな方法で西条市の魅力を体感していただけるよう努めています。
――こちらの移住体験住宅は、すでに多くの方が利用してきているのでしょうか。
石川副課長 「移住体験住宅」の取り組みは、2019年の12月にはじめました。ですが翌年の2020年5月には新型コロナウイルス感染拡大防止のため休止となってしまったので、実働はまだ5ヶ月と短いんですけども、その期間に7組20名の方が利用してくれました。稼働率はだいたい50%ぐらいで、半分ぐらいの時期はどなたかが泊まっているという状況でしたね。そのうち5組13名の方は実際に移住をしてきてくれました。
――7組のうち5組、効果がありますね……!!
石川副課長 実際に移住を考えている人にとって、街の様子を自分たちでいろいろ回ってみたいといった時、この住宅は非常に使いやすいと思います。家族で訪れる人には特に好評で、お子さんは到着してすぐ喜んで家の中を走り回ってくれたりしますよ。親御さんにとっても、ホテル泊まりでは気が休まらないことが多いので、一軒家に子どもと宿泊できてよかった、という声をいただいています。
――西条市の住民として「西条市に来たらこんな生活ができる!」と言えるような、魅力だと思う点を教えてください。
石川副課長 西条市は、南は石鎚山という西日本最高峰の山があって、北には瀬戸内海というおだやかな海があります。山と海、どちらの自然も身近に感じることができます。
石川副課長 市内には清流と呼ばれる加茂川が流れています。そして生活の中には「うちぬき」と呼ばれる湧き水がいたるところにあり、きれいな水のおかげでおいしい農作物が多く作られています。
石川副課長 また西条市は、四国で最大の経営耕地面積を誇る農業地帯である一方で、製造業も非常にさかんで、四国トップクラスの規模があり、大手メーカーの工場もたくさん進出しています。
――「田舎」とひとくくりにすると見落とされがちですが、さまざまな産業がさかんなんですね。街全体に活力を感じます。
石川副課長 あとは、移住された皆さんに話を聞くと、アクセスがすごく良いと言われます。東京や大阪へも大体3時間あれば移動できますし、車があれば生活に不便することはまずありません。車であれば四国内、しまなみ海道やフェリーを使えば中国・四国・九州・近畿あたりの西日本の広い範囲まで、比較的動きやすいです。そういったところも魅力なのかなと思います。
――アクセスの良さも魅力的ですね。西条市への移住に興味がわいてきたら、どのようにコンタクトを取ればいいですか?
石川副課長 まずはぜひ相談してほしいです。西条市では、市民の方と移住検討者の方の両者に向けて、街の魅力発信サイト【LOVE SAIJO】を立ち上げています。そちらで「ファンクラブ登録」をしていただくと、移住推進課へのお問い合わせが直接つながるようになるので、オンライン相談などがスムーズに進められます。移住関連情報はメルマガなどでも発信しているので、少しでも気になった場合はまず【LOVE SAIJO】をチェックしていただけるとうれしいです。
――移住を検討する段階に入ったら、【LOVE SAIJO】に登録して、相談すればいいんですね。
石川副課長 移住を検討されている方って、やっぱり興味を持った「その時」が大事なんです。せっかくそういったアクションをしてもらうので、そのきっかけをしっかりキャッチして、丁寧に対応していくという方法で西条市はやっています。
――せっかくその気になって連絡をしても、そこから何カ月も進展がないとなると、モチベーションも下がってしまいますよね。
石川副課長 レスポンスの早さというのは意識しています。また、移住体験住宅を利用する人は移住を検討している人で間違いないので、必ずアテンドサービスもセットにして、無料で市内をご案内する取り組みも行っています。移住検討者の方のライフスタイルに合わせて、案内先はそれぞれオーダーメイドで……小さいお子さんがいらっしゃったら市内の保育所や公園を見て回ったり、同じような境遇から先に移住された人をご紹介したりすることもあります。
――「西条市に知り合いがいて、その知り合いを頼っていく」ような感覚で市の人たちがサポートしてくれるんですね!
石川副課長 最初のご連絡が入ってからは、担当の職員がついてずっとご案内したりご相談に乗ったりしますし、移住後もやりとりはずっとさせていただくので、そこは安心していただきたいです。せっかく引っ越してきても、そこで人の繋がりを作れなかったら、そこでずっと生活するのってしんどくなってきますよね。そこで私たち移住推進課は、移住者の方どうしの横の繋がりや地域との繋がりを作ることを、できるだけ後押ししています。
石川副課長 地方への移住を考えて候補地を比較していると、自然の美しさとかは、やっぱりある程度は一緒になってきてしまうと思うんです。そうすると、最終的な決め手は“人”になってくると思うので、できるだけ人に繋ぐということを大事にしています。
――移住を迷っている人にとってはとても心強いサポートになりますね……! ありがとうございました。
この日、筆者は移住体験住宅に一泊し、夜の西条市を体験しました。周りは閑静な住宅街で、編集部の女子と私ふたりだけだと持て余すほど部屋は広々としていました……家族全員でワイワイ体験するのにもぴったりだと思いました! この日はふかふかのふとんでぐっすりと眠りました。
西条市の移住サポートについて、もっと詳しく見てみる!
【移住者インタビュー1】 移住者同士の交流もさかんなコワーキングスペース
翌朝――前日は西条市の人の熱意を聞くことができましたが、今日は実際に移住した人たちのお話を聞いて回りたいと思います。まずは、西条市で生活するリモートワーカーたちのハブともなっているコワーキングスペース「サカエマチHOLIC」へ向かいました。
以前電気屋さんだったという建物をリノベーションした「サカエマチHOLIC」は、2階建てで広くてコンセントもたくさんあります。そしてこちらを運営されているのは、西条市のローカルベンチャー支援事業(起業型地域おこし協力隊)を利用して、西条市へ移住&起業された安形真さん。
コワーキングスペースで移住者のリモートワークを支援しつつ、ご自身も愛知からの移住者であるという、安形さんにお話をうかがいました。
――こちらはどんなコワーキングスペースなのでしょうか。
安形さん 広くて2階もあり、会議利用などで使える個室も完備しているので、一通り何でもやりたいことはできる場所になっていると思います。
また、個室のテーブルなどはアウトドア仕様のものを利用しているのですが、ほかに実際のキャンプ道具も置いてます。ここから車ですぐにキャンプができる場所へ行けますよ。
――えっ! じゃあ休憩時間でキャンプしたりとか、今日は外で仕事しよう! みたいなとかもできるってことですか……?
安形さん 焚き火を1、2時間やって帰るとか、キャンプ道具持ってタープ張って、外で仕事するみたいなこともしています。
――そんな……!! 最高すぎでは??
安形さん そんな感じで、僕らのコワーキングスペースは「人間らしく働く」をコンセプトにしています。3つのエリアに分かれていて、まずは集中して仕事をするスペース。こちらはおしゃべりしないでねというスペースです。次に疲れたら休めばいいじゃんという休憩スペース。漫画もたくさん置いています。
安形さん そして最後のひとつが交流するスペースです。利用者のみなさんはよくそこでしゃべりながら仕事していて、がっつり作業したい人は集中スペースに行くという感じです。
――都会によくある「コワーキングスペース」とは、またちょっと印象が違います。
安形さん 会員さんの特徴でいうと、移住者が結構いらっしゃるので、ここの中では愛媛の方言だけでなく、標準語もけっこう飛び交ってはいますよ。
安形さん このコワーキングスペースが、移住者にとってのサードプレイスになればいいなと思っています。ここに来れば自分と同じような、外から引っ越してきた人がいます。もちろん地元の人もいます。さまざまな別業種の人、新しい人とコミュニケーションをとって、いろんな楽しいことを始めるチャンスがたくさんあると思います。会員さんには、このコワーキングスペースのそういった特性をうまく生かしてもらうことを心がけています。
西条市豆知識:西条市の一部のエリアは水がきれいすぎて「上水道」がない(衝撃)
――ドリンクのところに「うちぬき水」とありましたね。移住推進課の方のお話にも出てきましたが、「うちぬき」ってそもそも何なんでしょうか……?
安形さん 石鎚山からの綺麗な地下水が、そこらじゅうで自然に湧いているんです。特にこのエリアは完全にうちぬきが出るエリアでして、水道水がないんです。
――うちぬきが出るってどういうことでしょう? 水道から……?
安形さん 蛇口をひねると出てくるのが「うちぬき」なので、この辺りは「水道水」がそもそも無いんです。上水道が施設として存在しない。地下水からの湧き水でこの辺はお風呂も炊事も全てまかなっているので、水道代がタダなんですよ。下水道代だけですね。
――水道代がかからない、そんな場所あるんですか……!? つまり水はすごくおいしいってことなんでしょうか。
安形さん おいしいですね〜。だからお風呂も、天然のミネラルウォーターに入っているような状態です。
――毎日地下水で沸かしている銭湯に入っているような感じ、羨ましいですね……すてきな暮らしについて教えてくださりありがとうございました!
西条市での取材中、ここで採れたという果物や野菜はどれもやたらおいしいなと思っていたのですが、その秘密は「水」にありました。“上水道なし・完全うちぬき”のエリアは市内でも限られた場所となるそうですが、「うちぬき」が汲める場所は市内のいたる場所にあります(その数はなんと約3000とも言われます!)。
豊かな水と自然に囲まれて、さらに仕事の息抜きにすぐそばの自然でキャンプ。すごい……そんな場所が日本に存在したんだ、という気持ちになりました。
【移住者インタビュー2】 「空き家バンク」で見つけた家をリノベーションして営む写真館
実際にここで仕事をするイメージが少し湧いてきたところで、次は東京から西条市に移住された近藤さんご一家を訪ねました。
夫の信也さんはこの地で「山山写真館」という、出張撮影とスタジオ撮影ができる写真館を経営されています。
カメラマンである信也さんの腕の良さはもちろんですが、写真に度々登場する西条市丹原のロケーションもまた、すごくいいんですよね〜〜〜!!
妻の優依さんは、東京ではグラフィックデザイナーのお仕事をされていて、移住後もそのお仕事を引き続き自宅からリモートで行っているそうです。理想の環境かも……。
――「山山写真館」はどんな写真館なのでしょうか。
信也さん もともとは出張撮影ではじめた写真館で、背景を室内とかではなくその人が育った場所とか、好きな環境で撮れるというのを考慮しながら発信していく写真館でした。
信也さん スタジオがあれば近隣の方にお越しいただいたり、七五三などの当日に雨が降っちゃってどうしよう……みたいな時でも室内で撮影できたりするので、そういった目的でスタジオも作りました。基本的には撮影場所は自由で、日本全国お声かけいただければうかがいます。
――おふたりのご出身はどちらですか?
信也さん 丹原出身なので、僕にとってはUターンとなります。妻は北海道出身ですが、移住する前は東京に住んでいました。
――東京からでは大分環境も変わりますよね! 西条市に行くと決まった時、どう思いましたか?
優依さん (西条市に)戻ると聞いた時は、うれしかったです。というのも、結構前からこちらには遊びには来ていたので、すてきな場所だなとは思っていました。
――移住前に抱いていたイメージと、実際の生活で異なった点はありますか。
優依さん すごく不便になることを覚悟していたんです。きっと買い物も不便になるし、生活もいろいろ大変だと思っていたんですが……でも、今のところはそんなにないです。スーパーも近いし子どもが遊ぶところもあるし、明確にこれが困ったみたいなのは今のところ正直ないですね。
――おお!
優依さん 移住前は、買い物で車を運転する時も結構細いところを通らなければならないし、道路は混んでいるし、子どもを遊ばせるところもないし……逆にその面では生活がだいぶ楽になりました。
――都内だと、お庭はもちろんですけど、駐車場持つのすら大変ですもんね……! 西条市で子育てするうえで、ほかにも良いポイントがあったら教えてください。
優依さん 海が近くて、山もあって、川があってっていうのが一番大きいと思います。都内に住んでいたころ、家族で海に行くって気合を入れていくイベントだったんですが、今は車で20分ぐらいで行けちゃうので、子どもを気軽に連れて行っています。そして家の裏は全部山ですからね。川も近いですし。
信也さん 海とか川とか山が、特別な場所ではなく日常としてそばにある。それでいてスーパーも近い。特定のものを必要としなければ生活には便利なものが揃ってます。まあ、そういうものはネットで取り寄せちゃいますが……。
??? ニャーン……。
――え!??? 窓の外から猫の声が……??
信也さん あ、あの子は私たちがここに住む前から住んでいた先住猫なんです。猫、家の中に入れても大丈夫ですか?
――大丈夫です! ぜひ!!
やばい。家に猫もついてくるとか最高の物件すぎる……。
予期せぬ訪問者にだいぶデレデレしてしまいましたが、気を取り直して取材に戻ります。
――移住するにあたって、どんなサポートなどを受けましたか。
信也さん 西条市の移住サイト【LOVE SAIJO】内で、移住希望者が住める空き家を見つける「空き家バンク」という制度が紹介されていました。うちはスタジオも始めたかったので、家を買うという目標があったんです。
移住先を探していた時、他の自治体も合わせて検討はしていたんですが、連絡先に連絡してもつながらない自治体さんもあったり、また追って連絡しますね、みたいなところもいくつかあったんです。ただ西条市の「空き家バンク」の物件についてメールで問い合わせたら、直後に「すぐ見学できますよ」って返ってきて。
――聞いていた通りのレスポンスの早さだ、西条市さん。
優依さん こっちも東京だって書いてなかったので(笑)。最初に希望した物件と、ほかに条件の近い何軒かを見せてくれると連絡いただいたので、ご案内をお願いしたのが始まりでしたね。
信也さん 実際に見学までしたのは西条市だけでした。ほかの自治体の物件は、自分たちで遠目で見に行くとかそういうことはしましたが、西条市さんはすぐに連絡がきて実際に案内してもらえるとのことだったので。
――自分たちだけで遠目で見るよりも、その土地に詳しい人に実際に案内してもらえたほうが安心ですよね。
信也さん 物件を決めた後は、「西条市移住者住宅改修支援事業」という制度を利用して、リノベーションのための補助金をもらいました。そのうえでできる範囲の事は大工さんにお願いしたり、自分たちでも床を塗ったり貼り替えたりとかしています。
――市のスピーディーなサポートで、理想的とする物件と出会えたことで今の暮らしがあるんですね。ありがとうございました!
最高のロケーションで最高の撮影を行うカメラマンさんに話が聞けました。西条市のなかでもこの山山写真館のある、丹原の街並みの感じが刺さるのは私だけではないと思います……。
あとはこのエリアを含めて、西条市で過ごした時間は東京より光が柔らかいと感じました。瀬戸内海に囲まれて、温暖で人もあたたかいのがこの街なんだと思います。
西条市での住まい探しについて、もっと詳しく見てみる!
【移住者インタビュー3】 小学生の子どもと一緒に、都内の住宅街から7DK(!?)の古民家へ
次に向かった場所は、日本家屋と整体ののぼりというギャップが目を引く「整体院 仁 −JIN−」。
こちらで暮らすのは、自宅の離れで整体院を営む柔道整復師の中島慎二さんとカメラマンの奥様、それにお子さんが3人の5人家族です。今回は中島さんと、中島さんと移住体験ツアーで深く関わった、西条市シティプロモーション推進課長の柏木潤弥さんに話をうかがいました。
柏木課長 中島さんは令和元年の移住体験ツアーに5人家族で参加され、去年こちらに移住されました。中島さんとは東京の説明会で出会ったのですが、僕が話している時も真剣に聞いてくれたし、説明会が終わった後に中島さんのほうから声をかけてくださって。移住を真剣に考えられているんだと印象に残りました。
――中島さんが移住を考えるきっかけは何だったのでしょうか?
中島さん どちらかというと、私より妻の方が都会を離れたい気持ちを持っていました。私の実家である群馬へ妻を連れて行った時、自然がすぐ身近にある環境が妻にとっては新鮮に感じられたようでした。あとは、東日本大震災もきっかけのひとつでしたね。
――震災をきっかけに、自分の人生について考えられた方って多くいらっしゃいましたよね。
中島さん 東京での暮らしは便利ですが、何かを手に入れるにはお金を出して買うしかありません。でも西条市のような場所なら、家庭菜園を営んだり、自分たちで何かを作り出したりといったこともできます。震災を経験して以降、そういった暮らし方への関心が出てきて、都会を離れることを少しずつ考えるようになりました。
――ちなみに、東京のどちらから移住されたのでしょうか。
中島さん 東京の杉並区ですね。
柏木課長 絵に描いたような都会の住宅街なんですよ。そういうところから移住される方も、結構いらっしゃいます。
――では、移住前後で生活もだいぶ変わったのではないでしょうか。
柏木課長 このあたり、イノシシとか猿とか有害鳥獣が出るんです。特に耕作放棄地とかがあると大変で……それがこの地域の課題になっていて、それを中島さんに伝えたらご自分で狩猟免許を取られたんですよ。
――ええ!???
中島さん そうなんです。猟友会にも入りました。
――東京23区の住宅街から移住して、今はもう猟師でもある。すごい転身ですね……!
中島さん 意外だったのが、四国といえばあたたかいイメージだったのですが、冬は思ったより寒かったですね(笑)。住んでいたのがマンションで機密性が高かったというのもあるんですけど、純日本家屋はどうしても寒いです。
――都会のマンションから越してきたからならではの体験ですよね。中島さんが西条市を移住先に選んだポイントはなんだったのでしょうか。
中島さん 現在住んでいるこのエリアも「移住体験ツアー」で連れてきていただいて、風景がなんとなくイメージしていた“田舎暮らし”に近いものだと感じました。山も海も川も近くて。また市内のいろいろな施設や、ほかの移住者の方々を紹介いただいたので「暮らしやすさ」がイメージしやすかったです。
――実際に住んでみていかがですか。
中島さん 私はすごく暮らしやすいと思っています。よそから来た人を排除するような雰囲気も感じないですし。車がないと不便とは言われますけど、逆に車があるおかげで行動範囲が広がったり、家族みんなで動きやすかったりというのはメリットだと思います。移動もしやすく、暮らしやすいなと感じていますよ。
――全く知り合いのいない、土地勘のない場所に行くのに不安はありませんでしたか?
中島さん そうですね、自分ひとりではなくて家族も連れて行かなければならなかったので。特に子どもが馴染めるかとか、寂しくないかという心配はどうしてもありました。
柏木課長 中島さんからの最初の質問が「自分の子どもはもう小学校6年生だけど、馴染めるでしょうか」ということでした。僕はそれを聞いて、親として当然の質問だと思ったんですよね。そこを気にしない人だとこっちの方が心配になってしまうので、安心しました。
中島さん この地域は、自分たち以外にも移住してきた方がいらっしゃいます。子どもたちが通う小学校にも、たまに転校生が来ます。
柏木課長 新しい学校に馴染むまでにどれくらいかかるかというのは、もちろんお子さんによって異なるものなんですが、中島さんの息子さんはすぐに友達ができたと聞いたので安心しました。
中島さん 長男は新学期の9月1日から学校に行き始めたのですが、たしか翌日には友達を連れて帰ってきていましたよ。
――子どもたちの間でも、転校生も自然に受け入れられているんですね。
柏木課長 僕らとしても、移住して一番しんどい最初の壁は「人間関係」じゃないかと思うんですよね。なので同じように移住されたご家族だったり、年齢の近いご家族だったりを意識して引き合わせるようにしています。
中島さん 柏木さんをはじめ、市の方々や移住相談員の方が移住体験ツアーの時にいろんな方と引き合わせてくださったおかげで、東京にいるうちから「愛媛で困ったら、あの人に頼ろう」みたいな方をなんとなく数名作ることができました。それも移住の後押しになりました。
柏木課長 外から移住される方の多くは、西条市に親戚がいるわけでもないので、頼れる人が誰もいない状態で移住の準備を始めることになるんです。だから、その不安を取り除くために僕らは全力を尽くしています。移住検討される方の不安を受け止めてちょっとでも不安じゃない状態にする。それが僕らの仕事だと思っています。
――市職員のみなさんの「人と人を繋ぐサポート」は、移住者の人にとってやはり心強いものですよね。お二人ともありがとうございました。
西条市の子育て環境について、もっと詳しく見てみる!
若者のチャレンジも全力応援中! LOVE SAIJO応援シンガー「ちゃんゆ胃」さん
そして今回の取材では、西条市が絶賛応援中のシンガーソングライター「ちゃんゆ胃」さんにもお会いすることができました!
- ちゃんゆ胃 TikTok公式アカウント(@chanyui0914)
西条市出身のちゃんゆ胃さんは、親友へ送った楽曲「Dear.a」が同世代の若者を中心にTikTokで話題となり、合計200万を超える「いいね」を獲得するなど、いま話題の現役保育大学生シンガーソングライター。西条市は、そんなちゃんゆ胃さんにいち早く注目し、市内の飲食店にPOPを配るなどして彼女の活動を応援していました。
街をあげてちゃんゆ胃さんをもっと応援するため、またちゃんゆ胃さんのパワーで西条市をもっと盛り上げていくために、西条市ではちゃんゆ胃さんを「LOVE SAIJO応援シンガー」に任命しました。今回の取材では、その就任式にも潜入することができました。
【ちゃんゆ胃さんコメント】
今回、応援シンガーに選んでいただきありがとうございます。私は生まれてから10年西条市に住んでいて、現在は家族の都合で松山市で暮らしています。西条市では川で芋炊きをしたり海で釣りをしたり、西条市の自然と触れ合って育ちました。
西条市の思い出は印象深いものばかりで、毎年家族で石鎚山の成就社まで登ったり、小学校2年生の時には頂上まで登りました。
先日、西条市を訪れたら私が育った10年前位とは景色が変わっていて、西条市の進化を目の当たりにしました。私もこれから西条市の進化に携わっていけるように、シンガーソングライターとして西条市の魅力を全国の皆さんに伝えて行けたらなと思います。西条市は故郷であり、帰ってきたら落ち着く街で、今日もこうした形で帰って来られてうれしいです。自分が大人になったら、家族で西条市に戻りたいと思う好きな街です。
就任式での発表によると、今後はちゃんゆ胃さんの楽曲「またね」を西条市内の時報チャイムに使用したり、市内保育園で子どもと一緒に楽しめるライブを行ったりすることが検討されているそうです。現在大学で保育について学んでいるというちゃんゆ胃さんも、保育園ライブの実施を心待ちにしているようでした。
絵に描いたような自然、のどかな風景が広がる西条市ですが、若い才能にも注目し、全力で応援している姿勢も印象的でした。どんな人でも受け入れて、一緒に街を盛り上げていこうとする、そんな活力やあたたかさも西条市の魅力であるように感じました。
海・山・川の三つが近くにある暮らし 美しい風景も魅力的
最後に、ここまででは紹介しきれなかった、西条市の美しい風景やおいしい食べ物も少しご紹介しておきますね。
西条市の皆さんは地元愛が強く、取材中も代わる代わる会いに来てくださって、自宅で採れためっちゃおいしい野菜や果物を持ってきてくださいました。米も枝豆も柿もすっごくおいしかったし、東京から来た取材班にとても優しい……人のあたたかさにたくさん触れることができました。
西条市を選んで移住してきた方々、移住者を受け入れてサポートする方々、みなさんの話を聞くことで今まで遠く思っていた田舎暮らしがより身近なものに思えました。
ちなみに移住体験住宅の予約は、2021年いっぱいは埋まってしまっているのこと(人気〜!)ですが、2022年での予約をいち早く検討することも可能です。記事を見て西条市での暮らしが気になってきたあなたは、【LOVE SAIJO】でまずは情報収集をしてみるといいかもしれません。
移住者の皆さんが特に口をそろえておっしゃっていたのが、移住は「タイミング」「縁」ということ。西条市ではオンライン相談や移住のセミナーも手厚くやっているみたいですよ〜! 今すぐ移住したいという人も、いつかは……と思っている人も、まずは相談員の方に不安や疑問などぶつけてみてはいかがでしょうか。
(ちぷたそ)
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提供:西条市
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