「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」ネタバレなしレビュー 史上最高の“「子ども時代の終わり」映画”(1/3 ページ)
青天井な期待値のハードルを飛び超えた。
1月7日公開の「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」の絶賛の嵐と共に、興行収入がとんでもないことになっている。
全米の週末3日間における興行収入の2億6013万ドル(約297億円)はコロナ禍における最高記録であり、一時期は全米オープニング興行収入歴代第3位と報じられてもいたが、更新された最新の数字では「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」を抜き歴代2位の記録に。また、映画評論サイトRotten Tomatoesでは批評家94%にオーディエンス98%という、圧倒的な支持率を獲得している。
全世界で大盛り上がりの中、日本ではおよそ3週間遅れで公開されたため、ハードルが限界まで上がりきっている方も多いだろう。筆者個人としては、その青天井な期待値のハードルをも飛び超えた。「アベンジャーズ/エンドゲーム」をも凌駕する、アメコミ映画史上最高の名作が誕生したと断言する。
また、本作は予告編でも分かる通り、過去のサム・ライミ監督版「スパイダーマン」3部作や「アメイジング・スパイダーマン」2部作にも登場したヴィラン(悪役)たちが敵として立ちはだかる内容でもある。できれば、そちらも復習していた方が楽しめるだろう。さらに「スパイダーマン:ホームカミング」と「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」から続く「ホーム」3部作の完結編であるため、直近2作品を見ておくこともおすすめする。
とはいえ、本作は予備知識ゼロでも十分に楽しめると思う。筆者は試写会で「これまでスパイダーマンの映画をほとんど見たことがない」という方とも話したのだが「それでも面白かったし感動した」「これまでのスパイダーマンの映画も見てみたい」という感想を耳にした。本作のスパイダーマンは、別の宇宙から来たヴィランたちに「あんた誰?」という態度で接しているため、本作から見た人も同調して物語を追いやすいはずだ。
そして、本作はネタバレなしでの紹介がとてつもなく難しい。本質的な素晴らしさや感動を、間接的にも記してしまうだけでネタバレになる恐れがあるのだ。サプライズを最高の状態で楽しみたい方は、とにかく早く映画館で見た方がいいのは間違いない。
そのため、この記事では“「子ども時代の終わり」映画”としての、そして「トム・ホランドが演じてきたスパイダーマンだからこそ」の魅力を中心に解説していこう。もちろんネタバレなしで書いたつもりではあるが、序盤の展開は記しているのでご注意いただきたい。また、前作「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」のネタバレにも触れているのでご注意願いたい。
子どもだったピーターに迫る「複雑な選択」の物語
「ホーム」3部作におけるスパイダーマンことピーター・パーカーの特徴の1つに、「幼さ」が挙げられる。もちろん過去の映画でもピーターは高校生の年齢であったのだが、本シリーズでは「世界の孫」の愛称をも持つトム・ホランドが演じているからこそ、さらに親しみやすく、より「どこにでもいそうな子ども」に思える。
しかも、彼にはネッドとMJという心優しい親友(MJは恋人でもある)がいて、今回の「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」では2人と共に大学に進学する「普通」の未来を夢見ている。その関係性は、これまでの映画に比べてもさらにほほえましく、心から彼らの幸せを願いたくなるものだった。
そして、本作の物語は「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」の直後から始まる。ピーターは、ヴィランのミステリオによって全世界に正体がバラされた上に、殺人者のぬれぎぬを着させられてしまう。おかげでネッドとMJだけでなく、メイおばさんにまで迷惑が掛かり、ピーターは彼らとの幸せな人生を共に歩めなくなる。さらに、ピーター自身の思慮の浅さと優柔不断は他の宇宙のヴィランたちを呼び寄せる一因にもなっており、その「責任」を取らざるを得なくなっていくのだ。
過去の映画でも、ピーターはいつもヒーローとして「正しい」選択を迫られ、もう無邪気なままではいられない、「子ども時代を終わらせる」ような深刻な場面に直面してきた。「ホーム」シリーズにおけるピーターは幼さが色濃かった上に、今回の「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」では彼自身の言動こそが深刻な事態を招いてしまうため、彼が引き受ける「選択」や「試練」は過去作と同じかそれ以上に重たいものとなっている。
ジョン・ワッツ監督は、今回のピーターの選択について「彼はいつだって正しいことをしようとしている」と評した上で、こうも話している。「ピーターはときに、自分にとって都合の良いことを、正しいことだと自分に言い聞かせている」「彼は今の自分が望んでいることと、運命に導かれてゆく先との間で引き裂かれる。最初は非常に明快に思えた状況が、実ははるかに複雑な状況にあったと分かるんだ」と。
関連記事
- 原作脱落組による「劇場版 呪術廻戦 0」レビュー “「呪術」初心者”でも楽しめるこの冬一番の話題作
花澤香菜のヤンデレボイスもすごかった。 - 「マトリックス レザレクションズ」レビュー 居心地の悪い中学の同窓会だったが行く意義はあった
君たちは、いったい誰なんだ。 - 映画「シャン・チー」レビュー シリーズで1、2を争う面白さにぶっ飛ばされる傑作
主演に大抜擢されたシム・リウに惚れた。 - 「エターナルズ」レビュー 賛否両論も納得、「ノマドランド」の監督だからこそのスーパーヒーロー映画
クロエ・ジャオ監督の「らしさ」全開だった。 - ある意味「ジョーズ」超えのサメ映画! 映画「ザ・スーサイド・スクワッド」レビュー
ねずみさんもかわいい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
母「昔は何十人もの男性の誘いを断った」→娘は疑っていたが…… 当時の“モテ必至の姿”が1170万再生「なんてこった!」【海外】
-
【ハードオフ】たった“1650円”のジャンク品を持ち帰ったら…… “まさかの結末”に仰天 「中古店は宝の山」
-
セリアのイス脚カバーの“じゃない”使い方に「天才ですか!?」 斬新な活用法に「めっちゃ可愛い」「探してくる!」
-
中2長女“書店で好きなだけ本を買う権”を行使した結果…… “驚愕のレシート”が1300万表示「大物になるぞ!!」「これやってみよう」
-
「やばいやばい」 ブックオフに990円で売っていた“まさかの掘り出し物”に大興奮 「ラッキーすぎる」
-
“スカイラインの墓場”に潜入したら、目を疑う光景が…… ヤバすぎる実態に衝撃走る「ここまでやる人はいない」「凄いな」
-
「腹がいたいwww」 一家で体調不良→78歳おじいちゃんの“お年玉”に爆笑 「これは本当に気持ちがこもってる」
-
100均の毛糸5色を“シェブロン編み”していくと…… うっとり美しい防寒グッズ完成に「分かりやすくてスイスイ編めた」「色のセンスも素敵!」
-
道に落ちていそうな黒い石ころ→磨いたら…… まさかの“正体”が158万再生「超すごい」「砂利に似ているのに」【海外】
-
夫婦でプラダンの二重窓をDIYしたら…… 予想以上の断熱効果に驚き「す、す、すっごい! 一番分かり易くて、可愛いくて、何より簡単そう」
- ryuchellさん姉、母が亡くなったと報告 2024年春に病気発覚 「ママの向かった場所には世界一会いたかった人がいる」
- ハードオフに1650円で売られていた“まさかの掘り出し物”→修理すると…… 見事な復活劇に「相場が上がってしまうw」
- 巨大深海魚のぶっとい毒針に刺され5時間後、体がとんでもないことに……衝撃の経過報告に大反響 2024年に読まれた生き物記事トップ5
- 北海道の用水路で“巨大な外来魚”を捕獲→さばいてみると…… 中から出てきた“ヤバすぎる物体”に大興奮「ずっと釘付け」
- 【ハードオフ】2750円のジャンク品を持ち帰ったら…… まさかの展開に驚がく「これがジャンクの醍醐味のひとつ」
- 「脳がバグる」 ←昼間の夫婦の姿 夜の夫婦の姿→ あまりの激変ぶりと騙される姿に「三度見くらいした……」「まさか」
- 幼稚園の「名札」を社会人が大量購入→その理由は……斜め上のキュートな活用術に大反響 2024年に読まれた面白記事トップ5
- 米津玄師、紅白で“205万円衣装”着用? 星野源“1270万円ネックレス”も話題…… 「凄いお値段」「びっくりした」
- 【今日の難読漢字】「手水」←何と読む?
- サバの腹に「アニサキス発見ライト」を当てたら……? 衝撃の結果に「ゾワっとした」「泣きそう」と悲鳴 その後の展開を聞いた
- ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
- パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
- 東京美容外科、“不適切投稿”した院長の「解任」を発表 「組織体制の強化に努めてまいる所存」
- ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
- 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
- イモトアヤコ、購入した“圧倒的人気車”が思わぬ勘違いを招く スーパーで「後ろから警備員さんが」
- 「何があった」 絵師が“大学4年間の成長過程”公開→たどり着いた“まさかの境地”に「ぶっ飛ばしてて草」
- フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
- 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
- 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」