ニュース
» 2022年02月18日 19時00分 公開

インターネットエンジェルがあなたを救ってぶん殴る 強烈すぎる傑作「NEEDY GIRL OVERDOSE」に心をかき乱された「NEEDY GIRL OVERDOSE」レビュー(2/2 ページ)

[するめ(以下)マン,ねとらぼ]
前のページへ 1|2       

 

※ここからは、エンディングをすべて見たうえでのネタバレとエンディングの考察になります。プレイが終わったあとに読んでください。

 

あめちゃんによって救われたいと思っていたのは、僕だったのかもしれない

 全てのエンディングを見た人なら分かると思うのですが、このゲームの構造は単純なようで非常に複雑です。配信者である“あめちゃん”と“超てんちゃん”という二重性。彼女にとってのネットとリアル。われわれがゲームとして認識している世界と、われわれ自身の現実。ピの立場を通してあめちゃんを見ているのはプレイヤーであっても、ピは存在しないかもという示唆。JINEでもチラッと語られますし、全てクリアすると本当にこのゲームの内容があめちゃんの体験したものなのか。それすらも分からなくなってきます。本作自体があめちゃんの妄想にすぎず、脳内で繰り返しているシミュレーションの可能性すらあるのです。

 彼女が薬を使いすぎたときに、第四の壁を越えてこちらを認識するメタ要素もあれば、ピを見捨てるエンディングでぶち壊すのは人じゃなくてモニター。ピ=プレイヤーではないことがほのめかされていますし、第四の壁を認識しても、それが主題としては取り上げられません(お薬で壊れたうえでの結末の1つでしかない)。

 最初はメンヘラに依存されるゲームだと思って遊んでいたはずが、次第にピ=プレイヤーではないことに気付かされ、全てのエンディングを見た後の「Data0」で明かされる真実に打ちのめされた人もいるでしょう。そして、分かるのです。あめちゃんは、最初からプレイヤーが救える存在ではなかったと。

NEEDY GIRL OVERDOSE レビュー

 何より、全てのエンディングを見たあとに「?」として条件が書かれている隠されたエンディング「Happy End World」は、さらに辛辣(しんらつ)。文字通りに回線を切ることで見られるソレは、あめちゃんにとってのハッピーエンドではありますが、超てんちゃんに取ってのハッピーエンドとはいえません。もちろん、プレイヤーに取っても。

 どのエンディングを終わらせてもエンディングの数だけ正しさがあり、エンディングの数だけ真実があり、そして普段「ゲームなのだから」「上位の存在だから救おう」と考えている僕らをも打ちのめしてきます。落書きのような絵を描くあめちゃんは精神的に幼い女性ですが、同時に自立した女性でもあり、イマジナリー彼(彼女)ピであるピの存在を活用しながらも自分のために生きているのです。情報をつなぎ合わせると彼女自身の幼さが心配になったり、家庭環境が気になったりもしますが、それでも彼女を救えるのは彼女だけ。ゲームなのだからと、彼女を救って自分が思い描いたハッピーエンドに導ける……なんて思っている自分の傲慢(ごうまん)さすらも、このゲームは暴きたててきます。

NEEDY GIRL OVERDOSE レビュー

 インターネットエンジェルが微笑んで救おうとしていた中には、僕らも含まれていたのです。彼女がいなくなったときに、強めの幻覚としてほほえむ彼女に救いを求めていたのは他ならぬ僕たち。だから、配信者としてあめちゃんから超てんちゃんになるシーンが、まるで魔法少女の変身シーンのように描かれていたのかもしれません。彼女は変身しているのです。僕らを救うため、インターネットエンジェル・超てんちゃんに。

NEEDY GIRL OVERDOSE レビュー

 しかも、本作はあくまでもゲーム。クリアしても超てんちゃんは死にませんし、消えません。Steamを立ち上げて遊びなおせばいつでも会えますし、ファンアートやコラボ、グッズ展開などで、いつまでも生き続けられます。これを書いている現在、本作は25万本売れたそうですが、この現象もゲームの配信とオーバーラップするようで不思議な感覚。文字通り、彼女は永遠にインターネットエンジェルとして残り続けるのでしょう。仮に、今後30万本売れたとしても、100万本に到達したとしても、もう目の前から消えることはないのです。ゲームが出たことで、彼女は本当のインターネットエンジェルになった。その結果こそが、あめちゃん&超てんちゃんに取って真のハッピーエンドだったのかもしれません。

NEEDY GIRL OVERDOSE レビュー

 

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10

  1. /nl/articles/2206/26/news054.jpg YOSHIKI、母親の四十九日で生まれ故郷へ 喪服姿で悲しみを吐露「I miss my mother」
  2. /nl/articles/2206/26/news010.jpg 大好きなおじいちゃんと留守番をするシェパード、良い子にしてたけど…… 飼い主帰宅ではしゃぐ姿に「やっぱりさみしかったんだね」
  3. /nl/articles/2206/26/news037.jpg 捨てられていた茶トラの子猫を保護、5年がたち…… 美しく幸せいっぱいに成長したビフォーアフターに祝福の声
  4. /nl/articles/2206/25/news079.jpg 「違法薬物が隠れている段ボールはどれ?」 税関が出題したクイズが難問 「常人には分かんねえよ」「難しすぎ」
  5. /nl/articles/2206/26/news058.jpg 「急に目が痛くなりすぎて開かなくなって」 川崎希、“やばい”と感じ旅行先の沖縄で病院へ
  6. /nl/articles/2206/25/news006.jpg 「柴犬の生首かと!」「笑いすぎておなか痛い」「神々しい……」 西日が生んだ奇跡のワンコに爆笑の声
  7. /nl/articles/2206/25/news005.jpg 散歩中の愛犬が用水路で立ち止まり…… 震えるチワワを発見→救助の展開に「賢いワンちゃん」「おうちに帰れてよかった」の声
  8. /nl/articles/2206/25/news064.jpg この画像の中に「ネズミ」が隠れています 猫に見つからないように必死! 分かるとスッキリする隠し絵クイズに挑戦しよう
  9. /nl/articles/2206/24/news185.jpg 「Steamサマーセール2022」が到来 おすすめの激安PCゲーム紹介でTwitterが大にぎわい
  10. /nl/articles/2206/22/news102.jpg 留守番中の愛猫を見たら……おっさんみたいにくつろいでた 振り返る姿に「貫禄がw」「可愛すぎてしんどい」の声

先週の総合アクセスTOP10

  1. ダルビッシュ有&聖子、14歳息子のピッチングがすでに大物 「球速も相当出てる」「アスリート遺伝子スゴい」
  2. 大家に「何でもしていい」と言われた結果 → 台所が隠れ家バー風に! DIYでリフォームした部屋の変化に驚きの声
  3. 中谷美紀、外国人夫の連れ子や元妻と楽しい団らん 国籍や目の色など何もかも違えど「これでも家族」
  4. デヴィ夫人、15歳の愛孫・キランさんが社交界デビュー 「山高帽にモーニング」華麗なる正装姿が超ハンサム
  5. 法隆寺がクラファンを開始 わずか1日で目標金額2000万円を達成「予想もしていなかった早さ」
  6. 元保護子猫に、ずっと欲しがっていたぬいぐるみをあげたら…… 予想外の反応に「人間の子供みたい!」の声
  7. 7歳息子が初おつかいに行ったときのレシート、よく見ると…… ママへの愛がつまったエピソードに「泣ける」の声
  8. 才賀紀左衛門、“親密な女性”の初顔出しショット公開 パッチリした目にスッキリした鼻筋で「想像通り美しい」「綺麗な方!」
  9. 愛犬に「子猫が大変です!!」と呼び出された飼い主、ついて行くと…… まさかの“無免許運転”発覚に「かわいすぎるw」
  10. 見事な「赤富士」を捉えた山中湖のライブカメラ映像に驚きと感動の声 葛飾北斎「凱風快晴」のような絶景……!

先月の総合アクセスTOP10

  1. この写真の中に1人の自衛隊員が隠れています 自衛隊が出したクイズが難問すぎる……「答え見ても分からない」と人気
  2. フワちゃん、指原莉乃同乗のクルマで事故 瞬間を伝える動画が「予想の10倍ぶつけてる」「笑い事ではない」と物議
  3. 人気動画ジャンル「ゆっくり茶番劇」を第三者が商標登録し年10万円のライセンス契約を求める ZUNさん「法律に詳しい方に確認します」
  4. この写真の中に2人の狙撃手が隠れています 陸自が出したクイズが難しすぎて人気 まじで分からん!
  5. 華原朋美、“隠し子”巡る夫の虚言癖に怒り「私はだまされて結婚」 家を飛び出した親に2歳息子も「もうパパとはいわなくなりました」
  6. 誰にもバレずに20年 別荘を解体中にバスルームから“とんでもないモノ”が見つかる 「わけがわからない」と困惑
  7. 名倉潤、妻・渡辺満里奈との結婚17周年に“NY新婚旅行”ショット 「妻には感謝しかありません」と愛のメッセージも
  8. 植毛手術のいしだ壱成、イメチェンした“さっぱり短髪”が好評 「凄く似合ってます」「短い方が絶対いい」
  9. 「ビビるくらい目が覚める」「生活クオリティ上がった」 品薄続く「ヤクルト1000」なぜ、いつから人気に? 「悪夢を見る」ウワサについても聞いてみた
  10. 渡辺裕之、66歳バースデーで息子と2ショット 合同誕生日会に「すごいお料理とケーキ」「イケメン息子さん」