「送料無料」ってほんとにお得？ お金が貯まらないけど「割引」に釣られる友人に優しく経済の話をする漫画（1/2 ページ）

「損失回避の法則」をアスクミ先生流に解説。

[漫画：後藤羽矢子 紹介文：きんじょうめぐ，ねとらぼ]

　学校では教えてくれない質問に阿須名久美（アスクミ）先生がズバリ答えてくれる漫画『アスクミ先生に聞いてみた』（作：後藤羽矢子）。今回は、お金が貯まらないと言いながら「割引」の文字に釣られる友人に、優しい経済の話をします。

セールに釣られて損してませんか？

　無駄遣いをしているつもりはないのにお金が貯まらないと嘆くアスクミ先生の友人、徳下さん。お茶をしにきたら、期間限定で割引なっているパフェを見つけて「安いのが今日までなら食べなきゃ損」と飛びつきました。けど、割引になったパフェってコーヒー代よりも高いですよね……？

　「そういうとこじゃないかな？」とすかさずツッコミを入れるアスクミ先生。続けて、「損失回避の法則」について解説を始めました。

　まずは「1000円おごる」と書いたカードAを1枚と、「2000円おごる」と「おごらない」と書いたカードBを2枚用意して、内容が分からないように裏返しにします。徳下さんは確実に1000円おごってもらえるAを選択しました。このような「損を避けようとすること」を「損失回避」と呼びます。

　さて、徳下さんは実は飲み会でアスクミ先生に2000円の借金がありました。これを先ほどのようにカードAは「返済を1000円免除」、カードBは「返済をゼロ」「2000円全額返す」とします。すると徳下さんは、今度は堅実に1000円返すのではなく、Bを選択して賭けに出る方を選びました。

　この結果、徳下さんは全額返すことに。もっとも、徳下さんは最初から全額返すつもりはあったようですが……。

　こうした「目先の損を避けたい」という心理もまた、「損失回避の法則」だとアスクミ先生は強調します。得をする喜びより損をしたダメージの方が強く感じるため、わずかに得をするより、わずかでも損をしたくないという気持ちが働くといいます。

　日常生活では、例えば通販サイトの送料割引サービス。3000円の欲しいものがあった時に「5000円以上買うと送料無料」と書かれていると、つい無理をして2000円以上の買い物をしてしまうことがあります。でもこれ、送料は1000円以下のことが多いのでは？

　損失回避が一番悪い形で出るのが、ギャンブルです。途中でやめたら損するだけ、もしかしたら当たって取り返せるかもしれないと思って、どんどんとお金を注ぎ込んでいってしまいます。

　仕事面でも損失回避が出ることがあります。条件は良いけどたまにしかこない仕事のために他の仕事を断っていたら、収入が減って大変なことになってしまった例も。

　目先の損にとらわれて反射的に物事を決めず、いったん考えることがムダ買いを減らす秘訣のようです。とはいえ、アスクミ先生もゲームのピックアップガチャに課金しまくってるようですけどね……。

(C)後藤羽矢子／竹書房