「心停止を疑ったらすぐにAEDを」「出血でも心臓マッサージを」 安倍元総理の銃撃事件受け医師ら緊急回答(1/2 ページ)

安倍元総理の銃撃事件への現場の対応を「素晴らしい行動」と評価しています。

» 2022年07月15日 17時00分 公開
[上代瑠偉ねとらぼ]

 日本AED財団は、安倍晋三元総理への銃撃事件を受け、「安倍元総理銃撃事件に関わるAED使用について」と題する“緊急メッセージ”を公開。「どのような状況でも心停止を疑ったら、直ちにAEDを使用してその指示に従うことが必要」「倒れている人が心停止(反応も呼吸もない、あるいは普段通りではない状態)であれば、その原因に関わらず直ちに胸骨圧迫を開始」と呼びかけました。

 “緊急メッセージ”では、安倍元総理への胸骨圧迫やAEDについて受けた多くの質問のなかから、特に大切だと思われる「心停止(心肺停止)であっても、AEDが有効でない場合があるのか」「出血している人に胸骨圧迫をして良いのか」の2つの質問に対する回答を掲載しています。

心肺停止でも、AEDが有効でない場合があるのか?

 「心停止であっても、AEDが有効でない場合があるのか」という質問には、大きく分けると、心停止には「心臓の筋肉が(心室細動と呼ばれる重篤な不整脈などで)細かく震えてしまい、ポンプ機能を失った状態」「心臓の働きが極端に弱くなるか、全く止まってしまった状態」の2種類があると前置きし、こう回答しました。

 「全ての心停止に、AEDによる電気ショックが有効な訳ではありません。しかし、心停止状態の人にAEDを装着すれば、このふたつのうちのどちらのタイプが起こっているのかを判断し、必要な時に電気ショックをするように指示(※「電気ショックが必要です」「電気ショックは不要です」とアナウンス)してくれますので『AEDは有効』だといえます。従ってどのような状況でも心停止を疑ったら、直ちにAEDを使用してその指示に従うことが必要です」

 なお、もしAEDを装着して「電気ショックが必要です」ではなく、「電気ショックは不要です」と案内された場合については、「電気ショックは不要ですが、心停止状態であることに変わりはなく、脳や全身に血液を送らなければなりませんので、胸骨圧迫(心臓マッサージ)を行う必要があります」と説明しています。

 また、「重要なことは、電気ショックが行われた後も、救急隊が現場に到着するまで(あるいは傷病者が嫌がるような仕草など何らかの反応を示すまで)胸骨圧迫を続ける必要があるということです。電気ショックが行われた後でも胸骨圧迫が必要なのは、電気ショックが成功してもすぐに力強い心臓の収縮が得られる訳ではないからです。たまたまその場に居合わせた市民による、胸骨圧迫とAEDの使用が重要なことをご確認ください」と呼びかけました。

日本AED財団「安倍元総理銃撃事件に関わるAED使用について」 該当部分を拡大したもの(画像は「安倍元総理銃撃事件に関わるAED使用について」より)

 

出血している人に胸骨圧迫をして良いのか?

 SNS上でもよく見かけた「出血している人に胸骨圧迫をして良いのか」という疑問には、こう回答しています。

 「出血している部位が分かる場合は、その部位を押さえて圧迫止血をした上で、胸骨圧迫を行うことが望ましいですが、実際には難しいことが多いと思われます。原因に関わらず、心停止の際に何より優先すべきは、脳や全身に血液を送ることです。倒れている人が心停止(反応も呼吸もない、あるいは普段通りではない状態)であれば、その原因に関わらず直ちに胸骨圧迫を開始して下さい」

日本AED財団「報道でのAEDに関する表現について」 SNSに投稿された事件発生時の動画では、対応の様子が確認できます(関連記事:「安倍元首相、銃で撃たれて意識不明か 事件時のものとみられる映像投稿される」より)

 また、安倍元総理の銃撃事件への現場の対応については、「今回の事件では、現場スタッフが胸骨圧迫を続けながら『AEDを持って来て下さい』と呼びかけ、すぐにAEDが届きました。素晴らしい行動です」とコメントしました。

日本AED財団「報道でのAEDに関する表現について」 日本AED財団は安倍晋三元総理への銃撃事件を受け、「報道でのAEDに関する表現について」とするコメントも発表しています(画像は「報道でのAEDに関する表現について」より)
       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/21/news027.jpg 大きくなったらかっこいいシェパードになると思っていたら…… 予想を上回るビフォーアフターに大反響!→さらに1年半後の今は? 飼い主に聞いた
  2. /nl/articles/2411/20/news049.jpg 高校生の時に出会った2人→つらい闘病生活を経て、10年後…… 山あり谷ありを乗り越えた“現在の姿”が話題
  3. /nl/articles/2411/20/news222.jpg ディズニーシーのお菓子が「異様に美味しい」→実は……“驚愕の事実”に9.6万いいね 「納得した」「これはガチ」
  4. /nl/articles/2411/20/news027.jpg 「こんなことが出来るのか」ハードオフの中古電子辞書Linux化 → “阿部寛のホームページ”にアクセス その表示速度は……「電子辞書にLinuxはロマンある」
  5. /nl/articles/2411/20/news050.jpg プロが教える「PCをオフにする時はシャットダウンとスリープ、どっちがいいの?」 理想の選択肢は意外にも…… 「有益な情報ありがとう」「感動しました
  6. /nl/articles/2411/20/news054.jpg 「防音室を買ったVTuberの末路」 本格的な防音室を導入したら居住空間がとんでもないことになった新人VTuberにその後を聞いた
  7. /nl/articles/2411/21/news083.jpg 間寛平、33年間乗り続ける“希少な国産愛車”を披露 大の車好きで「スカイラインGT-R R34」も所有
  8. /nl/articles/2411/21/news085.jpg 「もしかしてネタバレ?」 “timeleszオーディション”候補者がテレビ局を退社 ディズニーの“船長”としても話題
  9. /nl/articles/2411/18/news107.jpg 走行中の車から同じ速さで後方へ飛び降りると? 体を張った実験に反響「問題文が現実世界で実行」【海外】
  10. /nl/articles/2411/21/news018.jpg グルーミングが出来ない生まれたての子猫、とんでもない体勢になり…… 想像以上のへたくそっぷりに「どこにも届いてないww」「反則級」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  2. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  3. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  4. まるで星空……!! ダイソーの糸を組み合わせ、ひたすら編む→完成したウットリするほど美しい模様に「キュンキュンきます」「夜雪にも見える」
  5. 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
  6. 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
  7. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. 互いの「素顔を知ったのは交際1ケ月後」 “聖飢魔IIの熱狂的ファン夫婦”の妻の悩み→「総額396万円分の……」
  9. ユニクロが教える“これからの季節に持っておきたい”1枚に「これ、3枚色違いで買いました!」「今年も色違い買い足します!」と反響
  10. 中央道から「宇宙戦艦ヤマト」が見える! 驚きの写真がSNSで注目集める 「結構でかい」「どう見てもヤマト」 撮影者の心境を聞いた
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた