シリーズ初の“ゴールド”プリキュア「キュアフィナーレ」誕生 追加プリキュア19年の歴史を振り返る:サラリーマン、プリキュアを語る(2/2 ページ)
追加プリキュアには「異世界人」がなりやすい?
今作の追加プリキュア「キュアフィナーレ」は生徒会長、菓彩あまねが変身します。追加プリキュアとしては、いわゆる「普通の人間」(といってよいのかは別にして)が変身するのは、「HUGっとプリキュア!」(2018年)のキュアマシェリ(愛崎えみる)以来、4年ぶりとなります。
プリキュアの追加戦士は「異国の王女様」だったり「妖精」「アンドロイド」「宇宙人」「人魚」など、いわゆる人間以外のキャラがなることの方が多いのです。
調べてみると、いわゆる「普通の人間」が追加プリキュアになったのはわずか28%。72%は「異世界のキャラ」が追加プリキュアになっていました。
これは「普通の女の子」を主人公とするプリキュアという作品において、途中から「異世界の友達」や「憧れの人」と友情を育み一緒に戦うようになる、というのが視聴している子どもたちにとって大きな出来事であるからだと思われます。
就学前の子どもたちにとっては「家の中」が世界の全てだったのが、幼稚園などの「外の世界=憧れの世界」にも、たくさんのお友達がいて一緒に戦うことができるというのが、現実の子どもたちの世界ともリンクし子どもたちに勇気を与えることにもつながっているのです。
敵幹部からの「光落ち」は5人目
また、今回の新プリキュア「キュアフィナーレ」は敵幹部からプリキュアになりました(最近では、敵から味方になることを≪「光落ち(光堕ち)」)と表現するようです)。
過去のプリキュアシリーズにおいても、敵から「光落ち」したプリキュアは多く、今回のキュアフィナーレは、キュアパッション、キュアビート、キュアスカーレット、キュアアムールに次いで5人目の「光落ちプリキュア」となります。
追加プリキュア全18人の中の5人、つまり歴代の追加プリキュアの28%はこの「光落ちプリキュア」なのです。
<光落ちプリキュア>
キュアパッション(東せつな)/フレッシュプリキュア!(2009年)
キュアビート(黒川エレン)/スイートプリキュア♪(2011年)
キュアスカーレット(紅城トワ)/Go!プリンセスプリキュア(2015年)
キュアアムール(ルールー・アムール)/HUGっと!プリキュア(2018年)
キュアフィナーレ(菓彩あまね)/デリシャスパーティプリキュア(2022年)
「光落ちプリキュア」は敵だったころの葛藤や贖罪(しょくざい)などのドラマが濃密に描かれ、それを乗り越える友情のストーリーも盛り上がるため、歴代の「光落ちプリキュア」には今でもたくさんの子どもたちや大人のファンに支持され続けています。
今では敵組織に「プリキュアと同じ年齢くらいの少女幹部」が出てくると「この娘、新しいプリキュアになりそう」と思うのは、大人プリキュアファンのお約束でもあります。
敵幹部からプリキュアになれなかった例も
逆に、プリキュアファンの多くが「この敵幹部の女の子は、絶対に追加プリキュアになる」と思っていたのに、プリキュアにならなかったキャラもいます。
「ドキドキ!プリキュア」(2013年)の敵幹部、レジーナです
レジーナは大きな赤いリボンにゴスロリ調の衣装の敵幹部で、「善悪の概念が希薄なプリキュアと同じ年ごろの少女幹部」という追加プリキュアになる要素をほぼ満たしていたことで、当時のファンの間では「追加プリキュアはこの娘だろう」といった声が多く見られていました。
しかし結局、「ドキドキ!プリキュア」の追加戦士キュアエースは、小学生の「円亜久里(まどかあぐり)」が変身することとなり、レジーナはプリキュアにはなりませんでした(実はある意味、円亜久里とレジーナはとても深い関係もあるのですがネタバレになるので詳細は割愛します)。
ほぼプリキュア確定とみられていたレジーナではなく、突然出てきた小学生が追加プリキュアになる。これは当時のプリキュアファンにとっては意外な出来事だったのではないでしょうか。
初夏の風物詩となった「追加プリキュア誕生」
今や初夏の風物詩となった「追加プリキュア誕生」。普通の女の子のみならず、異世界のお姫様から、アンドロイドに宇宙人、人魚までバラエティーに富んだ「追加プリキュア」たちは中盤の物語をけん引し、何よりも「異世界の人」や「憧れの人」とだってお友達になれる、という勇気を子どもたちに与え続けているのです。
「デリシャスパーティプリキュア」
毎週日曜8時30分より
ABC・テレビ朝日系列にて放送中
(C)ABC-A・東映アニメーション
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