東映アニメの不正アクセス事件は「プリキュア」の売り上げにどんな影響を与えたのか スーパー戦隊と明暗を分けた2022年1Qを振り返る:サラリーマン、プリキュアを語る(2/2 ページ)
スーパー戦隊は好調
一方、不正アクセスの影響もなく、同じニチアサで番組開始時期も対象年齢も近い「スーパー戦隊」の1Q売り上げはどうだったのでしょうか?
こちらは「暴太郎戦隊ドンブラザーズ」が絶好調で、バンダイのニチアサ3作品(プリキュア、仮面ライダー、スーパー戦隊)の中では、唯一昨年対比を上回る結果となりました。
スーパー戦隊は、ここ2年間はプリキュアの売り上げを下回っていましたが、2022年1Qではプリキュアを上回り回復傾向となっています。
「DXドンオニタイジン」昨対300%
「暴太郎戦隊ドンブラザーズ」好調の要因は何だったのでしょうか?
これは5月に発売となった1号ロボ玩具「DXドンオニタイジン」が初週で前作比300%と脅威(きょうい)の売り上げを見せたことが大きいようです。
特に5月28日に発売した1号ロボの「DXドンオニタイジン」は初週が過去3〜4年にないくらいの売れ行きで、前作比で約300%の勢いになっていますので、夏期商戦でもしっかりと貢献できるはずです。
バンダイ 取締役トイディビジョン担当 生産政策担当 宮田大樹氏
『月刊トイジャーナル 2022年7月号』(東京玩具人形協同協会)P57
「ドンオニタイジン」はスタイリッシュな造形が評判も良く、初週から売り切れ店が続出する人気ぶりでした。初週こそ品切れもありましたが以降は供給も潤沢にされ続けています。
「暴太郎戦隊ドンブラザーズ」は巨大ロボ戦を全く描かずドラマ重視の回で視聴者を引き付けたと思いきや、逆にロボ玩具の発売以降は、巨大ロボ戦も魅力的に描かれるなど、玩具販売と番組内容がうまくかみ合っている印象も受けます。
また、ドンブラザーズは井上敏樹氏の挑戦的な脚本もネット上で大きな話題となるなど「コンテンツの力」が玩具の売り上げをけん引している一つの例だと思われます。
明暗を分けたニチアサ1Q
「デリシャスパーティプリキュア」は、不正アクセスによるテレビ放送の延期、追加プリキュアが7月へ延期となったこと、それに伴う玩具販売のスケジュールのズレ、そして主力玩具「にぎにぎ変身!おしゃべりコメコメ」の欠品などの複合的な要因により、バンダイ1Qはシリーズ過去最低となる落ち込みとなりました。
一方、不正アクセスの影響もなく、スケジュール通りの販売戦略をとることができ、主力玩具「DXドンオニタイジン」が初週で昨対300%と絶好調となった「暴太郎戦隊ドンブラザーズ」は、2021年を上回る実績となりました。
「不正アクセス」と「主力玩具の去就」が明暗を分けることとなった、2022年4〜6月のニチアサ(プリキュア、スーパー戦隊)バンダイナムコのグループ全体売り上げ。
もちろん「関連商品の売り上げ」と「番組の面白さ」には関係は無いのですが、安定した売り上げは、コンテンツ継続にとって必要なものだとも思われます。
デリシャスパーティプリキュアも後半戦に入っていきます。クリスマス商戦には大型の新アイテムも発売されることでしょうし、さらなる盛り上がりを期待したいですよね。
現在放送中の「デリシャスパーティプリキュア」は、プリキュアシリーズでは初のAmazon Prime Video、NETFLIX、dアニメストアほか各種見放題配信サービスでも見逃し配信中です。
「デリシャスパーティプリキュア」
毎週日曜8時30分より
ABC・テレビ朝日系列にて放送中
(C)ABC-A・東映アニメーション
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